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32.

数ある小説の中から閲覧していただき、ありがとうございます。


朝起きたら…天気は曇り空。少し雲が厚い…午後から雨が降る可能性も。


今日から少し遠回りになるが、お昼のお弁当は『宿 枯山水』に頼んだオニギリと稲荷寿司だ。

シホのテンションが爆上がり中。


「おはようございます。昨日お弁当を頼んだユキトです。」


「おはようございます。お弁当はこちらです。オニギリ弁当が2個、稲荷弁当が2個の計4個でお間違いないですか?」


「はい、大丈夫です。明日以降も同じ数を毎日頼んでも大丈夫ですか?」


「はい。大丈夫ですよ。これからもご贔屓に。」


お弁当を受け取り、いつも通りに協会から荷車置き場を経て南門へ。


「ユキトっ!お昼楽しみ!ナッツボアも狩れたら言うこと無しだね!!」


「そうだな。帰りの森沿いで多少ツノウサギが狩れるとしても…ナッツボアの稼ぎとは違いすぎるからな。」


そんな話をしつつ街道脇の草むらを畑のほうを気にしながら進んでいく。小1時間過ぎたころだろうか…索敵の範囲、畑の方向に赤い点が2つ。丁度畑が街道より低い位置にあるのか…こちらから目視できない。


「シホ、リュカ。索敵範囲に赤い点が2つ。たぶんナッツボアだ。」


「援護は?」


「一応、荷車はここに置いて後ろから頼む。…ナッツボアは畑の作物に夢中?点は動かないな…」


街道を挟んで気配を消しつつ畑を伺う。ナッツボアは畑の畝に鼻を突っ込んで作物を食い散らかしているみたいだ。あちこち掘り起こされた跡が見て取れる。


「シホ、リュカ。まずは死角から右側の1頭を仕留めに動く。左のナッツボアが動こうとしたら牽制を入れて欲しい。」


「わかった。傷無しの最優良の皮狙いだね。」

「ユキト兄様、足元狙いですね!」


「うん、頼む…行くぞ………3、2、1、GO!」


俺は右側のナッツボアに向かって走り出す。2頭共、音に反応して顔を畝から上げ、こちらに振り向く。

ナッツボアはこちらに来るには方向転換しないと無理な為まごついている。

うん、後ろからの奇襲は正解だな。振り向きこちらに突進しようとするタイミングで左側のナッツボアの足元にクロスボアの矢が突き立ち突進を中断させる。俺は右側のナッツボアの横に滑り込むようにして…纒刃を一閃!

首の中程までを切り裂き、胴体を蹴り飛ばして左側のナッツボアに向かう。…正面からの纒突、矢に怯んでいたナッツボアは何も出来ずに頭蓋を貫かれる。

振り返り、首を切り裂いたナッツボアを見るとすでに動いていない。先日よりも深く切り裂けたみたいだ。


「シホ、リュカ。終わったよ。荷車を街道まで持ってきてもらっていいか?」


「シホ姉様は周りの警戒を。荷車はリュカが取ってきます。」


俺は2頭のナッツボアをそれぞれ引きずって街道近くまで運ぶ。浄化はシホがかけたみたいだな。


「よし。シホ、リュカ…解体してみるか?」


「うん、まずはユキトがお手本見せて!」

「はい。よろしくお願いします。」


「じゃまずは森沿いに移動だ。」


ちなみに…ナッツボアに荒らされた畑は…リーナさんに先日チラッと聞いたが放置でいいみたいだ。定期的に農業協会でチェックして処置するらしい。




ナッツボアを荷車に載せたまま森沿いの枝の太い木の近くに移動。まずは吊るす枝の真下にスコップで穴を掘る。その間にナッツボアの後ろ足にロープを…吊り上げて血抜きをする。


「お…重い…これ私1人じゃ無理。」

「シホ姉様と2人でもきつかったです……」


「今回はどんなものか…やって貰ったけど普段は俺がやるからね?血抜きはまだ時間かかるし、少し休憩。俺は周りを索敵しながらまわってくる。」


2人はクロスボウに矢をつがえたまま座ってお互いに別方向を警戒している。うん、程よい緊張はあるみたいだ。

俺はシホとリュカにも気を払いつつ浅く森にも入りツノウサギをさがしていく。



そろそろ血抜きも終わったかな?俺は4羽のツノウサギを仕留めて2人のところにもどる。


「お待たせ。ナッツボアの解体を始めようか。吊り下げたままやるから…少し?かなり?衝撃があるかも?」


「「え"っ?衝撃??」」


うん、シホは腹を裂いた瞬間から周りに充満する血の臭いと腹圧で飛び出してくる内臓を見て…orz状態。リュカは顔が真っ青になっているが…なんとか大丈夫かな?

シホの復活を待って続きを。今回はちゃんと肝臓も取り出しておく。

残りの1頭は俺が助言しながらリュカ主導で無事終了。

ここは血の臭いが強すぎるから移動してからお昼だな。


「シホ、リュカ。荷車に積んだら東門方面に移動してお昼にしよう。」


「うぅ…この臭いはなかなか慣れそうにないね…もう、吐くことは無いと思うけどキツい…」

「リュカも…ツノウサギとは別物でしたね。臭いはかなりの強さでした…」


「シホは解体までは無理そうか?」


「無理じゃないけど…正直臭いがキツいかなぁ。あっ…鼻栓すればいける?」


「なあシホ…今の鼻栓発言で思いついたんだが……守りでマスクみたいな形で臭いを遮断できないか?」


「!!……ユキトっ!それだよっ!……んっ…できたっ!これで勝つる!」


かなりの距離を移動し、遅めの昼ご飯。

待望のオニギリと稲荷寿司だ。


「ユキトっ早くっ早くっ!まずはオニギリをっ!」


シホはオニギリをむんずっと掴み半分に割る…中には赤い物体…あれは梅干し?

俺も別のオニギリを割ってみる。これは…おかか?


「う〜ん♪久しぶりのオニギリ!しかも梅干し!至福のひと時っ!!」


「シホ、こっちのは…おかかだ。たぶん色々な具が入っているみたいだぞ?」


「おぉ…ユキト、こっちのと半分ずつにしよっ!リュカちゃんは最初は梅干しはキツいか…ユキトのおかかを渡して!」


俺は半分に割ったオニギリをシホと交換し、リュカにも渡す。


「リュカ、それは魚を干して醤油で味付けしたものだよ。御飯と一緒に食べてみな。」


鰹節はもっと複雑な工程を経るがリュカも混乱するだろうし、簡潔な説明でいいだろう。

リュカはオニギリをマジマジと見ていたが。意を決したのか小さな口で齧り付く。

目を閉じてしばらくモキュモキュしていたが…


「シホ姉様、ユキト兄様。これ美味しいです!お魚のギュッとした味に醤油が絡んで…少し塩っぱいですが一緒に食べると御飯が甘く感じます!スープの時は甘さなんて感じなかったのに。」


リュカもオニギリはお気に召したみたいだ。その後食べた梅干しは酸っぱくて苦手みたいだったけど。


「お稲荷さ〜ん、お稲荷さん♪…パクッ…モキュモキュ…ん…甘さ控えめ?でも胡麻が入って美味しい!」


「どれどれ……ん、これは味醂の甘さだな。ほら砂糖は普段、出回ってないだろ?」


「あ、そっか。」


「リュカはこの稲荷寿司…甘くて気に入りました。果物以外にも甘い物ってあるんですね。」


シホは久しぶりの、リュカは初めて出会う甘味にご満悦だ。

今回のお弁当はストックを考えずに皆で完食。ちなみにオニギリの具は、梅干し2個、おかか、昆布の佃煮だった。添えてあった沢庵も良かった。

佃煮や稲荷の揚げ…甘味が必要な物は味醂が大活躍みたいだ。

食後のお茶タイム…今日は緑茶。


「ユキト…お弁当の数増やそう。たぶん毎日食べきっちゃう。もう1個づつ追加で。」


「そうだな。…リュカはお腹満足かい?」


「はい、ユキト兄様。リュカはお腹いっぱいです。」


「シホは足りた?」


「うん。この量で丁度良いかな。」


「なら今日帰りに『宿 枯山水』に寄って追加できるか聞いてみよう。」


昼の休憩も終わり、森沿いを東門に向かって歩いていくが何も狩れなかった。


解体場にナッツボア2頭とツノウサギを4羽提出。牙と納品票を受け取り荷車を預けて、『枯山水』に向かう。


「すみませ〜ん…」


「はぁい。…あらユキトくん達じゃない。どうしたの?」


「いや…お弁当なんですが、もう1個づつ…オニギリ弁当と稲荷寿司を3個づつ、6個に増やしたいんですが大丈夫ですか?」


「あら、4個じゃ足りなかったのね。増やすのは大丈夫よ。明日から?」


「はい、明日からお願いします。…これ追加分の料金です。」


「承りました。今はナッツボアの討伐かしら?頑張ってねぇ。」


無事、お弁当の追加もできたし宿舎に帰ろう。

空を見ると雲は厚いまま。今日は降らなかったが明日は雨かもしれない。

降らなければナッツボア、小雨なら…薬草採取とツノウサギもありだな。




お読みいただきありがとうございました。


読んでみて、面白かったと思ってくれて評価してくださると嬉しいです。


不定期になるとは思いますができる限り書き続けていきますので、よろしくお願いします。

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