表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
短編集  作者: 七瀬乃


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/7

ラーメンの隠し味

 そっとベッドに娘を寝せ、音を立てないように部屋を出た。リビングに入り、ため息をつく。手が震えてきた。腕が限界だ。


 時計を見ると、二十二時を回っていた。

 洗濯も干したかったし、ご飯も作りたかったし、お風呂にも入りたかった。

 キッチンに行き、シンクに溜まっている食器から目を逸らして、お湯を沸かす。

棚からカップラーメンを取り出した。蓋を開けようとして、手が何度も滑ってなかなか開けることができない。

 またため息をつく。

 リビングにお湯の沸く音だけが響く。

 お湯を沸かしている間に、食器を食洗機の中に入れたらいいのだけれど、ただただお湯の音だけを聞いていた。


 お湯が沸いたので、蓋をどうにか開けてお湯を注いだ。

 時計の針の音が部屋に響いている。


 ラーメンができるまであと一分。


 うわーん、と娘の泣く声が聞こえた。ベビーモニターを見ても、娘は泣いていない。

 

 タイマーが鳴った。


 椅子に座り、ラーメンの蓋を開けた。


 うわーん、とまた鳴き声が聞こえる。今度本当に泣いている。耳を塞ぎたくなった。


 助けて。


 誰も助けなんか来てくれない。あの子には私はしかいない。


 娘が寝ている部屋へ近づくにつれ、泣き声が大きくなる。

 部屋に入り、娘を抱きかかえた。

 すぐに娘は泣き止み、また眠りへと落ちる。

 しばらくして、また娘をベッドに寝せ、リビングへと戻る。


 テーブルの上には、冷えて汁を吸ったラーメンがあった。

 

 私はそのまま麺を啜った。目から溢れる涙がラーメンに入った。

 

 これは隠し味だ。


 そう心の中でつぶやいて、自分で鼻で笑った。


 ベビーモニターを見ながらラーメンを啜る。


 娘が、母乳を飲んでいる夢でも見ているのか、口を動かしながら寝ている。


 そんな姿に口元が緩む。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ