FILE8・正体・・・。
私は手際よく手当てを続けた。
湿布や絆創膏を腕や顔に張っていく。
調べてみたけど、幸い骨は折れてないようだった。
アザや擦り傷だらけだけど、命に別状はない。
とりあえず、一安心だ。
「ん?」
私は手当てをしている途中に黒渕の人のポケットから出てきたものに目を奪われた。
「・・・国際国家機密工作所職員」
長い名前。
でも、ポケットから出てきた手帳の一番裏のページには確かにそう記入されていた。
「椎名錬」
その下に書いてある顔写真と名前。
めがねはかけてないけど、顔は同じ。
確かにこの手帳はこの人のものだろう。
生年月日が5月23日。年齢は・・・私と同じ。
でも、機密工作所職員って・・・あの・・・スパイでしょ?
よく漫画とか映画とかに出てくる・・・あれ。
だけど、それが、何でこんなところに・・・
何かを調べていたのだろうか?
私は黒渕の人を見つめた。
黒渕の人はすやすやと寝息を立ててさも気持ちよさそうに眠っている。
さっきまでのぐったりしていたような様子はない。
・・・私は大変な人を助けてしまったのではないか。
そんな思いが胸を駆け巡った。
どうしよう・・・
戸惑っていた。
このまま手当てだけして帰ろうか。
でも・・・この手帳はどうすれば・・・
気になって学校なんていけるわけがない。
私はそこまで思って心のそこからため息をついた。
また余計なものを見つけてしまった・・・
でも、また同時に余計な好奇心が生まれていた。
この人、面白そう。
少しなりともそう感じていたんだ。私。




