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SPY・KIDS  作者: 奏良
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FILE39・使える駒は、使うのみ

あれから二週間。

私たちは休養のときを過ごしていた。

もちろん、中学校には行っていない。

もうすぐ受験だというのに、大丈夫だろうか?

それ以前に、体験工作員になってしまった時点で、高校にいけるかも危ういのに・・・。

「次、どこ行く?」

錬が幼子のように、きらきらとした瞳で私を見下ろす。

私の傷が大分治ってきてから、私たちは色々なテーマパークやアミューズメントパークを渡り歩いていた。

「え、まだいくの?」

「何言ってんだよ。まだに決まってるだろ?」

いや・・・全然決まってない・・・。

私の突っ込みは、言葉にならなかった。

「だいたい、今日は日曜なんだから、いつもよりも込んでるよ?」

「いいよ!僕、“順番まち”っていうのもやってみたかったから」

ずいぶん寒い時期になった。

そんな時期にもかかわらず、まちは相変わらずの込み様。

得に、今日のような休日は人が多かった。

「ったく・・・」

私はそうつぶやいてから、錬の手を取る。

手をつかんでいないと、絶対、この人ごみを離れて歩いたら錬がまいごになるから。

「ほら、行くよ」

「おう!」

錬の楽しそうな表情が、私を見下ろしていた。

任務についてるときと、表情が全然違う。

だけど、どっちも錬だ。

どんなときも、錬は、錬だ。

私もにかっと笑って錬を見上げる。

「よっし、じゃ、次あれね」

「はいはい」

人ごみの中を、並んで歩いた。


「そうか・・・まぁいい、Bが成功しただけでも、いいとしよう」

山沢は、将捕からの連絡を聞いていた。

「あぁ、大丈夫だ。携帯の件は、こちらで対処する。あぁ、次の任務を遂行しろ」

それだけ告げると、山沢は通信を切る。

「ちっ」

部下をなだめるような声から一転、山沢は貶すような表情で舌打ちをした。

「どいつもこいつも・・・」

小声で将捕と手乞をののしる。

山沢にとって、所詮部下は、自分の目的を達成するための駒でしかなかった。

使える駒は、きちんと動くようにしておく。

そうするためには、駒に決して手の内を見せてはいけない。

そうすれば、敵につかまろうとも、情報が漏れることはなかった。

それに、万が一部下がミスを犯そうとも、自分に疑いは向かない。

山沢はそう確信していた。

疑いは・・・全て・・・

「おい、山沢」

社長室から馴玄の声がする。

「はい、ただいま」

山沢は表情をがらりと変え、有能な秘書を装った。

「作戦は、上手くいっているか?」

「もちろんにございます」

「そうか・・・よかった・・・」

馴玄は、懐かしげに旧友の写真を指でなぞる。

「これは、全てお前のためなんだ・・・すまない、滝川・・・」

滝川が目の前にいるかのように、写真向かって馴玄は話し掛けた。

山沢はその様子をただ見つめている。

「では、このまま遂行させていただきます」

「あぁ、信頼しているぞ、山沢」

馴玄の声と同時に、山沢は社長室を出た。


「信頼、ね・・・」

山沢は皮肉めいた表情で社長室のドアを見る。

「あんたは、何にも知らないまま死ねばいいんだ・・・」

馴玄は、まだ何も知らなかった。

ただ、旧友を思って、デスクに腰を据えていた。

新年明けましておめでとうございます。

今年も、奏良を何卒よろしくお願いします。

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