FILE34・急ぎの救助
大量の崩れた壁。
ロッカーの上にどうやって・・・?
そう思い、床を見ると、全く気づかなかったが、ドリルのようなものが散乱していた。
これで、壁を崩したんだ。
私は小さな塊を拾い上げる。
とたんに腕に刺すような痛みが走った。
まだ、血は止まっていない。
私は右手を使い、急ぎながら壁をどかしていった。
でも、急いでいるつもりであっても、左手が使えず、時間だけが徐々に過ぎていく。
このままじゃ、錬が・・・。
足で破片を蹴り飛ばしながら、ロッカーが開く程度に壁をどかした。
でも、ロッカーにはしっかりと鍵がかかっていた。
将捕や手乞のかばんなどを探るが、鍵らしいものは出てこない。
「・・・」
私はロッカーの前に立つと、左腕の痛みに耐えながら足を振り下ろした。
鈍い音とともに、鍵が砕け散る。
私はあわててロッカーを開けると、錬がぐったりした様子で中にいた。
「錬!」
体を揺さぶるが、反応がない。
息が薄い。
私は辺りを見回したが、ここには酸素ボンベのようなものはなかった。
「錬、ドーナツでもハンバーガーでも駄菓子でも、予算の限りかってあげるよ!」
もちろん、返答はない。
「ねぇ、錬!錬!」
私は錬の肩をつかんで思い切り揺さぶった。
その衝撃で錬のポケットから10円ガムが転がり落ちる。
「10円ガム・・・」
私は周りについている紙を剥ぎ取ると、錬の口の中にガムを押し込んだ。
「・・・」
ただ、錬の顔を覗き込み、様子を伺う。
「錬・・・」
そうつぶやいたとき、
「ゆ・・・悠・・・?」
錬の口が小さく開いた。
「錬!」
「やっぱ、助けてくれたんだ・・・」
そういって、錬がゆっくりと起き上がる。
まだ呼吸が薄いようだが、起き上がれればダイジョウブだろう。
「よかった・・・」
私は胸をなでおろす。
「将捕は?」
「あっち」
私が指を刺すと、錬が笑った。
「ほら、悠は最強だよ」
そういってから、不意に錬が顔をしかめる。
「何これ・・・ガム?」
怪訝そうな表情を浮かべる錬をみて、私はすっかり安心してしまった。
そして、安心とともに、腕の痛みが蘇ってくる。
「ぐ・・・」
「え・・・?悠、怪我してんの?」
錬が私の腕を見て青ざめた。
急に頭の中がゆれだす。
「え・・・ゆ・・・ゆう!」
錬の声とともに、私は真っ暗闇に落ちた。




