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SPY・KIDS  作者: 奏良
31/44

FILE30・絶対助ける!

「ちっ・・・」

私があの部屋にたどり着いたとき、もう人影はなくなっていた。

当然、錬もいない。

私は携帯電話を耳に近づけた。

「一つだけ、聞きたいことがある」

少林拳さん・・・じゃない、将捕の声がする。

錬と将捕の間に壁のようなものがあるのか、すごく聞き取りにくい。

つまり、錬は、何か箱のようなものに入れられている・・・?

「何故、俺が偽者だと分かった。普通、仲間だと思っている奴の携帯を盗聴なんてするわけがない」

「・・・お前に、慎重さが足りなかったからだ」

「ほう」

「少林拳は、慎重な男だ。お前みたいな軽い行動、絶対にしない」

「そうか・・・ふむ、新たな変装の課題が見えてきたな。今度からは、そういうところにも気をつけるとしよう。最も、まさか君なんかにばれるわけがないと思っていたからな。今回は、あまり本気でかかっていなかった。

貧弱スパイもなめてかかってはいけない」

そういってクククっと笑う声がした。

その声にカチンと来る。

前までは、私も錬のことをだめな奴だと思っていた。

でも、今は違う。

将捕の変装を見破ったんだ。

それを、「貧弱」なんて、絶対二度といわせるものか。

私はそう心に誓った。


「だが、お前の命もこれまでだ」

「・・・僕も、一つだけ教えてほしい」

「何だね?」

「ここは、どこだ?」

「そんなことを聞いてどうなる?」

「別に・・・知りたいだけだ」

廊下を走っている途中、錬が指示通りの質問をした。

言い訳もきちんと出来ている。

「フフ・・・冥土の土産って訳か・・・良いだろう。ここは、倉庫だよ。一階の一番大きな倉庫だ」

「一階の・・・一番大きな倉庫・・・」

勝手に解釈した将捕の声と錬のつぶやき。

一階の一番大きな倉庫・・・

私は職員用の大きな倉庫を思い出す。

あそこだ!

私は一目散に走る。

「そう、ここが、貴様の墓場だ・・・」

将捕とは別の声・・・あの支配人だ。

前の電話で分かっていたが、あの支配人も将捕の・・・その奥の組織の仲間。

二人ということは、何事も行いやすくなる。

錬を殺しやすくもなるし、逃げやすくもなる。

私は走るスピードを上げた。

絶対助ける。

その言葉だけが、私を勢いづかせていた。

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