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SPY・KIDS  作者: 奏良
21/44

FILE20・助太刀現る!

「錬」

「何?」

明らかに不機嫌そうな錬の声。

「ちょっと・・・」

私は続きを言おうとして、声を止めた。

「ん?」

私の視線の先に気づいた錬がそっちを見ようとするのを私は抑える。

そこにいるのは、釈放されたやくざたちだった。

「どこにいる・・・あいつらめ・・・」

店員に殴られたのだろうか、痣を作った男の視線がこちらに向く。

「ん・・・?あいつら・・・見たことある顔だが・・・」

もしかして・・・変装ばれた?

やばい!

反射的にそう感じた私は錬に抱きついた。

「なっ」

錬が何か言おうとしたが、空いているほうの手で口を塞ぐ。

「ちぇ、こっちは忙しいってのに、いちゃつきやがって・・・」

そういって男たちは去っていく。

「ふぅ・・・」

何とか、いちゃついているカップルを偽装して男をかわすことが出来た。

私は錬から離れる。

「あぁ、ゴメンね、他に誤魔化しようなかったし・・・」

「・・・」

錬は、真っ赤になってうつむいている。

「・・・?」

疑問に思ったが、放っておいた。

「おい」

不意に声をかけられる。

驚いて振り返ると、そこには黒い服を着た男が立っていた。

まさか、ヤクザの仲間?!

そう思った私は反射的に軽く身構える。

ところが、その人は錬を見るなり、げらげらと笑い始めた。

「錬、何だその格好」

「え、少林拳?!」

「・・・いい加減、その呼び名は止めろ」

その人は錬の知り合いのようで、錬と親しげに話している。

年齢は、20代くらいだろうか?

筋の通った顔立ちで、ジャニーズ系の人だといわれても疑いは出来ないだろう。

「しょ・・・少林拳・・・?」

私が怪訝な顔をしているのに気づいて、「少林拳」さんが、挨拶してきた。

「僕は小林拳(こばやしけん)。国際国家機密工作所の秘密工作員。階級は7だ。

君が、体験工作員の飛来悠君だね?」

「あ、はい」

少林・・・じゃなくて、小林さんに向かって頭を下げる。

「何で少林拳がここに?」

「僕の名は小林だが、それはさておきだな、僕は君たちの監視役を任された」

「監視ィ?」

「お前だけじゃ、この取引を成立させないようにするのが不安なんだとよ」

「僕だけじゃない、悠もいる」

「だから、階級一つと体験工作員でこの重要な取引をとめられるのか分からないってことだ」

確かにそうだ。

こんな、自分の身も守れないような(だだっこ)と二人は、聊か厳しいだろう。

階級7なんて人が来てくれるのは、とても心強い。

私はこくこくとうなずいたが、錬は納得していないようだ。

「僕は平気なのに・・・」

いや、あんたと一緒にいると、私が不安だ。

全く、平気じゃない。

「よろしくお願いします」

私は素直に頭を下げた。

「どうも、錬より君のほうが頼りになりそうだな。よろしく頼むよ」

「・・・」

錬は相変わらず膨れっ面。

その顔の幼さに、私はクスリと笑った。

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