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退屈した魔王は勇者になる様です。  作者: ナミ73
4章:魔法学校編
38/64

33話:魔法の才能

今回はクロト視点ですが、メインはフィリアを含めた五名の女子生徒です。

まだ細かい設定等を考えていないので、暫くはグダグダな内容が続くかもしれません……。

  〜人間界〜


 魔法学校登校初日、魔法実技科目の授業にて、思いがけぬ大事件が勃発した。


 粉々に砕けた水晶を前に、クラス全員は口を開けて絶句し、不穏な空気が漂わせている。


 他人事の様に言ってはいるが……その事件を起こした当の本人は、紛れもなく俺だ。


「あーあ……」

「やっちまったな……」


 などと言う、非難の声を呟く生徒さえ現れる始末である。


 ともかく、一刻も早くこの不祥事を安穏に収めたい考えた俺は、即効でマーリンに謝罪する。


「すいません……慣れない経験だったので、上手く加減が――」


「……クロト君……」


 そこまで言いかけた所で、粉々になった水晶を呆然とした表情を浮かべながら見ていたマーリンが小さく呟き、俺の言葉は遮られた。


 その目には長い前髪によって作られた影が掛かっており、低めの声のトーンと相まって怒っているかの様に感じられたからだ。


 怒鳴られる事さえ覚悟を決めた俺は、それ以上の言葉を封じて心の中で息を飲んだのである。


 しかし……マーリンの口から放たれた言葉は、思いもよらぬ内容だった。


「す……凄い魔力なのです! これ程の才能を生まれ持つ生徒が、先生の学級に来てくれるなんて……!」


「……はい?」


 満面の笑みで放たれたマーリンの言葉の意味を理解出来ず、俺は呆然とした表情で聞き返した。


 一体、この事態をどう解釈すれば、その様な台詞になるというのだろうか。


 俺を叱咤するどころか、寧ろ褒めている様にも感じられるのだが……その意図は如何に?


「今までの教師生活で、この水晶を壊す程の魔力を持つ生徒は居なかったのですよ。

 クロト君は私の教師生活史上、最も膨大な魔力を持つ優秀な生徒であるという事なのです!」


「はあ!?」

「マジかよ!?」

「あいつ、何者だよ……」


 マーリンが明るい口調で告げた言葉に、生徒全員は歓声を上げる。


「はあ……そうですか」


 しかし、それに対して俺は冷めた反応を示した。


「あれ? 嬉しく無いのですか? これは非常に素晴らしい事なのですよ」


 当然だろう。

 事実、魔力量が膨大という訳ではなく、魔力が減ってなかっただけなのだから。

 つまりは、褒められる以前に、マーリンの解釈が間違っていた為、今ひとつ素直に喜べないのである。


 いや……実際に魔力量が膨大であったとしても、喜んではいなかっただろう。

 何故なら、この世の誰よりも魔法の経験が豊富である筈の俺が、ただの魔力操作ですら完璧にこなす事が出来ず、誤って水晶を破壊させてしまったのだから。


「……すごい……」


 俺が水晶を壊す様子を真剣に見ていたルアナが、ポツリと呟いた。

 恐らく彼女も、俺に膨大な魔力が備わっているのだと錯覚しているのだろう。

 素直な感想なのだろうが、今の俺の心境では嬉しさを感じない。


「ま、まぁとにかく、他にも素晴らしい才能のある生徒さんが居ないか、先生は気になるのです! では、今からは前列の人から順番に試してくださいね!」


 マーリンは気を取り直し、生徒全員に明るく魔法実技の再開を告げる。


「しかし……水晶が壊れてしまった状態で、どうやって――」


「ノープロブレム! 問題無いのですよ」


 俺が疑問を言い終える前に、笑顔で放たれたマーリンの言葉がそれを遮った。


  一体、どういうつもりで――

 俺がそう考えていると、マーリンは粉々に砕けた水晶に触れ、たった一言呟いた。


修復(レストレーション)


 それは、俺にとっては既に聞き慣れた、無属性の"魔法名"だった。


 単純な魔法名ではあるが……その効果は、壊れた物体の時間を戻して完全修復させるという、上級魔法の中でも上位に位置する程の、非常に高等な魔法の一つである。


 マーリンが発動させた魔法は徐々にその効果を水晶に反映させ――散り散りになった破片は一箇所に集合し、元の透明で綺麗な球体へと形を成した。


 完璧とも言えるマーリンの魔法の扱いに、俺は内心で驚愕しつつも、面には表さなかった。


「「「おお……」」」


 その様子を真剣に見ていた生徒達は、利便性に富んだ、実用的な魔法を目の当たりにして驚嘆の声を上げる。

 無限大とも言える魔法の可能性を、たった一回だけマーリンが扱った魔法から見出しているのだろう。


「感心している様ですが、皆さんも頑張れば、この様に便利な魔法は扱えるのですよ。

 ですので、先ずは皆さんの才能を発見していきましょう!」


 そしてマーリンが明るい口調で告げて、魔法実技が再開されたのであった。



  ......................................................



 それ以降、授業は順調に進行された。


 大体の生徒は小さな火を顕現させたり、少量の水を掌から放出したり……と、初級にも劣る小規模な魔法を発動させる程度であった。

 とは言え、水晶の効果によって、生徒から吸い取った魔力量の100分の1倍の出力で魔法を発動させているのだから、まだ魔法入門である生徒達にとっては妥当な結果と言えるだろう。


 そして――偶然にも、フィリア、ミキ、アイラ、ユウナ、ルアナの5名に、一番最後の順番が回ってきたのである。


「ようやく私の番ね」


 俺の隣の席で、フィリアは未だ興奮が冷めやらぬ様子のまま呟いた。

 いや、寧ろ、他の生徒が魔法を扱う様を見て、期待が高まったのかもしれないな。


 そして教卓まで近づいたフィリアは他の生徒同様、水晶に手を翳して目を瞑る。


 それと同時に、フィリアの雷属性の魔力を吸い込んだことによって、半透明な黄色になった水晶から雷が発生する。


「あっ……」


 その瞬間、フィリアが小さく呟くと同時に、驚愕の表情を浮かべた。


 何故なら――その雷が進む軌道の先には、俺が居たからだ。


「くっ……、"影喰(シャドウイーター)"!」


 水晶から雷が放たれてから、俺に当たるまでの一瞬の判断にて、俺は最適な防衛手段を選択する。


 "影喰(シャドウイーター)"――暗黒物質(ダークマター)によって影を実体化させ、竜を模倣して造形した先端の口にて相手の魔法を『喰らう』闇属性の魔法だ。

 暗黒物質(ダークマター)自体には対消滅性質が存在しており、喰らった魔法を打ち消しながらも俺の魔力へと還元できる。

 つまりは、相手の魔法に込められた魔力量次第では、この魔法にて消費した魔力量と同等の魔力を補充可能である。


 俺の掌の数センチ手前から出現した黒き触手は、こちらに向かってくる雷を喰らい――そして、その全てを消滅させた。


 魔法そのものを完全に消し去る効果なので、周囲への被害は皆無である。


「えっ……何? 今の?」

「雷が……消えちまったぞ!?」

「なんか細長い触手みたいなのが、ウネウネって……」


 俺が魔法を放った様子を見て生徒達は騒めき始めるが、当然ながら先程何が起こったのかについては理解出来ていないようだ。


 それもその筈。

 先程使用した"影喰(シャドウイーター)"は、人間にとっては超高難易度である、闇属性の上級魔法なのだから。

 咄嗟の判断だったとは言え、合理的解決を優先させるが為に後始末を考えていなかった。


「く……クロト君? その魔法は、先生にも理屈が理解不能な魔法なのですよ? 一体何故いきなり使えて……」


 マーリンは、そこで言葉を詰まらせた。

 あまりの驚愕に、質問をうまく纏め切れないのだろう。


 しかし……これは思わぬ不祥事に陥ってしまった。

 まぁ、こうなってしまった以上、この不穏な空気をどうにか解消しなければなるまい。

 正直に言っても面倒事になりそうなので、適当に誤魔化すとしよう。


「ええと……思い付いた魔法名を口にしたら、何故か発動出来てしまいました」


 いや、何言っているんだ俺。

 無茶にも程があるだろう。


 そう考えている俺に、マーリンは意外な言葉を発する。


「そ……そうだったのですか。確かに、授業で教えられなくても突発的に頭の中で理論を構築して魔法を扱えてしまう生徒さんもごく稀に存在しますが……」


 あれ? 怪我の功名と言うか、なんとか上手く誤魔化せた様だ。

 まぁ、せっかく納得してくれたのだから、それ乗じてこれ以上は下手な事を言わない様にしよう。


「……何なの、あいつ……」


 先程までは教卓の前で口を開けて呆然とその様子を見ていたフィリアが小さく呟いた言葉を、俺の"聴力強化"が捉えた。

 流石に、当然の反応と言えるだろう。


「凄いです、クロトさん。いつも私の予想の斜め上を行きますね!」


 ミキは何故か、こちらを向いて嬉しそうに興奮している。


「いや……別に意図的に魔法を使えた訳じゃなくて、使おうと思ったら何故か使えたんだよ」


「自然体な天才って、皆そう言うものよ……」


 謙遜する俺の言葉に、教卓の前から戻ってきたフィリアが突っ込みを入れる。

 確かに、感覚で実践できるという事は、それなりの才能(センス)を持っているという事だ。


「いえいえ、フィリアちゃんも先程の雷は中々の高威力だったのです。

 普通の人よりも、魔力量は結構多いのですよ!」


「そ、そうですか? ありがとうございます」


 マーリンに褒められた事で、フィリアは照れながらも嬉しそうに礼を言う。


「じゃあ次は、ルアナちゃんに実践して貰うのです!」


「……私の……出番」


 ルアナは無表情で呟きながらも、名前を呼ばれた瞬間に両手をグッと握りしめた事から、嬉しさが伝わってくる。


 同じ闇属性として、俺も彼女がどれ程の才能を持っているのかについては興味がある。


 そして教卓の前まで移動したルアナが、水晶に手を翳す。


 それと同時に、水晶は段々と黒く染まってゆき――闇属性の初級魔法である"黒球(ブラックボール)"を一つ、空中に顕現させた。

 暗黒物質(ダークマター)を球状に固めて操る、闇属性魔法としては比較的簡単な部類だ。


 何かに接触すると勢いよく"黒球(ブラックボール)"が弾けて、その衝撃によって接触物により強力なダメージを与える効果もある。



「……出来た……」


 しかし、それでもルアナは薄らと笑みを浮かべており、初めて魔法を扱った事に対する感動を覚えている事が見て取れた。


「………………」


 その様子を見ていると、何故かルアナがこちらに視線を向けて、じっと俺を見つめている事に気がついた。

 一体どうしたんだ……?


「……えい」


 そう考えていた俺に、無表情に戻ったルアナが、唐突に"黒球(ブラックボール)"を飛ばして来た。


「な……っ!?」


 投げる時に目線が俺を捉えていた事と、掛け声を掛けていた事から、それが明らかに意図的なものである事を、俺は瞬時に理解して驚く。


 そして俺は、こちらに向かって直進してきた"黒球(ブラックボール)"を素手で掴み取り、そして跡形も無く握り潰した。

 闇属性耐性とダメージ軽減のスキルの効果によって、何の痛みも感じずに"黒球(ブラックボール)"を消滅させる事を可能としたのである。


 俺が余りにも呆気なく魔法を消滅させた事に対して、周りの生徒やマーリンは口を開けて絶句していたが、先程から驚愕の連続ばかりだったので、もはや突っ込みを入れる気もない様だ。


「……やっぱり……通じないや……」


 ルアナが薄く笑みを浮かべつつ、ポツリと呟く。

 その表情と台詞からは、まるで、元から今の魔法が俺に通じない事を見通しているかの様に感じられた。

 ……俺の力を試した、という訳か。


「おいおい……通じないとは言え、わざと攻撃されるのは困るぞ?」


「うん……ごめん……でも……どうしても試してみたかった……」


 困惑した表情の俺に対して、ルアナは薄く笑みを浮かべたままだった。


「……私……クロト君を……目標にする」


「……え?」


 目標にするとは、一体どういう意味だろうか。

 いや、そのままの意味であろう。

 ただ……流石に、元魔王である俺に追いつくと言うのは無理難題だぞ。

 しかし、ハッキリと『無理だ』と言うのも余りに酷であろうし、ここは適当に相槌を打つとしよう。

 あくまで『目標』なのだから、無理に目指す必要も無いだろう。


「そうか、頑張れよ」


「……うん……頑張る」


 俺の言葉は適当な内容だったが、ルアナは喜んで返答してくれた。



「さて、次はアイラちゃんの番なのです!」


「はいはーい! 私の番ね!」


 マーリンの指名に、アイラは満面の笑みで意気揚々と返答し、教卓へと駆けてゆく。

 他の生徒が魔法を扱っている時も、ウズウズと自分の番を楽しみに待っていたからな。


「フフン、でっかい炎を出して、皆をあっと驚かせてやるわ!」


 彼女は火属性だから、炎を想像(イメージ)して顕現させるつもりなのだろうが……100分の1の魔力しか使えないのだから無理だろう。


「そんな事したら、火事が起こっちゃうのですよ!?」


 確かにな……と、俺はマーリンの突っ込みに内心で頷く。


「あはは、冗談冗談!」


 アイラは笑顔で誤魔化しつつ、水晶に手を翳す。

 それと同時に、水晶の真上に人間の頭部ほどの炎が顕現する。


 火属性の生徒は他にも数名居たが、アイラが顕現させた炎は、その生徒達の炎よりも一回り大きいものだった。


「おぉ! アイラちゃんも良い才能の持ち主なのです!

 何より、先生は教室が火事にならなくて安心したのですよ……」


 そう言いつつ、マーリンはほっと胸を撫で下ろした。

 どうやら、割と本気で火事が発生するのを危惧していた様だ。

 まぁ確かに、種火ほどの小ささであろうと火事は起こりうるものだから、初心者が火属性の魔法を扱うという事に緊張を覚える気持ちも分かる気がするが。


「ふっふーん! このアイラちゃんは、勉強でも魔法でも他の生徒と一線を画すのだ!」


 自分に魔法の才能がある事を知ったアイラは、さっそく得意気になっている様だった。

 案の定、『他の生徒』という言葉は俺を例外としている様だが。



「じゃあ次は……」

「次はユウナちゃんの番だね! 頑張って!」

「あっ!? 先生の台詞を取っちゃダメなのです!」


 アイラはマーリンの台詞に合わせて、ユウナの名を読んだ。

 自分の台詞を取られたマーリンは、頬を膨らませて不服そうな表情をしている。


「よーし、私もアイラちゃんみたいに凄い魔法を発動させるぞー!」


 ユウナはアイラ同様に、意気揚々とした様子で教卓へ向かう。

 両者とも『ちゃん』付けで呼び合っている辺り、二人の仲は良いのだろうか?


 そういえば、まだ彼女の属性は聞いていなかったな。

 闇属性は俺とルアナの二人だけだとマーリンは言っていたので、少なくとも彼女が闇属性である可能性はゼロだろう。


 そう考えていると、教卓にユウナが水晶に手を翳している事に気づいた。

 彼女の属性を窺う為に、俺は水晶に注目する――が、次に放たれた彼女の一言は、驚愕に値するものだった。


「水晶よ、激しく光れっ!」


 え? 『光れ』って……まさか?

 ユウナの言葉を聞いてそう考えた瞬間、水晶からは激しい閃光が放たれた。


「ちょっ……!」

「うわ!?」

「眩し……っ!?」


 そして、その水晶に注目していた、俺を含む全生徒がその激しい光を防ぐ間もなく直視してしまう。


 教室内には静寂が訪れ、白く染まった俺の視界では、その様子を視認する事は出来ない。


 しかし俺は、"ダメージ軽減"での魔法耐性と、"肉体再生(オートリバイヴ)"による網膜の神経細胞の正常化促進効果によって、僅か数秒で正常な視覚を取り戻した。


 改めて教室内を見回して見ると、まだ目が慣れていないのか、生徒達は目をパチパチと瞬きしている。

 闇属性の俺でなくとも、相当に強力な光だと感じた様だ。


「うっ……まだ目がチカチカするわ」


 俺に続いて、フィリアが他の生徒達よりも早く視覚を取り戻した様子だった。


「あらら……」


 この惨状を引き起こした当の本人であるユウナは、しまったと言わんばかりの気まずい表情で周りを見回しながら呟いた。


「うう……目がチカチカするのです……」


 マーリンも視界を取り戻しつつあるのか、パチパチと瞬きしながら呟いた。

 他の生徒達は、どうやら視界を取り戻すのに暫く時間が掛かりそうだ。



  ......................................................



 数分ほど経った頃、ようやく生徒達は視界を取り戻した様だ。


 一番被害を被っているのは、闇属性かつ最前列に居たルアナだと思うのだが、ユウナと仲の良い彼女は光属性の魔法が発動する事を知っていたのか、どうやら事前に水晶から目を逸らしていたらしい。


 その様子を見て、マーリンが発言する。


「えー、では気を取り直して、最後はミキちゃんに実践して貰うのです!」


 最後にミキが残ったのは意外だったが……まぁ、風属性である彼女に限って、俺や先程のユウナの様な惨事は起こらないであろう。

 何しろ、火とは違って相当に強い風でも起こらない限り、事故は起こりえないからだ。


 マーリンとしても、最後ぐらいは普通に締め括って欲しいものだろう。


「わ、私が最後ですか……何だか緊張しますね」


 苦笑いで言いながら、ミキは教卓へと向かう。


「私にも、才能があります様に……!」


 目を瞑りながら願い事を捧げる様に呟き、ミキは水晶に手を翳した、その瞬間。


 ――教室全体に、水晶から強烈な暴風が吹き荒れる。


「「「うわっ!?」」」


 生徒達は一斉に驚きの声を発し、咄嗟に両手で身を守った。

 余りにも風が強烈過ぎて、何かしらの飛来物が飛んでくるのを危惧したからである。


 教室の窓ガラスはガタガタと音を立てながら振動し、ミキを含めた生徒達全員の髪や服は強く風に煽られている。


「あわわ……! どうすれば……」


 予想外過ぎる惨状を見て、ミキは混乱した様子で慌てている。

 そんな彼女の様子を見て、マーリンは素早く解決策を伝える。


「は、早く水晶から手を離すのです!」


「あっ……はい!」


 マーリンの言葉を聞いて、ミキは水晶から手を離す。


 それと同時に水晶から放たれる風は止み、教室内には嵐が去った後の様な静寂が訪れた。


「す……凄い魔力量なのです……。

 クロト君を除いて、このクラスでは間違いなく一番なのですよ……」


 マーリンは嘸かし驚愕した表情で告げる。


 最後は普通に締め括る事になるかと思ったが……どうやら、物事が思い通りに進む事は難しい様である。

 最後の最後に、とんでもない人物が残っていたものだ。


 そして何より、初めて出会った頃、あれほど魔法学校の生徒として自信なさげに振舞っていた彼女が、これ程の魔法の才能を持っている事に対して、俺は驚きを隠せなかった。


 しかし、予想外過ぎる彼女の才能に口を開けて驚愕する、どの生徒達よりも、遥かに驚いた表情で硬直している人物は――


「……夢じゃ……ないよね?」


 教卓の前でそう呟く当の本人、ミキ=バイオレット自身であった。

最近は物語を書く時間が少なく、一話ごとの文字数も少なくなってしまいます……(汗)。

あと数話書いたら、リミア視点でのストーリーも進行させたいと思います!

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