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退屈した魔王は勇者になる様です。  作者: ナミ73
2章:セインガルド騎士団入団編
17/64

15話:更なる試合へ

祝日無しの五日間学校で、小説を書く暇が余り無くなってしまいました…。

今回はキャラ制作回の様なものだったので、かなり苦労しました(汗)


感想にて、全ての段落が下がっていないという指摘を頂いたので訂正しました。

他にも問題点があれば感想欄にて教えて頂けると幸いです。

  〜人間界〜


 騎士団入団試験の実技試験の試合が全て終わり、試験を受けた俺達受験者は合格者の結果発表を待つのみとなっていた。


 合格基準は「実技試験の順位が十番以内の者」と「実技試験にて入団に相応しい実力を持っている事を証明した者」の二種類だ。


 前者からは言うまでもなく合格者が十名となるが、後者からは何名の合格者が選ばれるかは定められていない。


 フィリア曰く、後者の方は「これまでの入団試験では毎回五名程度が選ばれている」との事。


 後者の合格基準の該当者を試験管側で審議している間、俺達受験者は休憩室で待機していた。


 休憩室での待機中、実技試験で十位以内に入った俺達は入団確定で余裕の表情をしていたが、他の受験者達は後者の合格基準に誰が該当するのか、願わくば自分である様にと合格発表を今か今かと待ち受けている様子だった。


 やがて試験管側の審議が終わり、休憩室の連絡用魔水晶から受験者達に向けて会場への集合を指示され、現在は実技試験の受験者全員が会場のステージ上に集合している。


 会場に緊張が走る中、ステージ上に立っていた騎士団長が受験者達に向けて口を開いた。


 「全員、注目!

 これより、騎士団入団試験の合格者全員の発表に移る!」


 その大声で受験者の全員が静かに騎士団長に注目する。

 騎士団長の手には、合格者の名前が記載されてあるのだろう一枚の長い紙が握られていた。


 「では早速、実技試験上位十位以内の合格者を一挙に発表する!

 クロト=ルミナ!

 フィリア=ランベリー!

 エドワード=クラウス!

 ウィーカー=グローリア!

 アルノー=マルクス!

 デニス=ゼノフィン!

 クリス=センシオ!

 ジェン=アデル!

 アダム=ディアン!

 シム=フリード!」


 会場に響き渡る大声で、俺達を含む十名の受験者が発表される。


 第三位のエドワード=クラウス選手は、実技試験でフィリアに次ぐ数の勝ち星を上げた実力者だ。


 見た目は、彫りの浅い整った容姿に金色の長髪で、体格は百八十センチメートル程の高い身長で、素早い動作の邪魔にならない程度に鍛えられた筋肉が付いている。


 顔立ちから判断すると、歳は三十代前半ぐらいだ。


 筋肉質で大柄な体格ばかりの受験者と比べるとやや細身な体型をしている様に見えるが、ただ筋肉の増強を図るのみの受験者達よりも実用的な筋肉の鍛え方をしている為に無駄のない肉付きをしているのだろう。


 実技試験では大柄な体格をした選手の強固なる防御スキルを、攻撃系スキルを使用しつつ力押しで破る試合もあった。


 ただ膂力のみで相手の防御を崩すのでは無く、より相手に力を加えやすい体制を取る事も考えて戦っていたのだ。


 その重心移動の技術だけでも、彼の運動神経の良さが表れていた。


 防御面に関しても、音もなく高速で飛来する様な相手の遠隔攻撃スキルを難なく躱し続ける反射神経と集中力と、音速を超える渾身の一振りを受け流す等の高等技術が見られた。


 実技試験で彼と対戦した時は、結果としては当然俺が勝利したのだが、剣を交える中でその前までの試合の受験者の中でも頭一つ抜けた戦闘センスを感じられた。


 因みに体格の方は騎士団長にほぼ似ているが、騎士団長の方がエドワード選手よりも身長が僅かに高かった。


 第四位のウィーカー=グローリア選手は、黒の短髪でエドワード選手とは対照的に彫りの深い顔立ちをしており、短く顎鬚を生やしている。


 顔立ちから、歳はエドワード選手同様に30代前半だろう。


 エドワード選手と同じ百八十センチメートル程の身長だが、体格はエドワード選手よりもかなり筋肉質で大柄に見える。


 攻撃系スキルを多数所持しており、実技試験では数々の相手の防御スキルを力押しで破り多数の勝利を収めた。


 攻撃系スキルのバリエーションは豊富だが、その中でも特に圧倒的破壊力の下に、否応無しに相手を沈める一撃を誇る上位能力(ユニークスキル)の『超破壊(オーバーブレイカー)』が驚異(実技試験では相手の防御を崩す程度に威力を抑えていたが) だ。


 如何なる防御スキルや結界スキルも、ウィーカー選手の渾身の一撃を正面から受け止めれば無傷では済まないだろう。


 俺やフィリアは防御では無く回避優先の戦闘スタイルなので、その一撃を喰らう事は無かったが。


 筋肉隆々とした外見に反して筆記試験ではフィリアに次ぐ成績で相当な頭脳の持ち主でもある。


 第五位のアルノー=マルクス選手は、金色の長髪で、彫りの浅い顔に短く髭を生やしており、中々に男前な顔立ちだ。


 見た目はエドワード選手やウィーカー選手よりも若く見える。

 おそらく二十代中頃相当だろう。


 エドワード選手に近い体格をしており、俺達と同じ様に回避に特化した戦闘スタイルで戦っていた。


 回避特化とは言え、俺達の様に素早さを駆使しての回避では無く、アルノー選手は回避用のスキルを駆使していた。


 回避用の上位能力(ユニークスキル)である『全透過』は自身の体が一瞬のみ相手の攻撃を透過する様になり、どれほど強力な一撃でも相手の武器を透過する事で回避できる瞬間無敵化能力だ。


 効果の持続時間は発動してから一秒間で、次に発動する為の所要時間も一秒間。


 発動の間に相手の攻撃と共に相手の身体を透過して背後に回る事も可能な様だ。

 実際に試験中に使用していたからな。


 ウィーカー選手の様に、超強力だが鈍重な動きで回避のタイミングを見切りやすい一撃技に対して非常に有利なスキルだ。


 ただ……ウィーカー選手に当たる前にフィリアと当たって敗北してしまったのだが。


 フィリアの様に圧倒的手数で攻める相手に対しては、効果が切れた後の一秒間の所要時間の間に攻撃されてしまう為に非常に分が悪い。


 相手によって得手不得手の関係が大きく変動するタイプの選手と言える。


 第六位のデニス=ゼノフォン選手は、短い黒髪で顔の彫りは深くも浅くも無く容姿は平凡……という所だ。


 体格はこの十人の中ではウィーカー選手に次ぐ筋肉質かつ大柄で、身長は百八十センチメートルにギリギリ届く程だ。


 攻防一体型の上位能力(ユニークスキル)である「装備強化」を用いて相手に万能に対応する戦闘スタイルを取っている。


 『装備強化』スキルは、名の通り身につけた武器や防具の切れ味や耐久性を向上させる効果を持つ。


 防具に及ぼすスキルの効果を下げ、武器に及ぼすスキルの効果を上げるという事も可能で、このスキル一つであらゆる相手に対応できる。


 ウィーカー選手との試合ではスキルの効果を全て防御に振ったが、『超破壊(オーバーブレイカー)』を喰らった事で剣が砕けて敗北となった。


 蛇足だが試合終了後にフィリアに聞いた話では、試験管の方で上位能力(ユニークスキル)である『装備修復』を持つ者がおり、砕けた剣は修復して貰った様だ。


 第七位のクリス=センシオ選手は金色のかなり短い短髪をしており、顔立ちは彫りが浅く非常に整った容姿をしている。


 魔界で死神から『容姿の優れた男性を人間界ではイケメンと言う』と聞いたが、正にそれに当てはまる容姿だろう。


 体格も筋肉質だが無駄の無い細身の身体で、脚と胴体を覆う鎧が良く似合っている。


 上位能力(ユニークスキル)である『軌道予測』を所持しており、相手が振る剣の軌道や相手の移動するルートを先読みして可視化する効果がある。


 予測できる未来はスキル発動から三秒間以内までだ。


 可視化された軌道に入らない様に身体を移動させるだけで基本的には回避できる上、相手が防御の構えに入る動作まで予測して可視化される為に攻撃を当てるのも簡単なのだ。


 しかしフィリアとの戦いでは、フィリアの手数が圧倒的過ぎて予測しても対処し切れなかった為に敗北した。


 第八位のジェン=アデル選手は黒色の長髪で少し彫りの深い顔をしている。


 体格はデニス選手より少し細身の筋肉質な身体をしており、身長は百八十センチメートル後半でこの十人の中では最も身長が高い。


上位能力(ユニークスキル)である『攻防一体』を所持しており、相手の攻撃を防御する瞬間にこのスキルを発動させる事で、相手の攻撃の威力を上回る威力で相手の武器を押し返す事ができる。


 相手の攻撃を押し返した時には必然的に相手に隙が生じるので、その間に攻撃を加える事ができる。


 因みに相手の攻撃を押し返した瞬間に効果は切れるので、相手の攻撃を押し返しつつそのままの威力で攻撃する事は出来ない。


 剣以外の武器は勿論、発動のタイミングが合えば矢などの飛来物も跳ね返せる様だ。


 俺との試合にて、俺が「高速移動」でジェン選手との距離を詰めつつ速度に変速を加えて、相手の予測した俺の攻撃のタイミングをずらす事で「攻防一体」を発動させる事無くジェン選手の剣を弾き飛ばして勝利した。


 第九位のアダム=ディアン選手は茶色の短髪で、彫りの浅い平均的な顔立ちをしている。


 他の選手同様、筋肉質で身長は百七十センチメートル後半だ。


 防御系の上位能力(ユニークスキル)である『硬質化』を所持している。


 『硬質化』は武器や防具だけでなく、自身の体にも効果を及ぼし、強力な攻撃系を使用しない刃物ならば生身で受けてもダメージを負わない程の防御力を誇り、実技試験では相手の剣を素手で掴み粉砕するという驚異的な荒業を見せた。


 中盤までの試合では無敵の防御力を誇ったが、ウィーカー選手との試合で硬質化した剣を砕かれて敗北した。


 第十位のシム=フリード選手は銀色の長髪で、彫りの深い顔でクリス選手に次ぐ整った容姿の持ち主だ。


 他の選手と比べると、身長は百八十センチメートル程あるがあまり筋肉質な体格では無い(それでも俺よりはかなり筋肉質だが)。


 攻守のバランスの良い万能型の戦闘スタイルで、攻撃系スキル、防御系スキル、回避系スキルの3種類を所持している。


 上位能力(ユニークスキル)を所持していない分、通常のスキルを他の選手より多めに所持しており、その分あらゆる相手に対して万能に戦える。


 苦手とする戦闘スタイルを持たないが、上位能力(ユニークスキル)を複数所持しているエドワード選手に実力で敗北した。

 万能型である故に、総合的に実力が高く弱点の少ない選手相手は分が悪い様だ。


 騎士団長が十名の発表を終えると、他の受験者から合格者に向けて拍手が送られた。


 しかしその拍手が終わると、再び会場には緊張を伴う沈黙が訪れた。


 以上十名の合格者の他、誰が入団に相応しいと認められたのか。


 発表された十名以外の受験者以外は、真剣な表情で騎士団長に注目している。


 「では、次は『入団に相応しい実力を持つ事を証明した者』の発表に移る!」


 騎士団長がそう告げた瞬間、受験者達の視線がさらに強く騎士団長に集まる。


 「合格者は…グリル=アルマーニ! 以上だ!」


 騎士団長が会場全体に響く大声で告げる。


 確かにグリル選手は俺とフィリアが認める実力者だ。


 最初にフィリアに当たっていなければ上位十名に入っていた可能性があるのは確かで……


 ……って、ん?


 「「「「「……えっ!?」」」」」


 俺以外の受験者全員の口から揃って驚愕の声を上げる。


 いや、流石に俺も言ってしまいそうだったが……。


 今まで冷静に振舞っていたフィリアさえ、声を出さずにいられなかった。


 例年だと五名程選ばれている様だが、まさか一名だけしか呼ばれないとは……。


 ここにいる受験者全員が驚愕しているという事は、実際に今まで起こった事の無い事態なのだろう。


 会場は一気に不満の声が押し寄せる。

 そして実技試験の時のブーイングにも負けない批判の嵐となった。


 「静粛に!」


 皆の声に負けない大声で騎士団長が叫ぶ。


 「…皆が驚くのも承知の上だ。

 しかし、グリル選手には相応の実力が見られた事は事実だ。

 俺の見解だと、フィリア選手の次…エドワード選手を上回る実力を持っているだろう」


 冷静に騎士団長が言うが、受験者達は納得いかない様子だ。

 実技試験で二位の実力を持つフィリアが相手だったからと言え、第一試合で負けた事と相手が少女だったという事実が、観戦者達に過小評価されている原因になっているのだろう。


 更に体格的にさほど有利でもない俺が勝利した少女に、グリル選手の大柄な体格で圧倒的有利であろう状況下で敗北した事が一番の原因だと言える。


 だが、その騎士団長の台詞に一番敏感に反応したのは……他の受験者の誰でもなく、エドワード選手だった。


 「それは聞き捨てなりませんね、騎士団長」


 言い換えればグリル選手よりも自分が弱いという中傷的な内容とも捉えられる騎士団長の台詞に憤りを感じた様だ。


 騎士団長もそれを承知した上で言っただろう。


 「確かにフィリア選手がかなりの実力者である事はわかります。

 上位能力(ユニークスキル)を多数持つ私が負けているのですから。

 しかし、上位能力(ユニークスキル)を試合中で見せなかったグリル選手が何故私と同じ対戦相手であるフィリア選手との試合のみで私よりも強いと判断なされたのでしょうか?」


 余程憤りを感じている様で、騎士団長に対しても饒舌に反論意見を述べる。


 「スキルの差だけでは実力は測れない。

 それは何度も死地を乗り越え強者を見てきた私の経験から分かる事だ」


 「だったら、実際に証明して見せれば良いだけの事です。

 私はグリル選手との対戦を希望します」


 騎士団長の解釈にすらも納得のいかないエドワード選手が直接手段を申し出る。


 「聞いたか?今の」

 「あぁ、第三位と第一試合の敗北者が対戦だって?」

 「そんなもん、結果は目に見えてんだろ」


 試合を振り返ってグリル選手の実力を測ろうともしない受験者達が呆れた様子で騒めく。


 「貴様が望むなら構わん。ただ、勝負を仕掛けた以上そう易々と逃げ出す事は騎士としての恥だぞ?」


 「逃げる訳がありません。それに、私が勝利したらグリル選手の合格は取り消しにして頂きます」


 「構わん」


 騎士団長がエドワード選手の申し出を了承し、エドワード選手がグリル選手の方を向く。


 「グリル選手よ、ステージに上がれ。お前が合格に相応しい人間ではない事をわからせてやろう」


 「へぇ……大きく出たもんだなぁ、エドワードさんよ。いいぜ、あんたに勝利して今の過小評価をひっくり返してやるぜ」


 エドワード選手に負けじと、グリル選手が余裕の笑みを浮かべつつ返事をしてステージ上に上がる。


 こうして今回の実技試験の中で、本当の最終戦が開始されるのであった。

前回から「実はかなりの実力者扱い」していたグリル選手の実力を明らかにしたい為、突然の展開になりました…。

あと、これからは基本的に日曜日に投稿しようと思っていますが、早めに話が完成したら日曜日の前に投稿する事もあるかもしれません。

逆に投稿が遅くなる事もあるかもしれませんが、その時は申し訳ありません(汗)。

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