第31話。 過去と未来、そして今
スペルヴィアちゃんが直ぐに退避に応じてくれなかったおかげで戦闘になってしまいました。
私とスペルヴィアちゃんはRANK AとB+相手はA+とA。
単純に考えてこのままでは不利です。
「大丈夫です。シリスさん。誇りパワーで何とかなります。」
アレ?スペルヴィアちゃんそんなアホの娘系だったっけ?
まぁやるだけはやってみます、よっと。
私は出遅れを取り戻すべく翅の先から翅を延長するように水を生成し、
それを『硬化』『刃化』します。
更に加速、加速、加速。
自身の無意識に向かって吼える様に無言で唸り声を上げ、
近くにいたカノンプテラを叩き斬りに行きます。
接近した私がその翅の一枚を振り上げた瞬間、
パシュッ
「シッ、シリスさんっ!!」
そんな味気ない音がして、
ふと違和感に気が付くと私の身体に穴があき、血と体液が吹き出していました。
上空を見るとそこにはかなり遠くに離れたスナイパープテラ。
…あぁ、なるほど、空中でほぼ位置を固定するようにカノンプテラが動きを制限していたのは、
囮になって、攻めてくる敵の位置を固定して狙撃させるためだったんですね。
そう冷静に考えていたら、再び空気を斬る音がして私の身体に穴が増えました。
動きが止まった私に向かって目の前のカノンプテラもその口を開きました。
ま、ず…い、
そう思った直後、先ほどまでの狙撃が生易しく思える砲撃が私の身体を襲いました。
穴こそは開きませんでしたが全身がボロボロです。
意識も……、いえ、まだです、ここで意識を飛ばしたら私もスペルヴィアちゃんも死にます。
でも、そろそろ……、
じゃあ少し休んでていいですよ?
えっ?誰ですか?何ですか?
スペルヴィアちゃん今どうなってます?
今誰かなんか言いました?
少し身体を貸して下さい
何が……?…………あぁ、もう意識が…、
スペルヴィアちゃん、ファデータさん、女王様、お母様………。
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私の目の前でシリスさんが撃ち抜かれボロボロになっていきます。
私がもう少し強ければ、
私がシリスさんに護られないほど強ければ、
私がシリスさんを護れるほど強ければ――――――――。
今、まさに墜ちて行きそうなシリスさんを見た私は、
そこに強烈な存在感を突如感じました。
周囲を見回しますが翼竜2匹と私以外の何もいません。
後は、こちらを焦点の合わない眼でみるシリスさんだけ――――――――、
えっ、『アレ』は―――――――――――――――――――――シリス、さん…?
「あ~、少し身体借りしますね。
こう見えて私、水生昆虫の身体の使い方は得意なんですよ?」
シリス、……さん?
「さて、そこの爬虫類。少しお話しましょうか、魔王的なやり方で。」




