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箱入りお嬢さまは王子の魚を全滅させる  作者: めんだCoda


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第4話 死刑だな

 イリビアはことの顛末を、アンドレに必死に話した。


「死刑だな」


「…えっ…し…死刑…?」


「国宝の宝魚を全滅させたんだ、その判断が妥当だろうな」


「えっ…で…でも、わざとじゃないし…それに、ちゃんと水に入れたし、変なことはしてないのに…」


 涙ぐむイリビアに、アンドレはまた後頭部をかく仕草をしながらため息をつく。


「飼い方もよく知らないで、なんで宝魚なんていう大切なものを、安請け合いしたんだ?あんた、見た目からどう見ても箱入りのお嬢様だろ」


「安請け合いしたわけじゃ…!それにっ、私、そんなお嬢様じゃ…ないです。宝魚だって…ただ、ルイス王太子様が私に預けたい、って、突然持ってこられたから…それで…」


 責められているようで泣きそうになったイリビアは、目が潤むのを見られまいと俯いた。


 アンドレは、しばらくイリビアを見つめていたが、カウンターに行くと横の床に置いてある大きな箱を持ち上げると、カウンターの上に置いてガサガサと音を立てて作業を始めた。


「この店に宝魚は売っていない。宝魚と同じ魚を用意するのは絶対に無理だ。それから、悪いが、店のお客から注文受けた魚を、これから届ける予定がある。今から一旦店を閉める」


「…分かりました…帰ります…すみませんでした、ありがとうございました…」


 イリビアは肩を落として店を出ると、その場にしゃがみ込んだ。


「どうしよう…まさか入ったお店が宝魚を進呈してて、詳しく知ってたから良かったけど、でも、ここに無理だって言われちゃったら、もう…本当に…どうにもならないじゃない………って。そんなことで、諦めるわけあるかーっ!」


 イリビアは勢いよく立ち上がる。


「だって、わけが分からなくない?!異世界転生したと思ったら、国の宝だっていう魚を突然押し付けられて飼うことになって、全滅させて死刑で終わりとか、どんな転生?!イヤよ!そんなルートも人生も!」


 イリビアは猛ダッシュで家に帰ると、家に置いてあった魚取り網と虫かごを手に取った。


「いいわ!いないのなら、私が似たような魚を捕まえればいいのよ!」


 イリビアは近くの池へ行くと、スカートの裾を腰辺りまで捲し上げて縛り、池の中をじっと覗き込む。


「確か、ルイス王太子様と散歩に出かけたときに、この池に綺麗な魚がいたはず…!色は宝魚とは違ったけれど、けっこう見た目綺麗だったから、なんとかなるかもしれない。遠征疲れの王太子様は、きっと色なんて分からないわ!」


 イリビアは網をギュッと両手で強く握ると、水の中を泳ぐ小さな影に目を凝らす。


「…よぉーし、こっちに来たらー…えいっ!」


 イリビアは、浅めに網をすくい入れて持ち上げる。


「えっ!?うそっ!一発で取れたっ!!」


 網の中でピチピチ跳ねる魚に、喜ぶイリビア。

 持ってきた虫かごに入れようと後ろを振り返るが、虫かごはがっちり蓋も閉まった状態で中には水も入っていない。


「あー!っ、私ってば準備不足すぎる…。。どうしよう、網を片手で持って片手で虫かごの蓋取っ……固っ!取れないっ!!」


 虫かごの蓋はしっかりハマっていて、片手では開けられない。


「えっ、どうしよう、せっかく取れたお魚さん、ちょっとここに置く?置き…あっ!あーーっ!」


 手から網が滑り落ちて池に落ちる。

 慌てて網を捕まえたが、中の魚は当たり前だがもういなかった。


「あぁっ、せっかく捕まえたのに〜っ!あぁ〜〜この近くにまだいるかなぁ」


 イリビアは池に身を乗り出して水の中を覗き、土壁を網でガリガリと擦っていると、足元が滑り池に体が傾く。


「きゃあっ!」

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