4.5章 六人によると
アタシ、さっちん。ママと二人でアパートに住んでるよ。買い物はいつも近くの西友かヨークに行くの。狙い目は閉店前の値引きセールだよね、やっぱ。
あ、えーと、父親ね、いるんだけど、その、別居中というか…
あ、おかーさんとは仲良いよ。週末は一緒にカフェとか行って本読むんだ。今読んでる本は恋愛もの。うまくいきそうでなかなか結ばれないのが、もどかしくてキュンキュンする。
未来とは小学校からの幼なじみだよ。よく未来の家にお泊まりとかしたなあ。遅くまで映画とかアニメみたりして。
え、學び舎をどう思うかって? んー、変な場所、かな。変なオトナがいて、変な場所で、変な話し合いをするの。あ、変って、いい意味で「普通じゃない」ってことね。
だって、いい大人が女子高生泣かしたり、男子をキレさせたりするんだよ? フツーじゃないよね。ははっ。
でも、ほんとにすごいと思うのは、誰も否定されないの、あの場所って。泣いても、ムカついても、怒鳴っても、きわどいこと言っても、ぜーんぶ、「なんか意味のあること、価値のあること」みたいになっちゃうの。すごくない?
一道さんて、「天から派遣されてきた」って言ってたよね。天にも派遣社員っているのかな? まあ、よくわかんないけど、変だし妙だしヤバいよね、あの人。
加藤です。未来やさっちんとは高校で一緒のクラスになりました。
成績は上の中くらいです。まだ受験準備にみんなが本腰を入れてないうちからリードを広げておけば、後半有利になると思って頑張ってます。
あの会ですか? まだ一回しか行ってないけど…そうですね、強いて言えば、見たことのない場、ですかね…。日本って言うより、なんか外国とかの雰囲気に近いのかな、なんて思います。…いや、外国、行ったことないですけど…。
ほのかやでー。え? 最初と今とでキャラだいぶ違わへんかって? いや、だーって、しゃーないやない、一道さん年上やし、なんかイケメンやし、そしたら密かにカッコええなーって思ってたスポーツマンの浅田くんまで来てくれたんやもん。こら「この子カワイイ」って思われなー、って思て、つい…。
中学まで大阪で、高校からこっち引っ越してきたんやもん。あー、関西人ならみーんな関西弁ダダ漏れで喋ると思ったら大間違いやで。やっぱ地元のコミュニティに受け入れられたいやん? いわゆる「普通の女子」やーって思われたくて、けっこう頑張ってたんやで?
でも、あの學び舎に顔出し始めたら、なんやウチの元の性格、徐々に引っ張り出されてきた感じで…気がついたら関西モード全開になっとったわ。あー、やっぱこっちの方がラクやわー。
え、あの場をどう思うかって? そうやなー…なんや、「人がだいじにされる場」やんなあ、あそこって。みんな泣くわ喚くわ、もーびっくりや。そんでも、ハブる人もけなす人もおらんし、まー平和やわ。一道さんみたいな人がテレビとか出れば、日本ももっと平和になるんちゃうかな。
ども、浅田っス。スポーツは得意っスよ。小さい頃は神童、とか言われてましたし。スゴイでしょ?
え、ほのかさん? めっちゃかわいいっスよね、彼女。あ、うーん…最初は脈ありかなー、と、思ってたんスけどね…なんか俺、喋りとかはあんまり得意じゃないんスよ…。ほのかさん、だんだん関西色出てきて、なんかかわいいって言うより、めっちゃ頼り甲斐ある姐さん、って印象っスね、今は。
あの場所っスか? うーん…よくわかんないけど、なんかすごい場所っスよね…。やっぱ人徳なんスかね、あの人の…。あと、あれだけバラバラの意見が出てるのに、ケンカとか論争にならないの、不思議っスね…。もし学校であれやったら、ソッコー関係終わりそうっスけど…。
え、今後も行くかって? うーん…最初はほのかさん目当てで行ってたけど…今は、あの場所が面白いからもう少し続けたいな、と思ってるっス。
未来だよ。
あれ? 主人公なのに、順番やけに遅くない? まあいいけど。
さっちんとは昔から友だちだよ。あたし、考え込む方だから、あの明るさには救われてきたなあ。
え、學び舎の男子たちどう思うかって? いや、どうもこうも…癇癪は見られるし泣き顔は見られるし、微妙…。吉野は、なんか怖い。空気読まずに言いたいこと言うし、そのくせ何考えてるかわかんないしさ。浅田は…悪い奴じゃなさそうだけど、うーん…微妙…。加藤は真面目で理性的な感じよね。
學び舎? よくわかんないけど、毎回なんか「起こる」場よね。普通では起こらない感じの話し合いとか、さっちんやあたしが泣くやつとか、吉野がキレるとか、いろいろ。なんだろ、普段はタブーかなって思う事でも、あそこでは安心して出せる、みたいな感じかな。
今後も行きたいかって? んー…まあ、そうかな。あそこ、なんか刺激があって楽しいしね。
吉野だ。あんまり気は遣えないから、そのつもりで。
…あの場所? うん、興味深いよ、いちおう。
一道? 怪しいよね、絶対。胡散臭い。けど、尊敬するところもあるな。少なくとも、おれたちの話を決して無下にはしないよな、あの人。
今後? 行くさ、もちろん。ま、そのうちあの人なんかボロを出すと思うから、よーく目を光らせておくよ。




