第5節 ― 完璧なヒーローを叩き壊せ
白とピンクの光が、駅前広場の瓦礫の上でほどけた。
黒い観測フィールドに覆われた空の下で、その光だけが、まだ夕方の色を忘れていなかった。
朝倉ミユは、もう一度、科学少女プリティミューとして立っていた。
ただし、さっきまでとは違う。
μブレスレットに引っ張られている感覚がない。
背中を誰かに押されている感覚もない。
契約だの、バイトだの、危険手当だの、そういう言葉の全部が、一度足元から外れたあとで。
それでも、自分で握った。
自分で叫んだ。
自分で、ここに戻ってきた。
そのせいか、装甲の光はいつもより少し柔らかかった。
ピンクのラインは呼吸に合わせるように淡く脈打ち、ミュー・ハンマーの先端には、いつもの派手な発光ではなく、体温のある光が宿っている。
対するX-MUは、微動だにしない。
白と黒の装甲。
赤い観測コア。
目元を覆う、笑わない仮面。
ミュー・ハンマーによく似た黒い武器を、まるで医療器具のように無駄なく構えている。
完成されたプリティミュー。
モルスは、そう呼んだ。
ミユはその言葉を思い出して、鼻で笑った。
「完成品ってさ」
ハンマーを肩に乗せる。
「だいたい、箱から出した瞬間が一番きれいなんだよね」
X-MUの仮面の奥で、赤い光が細く動いた。
「発言意図、不明」
「わかんなくていいよ。こっちの話」
プリティミューは、一歩踏み出した。
駅前広場は、さっきよりひどい有様になっていた。
観測フィールドの影響で街灯は点滅し、電子看板にはノイズ混じりの過去映像がちらついている。
割れた舗装。
倒れた自転車。
吹き飛ばされたバス停の屋根。
駅ビル入口には避難し損ねた人々が身を寄せ合い、メグが必死に誘導情報を流している。
その中で、X-MUは静かに動いた。
速い。
だが、ただ速いだけではない。
X-MUは、まず逃げ遅れた老人の前に落ちてきた看板を、黒いハンマーの柄で受け止めた。
そのまま片腕で看板を横へ滑らせ、老人の足元に散ったガラス片を踵で払い、避難経路を確保する。
「こちらへ避難してください」
「え、あ、ありがとう……」
老人が礼を言うより早く、X-MUは次の地点へ移動していた。
横断歩道の中央で泣き出した子どもを抱き上げる。
車止めに引っかかったベビーカーを外す。
転倒した会社員の鞄を蹴り上げ、散乱した荷物が通路を塞がない位置へまとめる。
全員に、必要最低限の声をかける。
「安全確認」
「移動してください」
「負傷度、軽微」
「次の避難地点へ」
その動きに、無駄はなかった。
本当に、何一つなかった。
迷わず、転ばず、息も乱さず。
助ける順番も、声をかけるタイミングも、完璧だった。
広場の隅で、誰かが呟いた。
「……すごい」
「本物より、落ち着いてる」
「こっちがプリティミューなんじゃ……?」
その声は大きくなかった。
でも、ミユの耳には届いた。
胸の奥に、小さな棘が刺さる。
わかっている。
市民は悪くない。
あんなものを見せられたら、そう思っても仕方ない。
自分はいつも騒がしい。
文句を言う。
息切れする。
よく転ぶ。
戦闘中なのにツッコミを入れる。
助ける順番で迷う。
怒る。
怖がる。
完璧からは、遠い。
遠すぎる。
「先輩!」
通信越しに、メグの声が飛んできた。
ところどころノイズが混じっているが、さっきよりはずっとはっきり聞こえる。
「聞こえますか!」
「聞こえる! ちょっとだけメグちゃん成分が足りなくて不安だった!」
「成分という単位は初めてです!」
メグの声に、少しだけ笑いそうになる。
それだけで、足元が戻ってくる。
ミユはハンマーを握り直した。
「で、どうすればいい?」
「X-MUは、先輩の過去の行動を読んでいます。第1話から第12話までの戦闘記録、救助行動、発話傾向、全部です」
「発話傾向まで!?」
《非常に多いね》
アインの声が重なった。
まだ少し通信は荒れているが、いつもの冷静さが戻っている。
「そこ分析しなくてよくない!?」
《敵は分析している》
「敵、暇なの!?」
《かなり熱心だ》
ワトソンの声も入る。
《ミユさん、X-MUは合理的な最適解を選択しています。あなたの行動予測モデルに基づき、次の一手を先回りしているようです》
「つまり?」
《いつも通りに戦うと、読まれます》
「いつも通りが読まれるの、最終回っぽくて嫌!」
X-MUが、黒いハンマーを構えた。
「会話による行動遅延を確認」
「うるさいな! こっちは作戦会議中!」
プリティミューが踏み込む。
先に動いたのはミユだった。
ハンマーを低く構え、地面すれすれに横薙ぎで振る。
いつもなら、相手の足元を崩して、そのまま上から叩き込む流れ。
だが、X-MUは半歩だけ下がった。
本当に、半歩だけ。
ミュー・ハンマーの先端が空を切る。
その瞬間、X-MUの黒い武器がミユの手首を打った。
「っ!」
握力が一瞬抜ける。
ハンマーを落としかけたミユの腹部に、X-MUの膝が入った。
「ぐっ……!」
装甲越しでも息が詰まる。
プリティミューは後ろへ吹き飛ばされ、壊れたベンチに背中から突っ込んだ。
金属がひしゃげる音。
周囲から悲鳴が上がる。
X-MUは追撃しない。
その代わり、倒れたベンチの破片が市民側へ飛ばないよう、黒いハンマーで器用に弾き落とした。
「周辺被害、抑制」
「救助効率、維持」
ミユは、瓦礫の中で歯を食いしばる。
「……戦いながら、そういうことするの、ほんと腹立つ」
痛みよりも、その完璧さが嫌だった。
殴られているのに。
追い詰められているのに。
相手の方が、ヒーローらしく見える。
メグの声が飛んだ。
「先輩、今の攻撃パターン、過去に三回使っています!」
「便利だったんだよ!」
「便利な行動ほど読まれます!」
「人生の教訓みたいに言わないで!」
アインが続ける。
《バイト君、今までの君がやらなかった動きをしろ》
「急に無茶ぶり!」
《予測不能な無茶だ》
「結局そこ!?」
《君の最大の長所だ》
「褒められてる気がしない!」
ワトソンが冷静に補足した。
《X-MUは合理的な最適解を選びます。ミユさんのように、怒りながら寄り道して誰かを助ける行動は再現しづらいです》
「猫型AIにまで私の行動を変扱いされた!」
でも。
言われた意味はわかった。
X-MUは、強い。
速い。
正確。
効率的。
プリティミューの過去を読んでいる。
なら、過去の自分が選ばなかったことを選べばいい。
ミユは瓦礫から立ち上がった。
X-MUが赤い視線を向ける。
「戦闘継続を確認」
「疲労蓄積、危険域」
「撤退推奨」
「推奨されると、逆にやる気出るタイプなんで」
プリティミューは走った。
真っすぐではない。
X-MUへ向かうと見せかけ、横へ逸れる。
広場の柱に足をかけ、跳ぶ。
途中で空中姿勢を崩しそうになりながら、倒れかけていた避難誘導用の柵を蹴り飛ばす。
柵は派手な音を立てて横倒しになり、ちょうど逃げ遅れた親子の前に迫っていたガラス片を遮った。
「こっち! 走って!」
ミユはその親子を抱える。
子どもが泣いている。
母親も顔を青くしている。
「大丈夫! 怖いけど、今は足だけ動かして! あとで泣こ!」
「は、はい!」
親子を駅ビルの柱陰へ押し込んだ瞬間、背後から黒い衝撃が迫った。
X-MUのハンマー。
ミユは振り返らず、親子を押し込んだ勢いのまま転がった。
黒いハンマーが、ほんの数センチ後ろを通過する。
地面が砕ける。
プリティミューは転がった勢いでそのまま立とうとして、足をもつれさせた。
「うわっ、ださっ!」
自分で言いながら、ぎりぎり踏みとどまる。
その不格好な動きに、X-MUの追撃がわずかに遅れた。
「行動予測、誤差」
「非効率行動、再計算」
メグが叫んだ。
「先輩、今の行動で予測モデルが乱れました!」
「つまり、もっと変に動けばいい!?」
《おおむね正解だ》
アインの返答はあまりにもあっさりしていた。
「本当にそれでいいの!?」
《完璧な相手に、完璧な行動で勝つ必要はない》
「それ、もっと早く聞きたかった!」
X-MUが、初めてわずかに首を傾けた。
「非合理行動を戦術として採用」
「再評価」
「評価しなくていい!」
プリティミューは、今度はX-MUへ真正面から向かわなかった。
駅前広場の時計塔へ走る。
途中で、ひっくり返った自転車を拾って投げる。
攻撃ではない。
X-MUの視界を塞ぐためでもない。
自転車は少し離れた場所で倒れていた避難案内板にぶつかり、案内板が回転して、ちょうど非常階段への矢印を人々へ見せる向きになった。
「そっち! 地下通路じゃなくて非常階段! 黒い空が出てる時の地下はだいたい危ない!」
「理由が雑だけどわかった!」
誰かが叫び、避難の流れが変わる。
X-MUは一瞬、避難者の誘導とプリティミューの追撃の間で処理を分けた。
最適解を選ぶなら、避難者の安全確保を優先する。
だが、観測命令はプリティミューの制圧。
その判断の分岐に、わずかな空白が生まれる。
ミユはそこへ飛び込んだ。
「もらった!」
ミュー・ハンマーを振り上げる。
だが、X-MUの胸部コアが赤く光った。
黒い糸が地面から伸びる。
蜘蛛男の拘束糸。
「またそれ!」
足首を取られ、ミユの身体が前へつんのめる。
そこへ、耳を刺すような高音が叩きつけられた。
蝙蝠伯爵の音波。
平衡感覚が揺れる。
「っ、気持ち悪……!」
視界の端で赤い光が走る。
レイディスコーピオンの毒反応。
言葉の棘のようなノイズが、装甲の内側へ入り込む。
《あなたは遅い》
《あなたは未完成》
《あなたより、完成体の方が人を救える》
「うるさい!」
ミユはハンマーで地面を叩いた。
衝撃で拘束糸を弾き、無理やり身体を起こす。
だが、次は甘い香りが鼻をついた。
サラセニア・ルージュの香気。
一瞬、足が鈍る。
どこかへ逃げたいという気持ちと、もう休みたいという気持ちが、胸の奥から浮いてくる。
そこへ、鋭い刃が空間を切った。
マンティスシザーの文脈切断。
通信が乱れた。
《先輩、右――》
《バイト君、下が――》
《ミユさん、逃げ――》
言葉が切られる。
意味がずれる。
誰の声が何を言っているのか、わからなくなる。
さらに、カメ・レオンの偽装が重なった。
駅前広場のあちこちに、メグの姿が見えた。
かなえの姿も。
アインの小さな影も。
コブラの背中も。
守らなければと思った瞬間、その姿がばらばらに散る。
「そういうの、もうやった!」
ミユは奥歯を噛む。
怒りで視界をつなぎ止める。
ミラクルハニーの蜜が地面を覆い、足元を重くする。
ゲッコウリーパーの白い三日月表示が、視界の端に浮かんだ。
《残り戦闘可能時間:03:42》
「勝手にカウントするな!」
さらに、リザードジェネラルの量産同期。
X-MUの背後に、白黒の小型支援端末が複数浮かぶ。
同じ角度。
同じタイミング。
同じ命令。
それらが一斉に、ミユを包囲した。
「過去怪人能力、最適反映」
「プリティミュー制圧手順、実行」
X-MUの声は、冷たかった。
「あなたの経験は、すべて解析済みです」
プリティミューは、糸に足を取られ、音波に揺さぶられ、蜜に沈みかけながら、ハンマーを握った。
怖い。
痛い。
気持ち悪い。
腹が立つ。
泣きたい。
帰りたい。
でも、さっき変身を解いた。
やめてもいいと言われた。
そのうえで、戻ってきた。
だから、ここで折れるのは違う。
「メグちゃん!」
ミユは叫んだ。
「本物の声、通して!」
一瞬の沈黙。
ノイズの向こうから、メグの声が返ってきた。
「はい!」
その声は、震えていた。
でも、ちゃんとメグだった。
「先輩、X-MUは過去の先輩を読んでいます!」
「うん!」
「でも、今の先輩は、さっき一度やめることを選べました!」
「うん!」
「それでも戻ってきました!」
「うん!」
「そのデータは、X-MUにありません!」
ミユは目を見開く。
アインの声が続いた。
《契約解除後の再適合データは、僕たちの側にしかない》
「つまり?」
《今の君は、敵の予測モデルから外れている》
ワトソンが、淡々と、しかしどこか力を込めて言った。
《ミユさん。現在のあなたは、観測済みのプリティミューではありません》
《あなた自身が選択した、新しい状態です》
ミユは、小さく笑った。
「なんか、急にかっこいいこと言うじゃん」
《事実です》
「じゃあ、事実にしよう」
プリティミューは、絡みつく糸を引きちぎった。
ハンマーを両手で握る。
足元の蜜が伸びる。
それでも、一歩踏み出す。
X-MUが赤い視線を向けた。
「行動予測、不能」
「新規データ取得」
「取得禁止!」
ミユは支援端末の一体を蹴り飛ばした。
もう一体の攻撃を、あえてハンマーではなく肘で受ける。
痛い。
でも、軌道がずれる。
そのまま背中から倒れ込むように転がり、蜜の上を滑る。
普通なら不利な足場。
でも、滑ると決めれば移動になる。
「うわ、これ思ったより怖い!」
叫びながら、ミユは低い姿勢でX-MUの足元へ潜り込んだ。
X-MUが黒いハンマーを振り下ろす。
ミユはそれを受け止めず、あえて避けない。
ハンマーの風圧を利用して、身体を横へ飛ばす。
「非効率」
「でも読めなかったでしょ!」
ミュー・ハンマーの柄が、X-MUの脇腹を打つ。
初めて、X-MUが後ろへよろめいた。
広場の空気が揺れる。
市民の誰かが叫んだ。
「本物、がんばれ!」
別の誰かも叫ぶ。
「騒がしい方!」
「そっちでわかるのやめて!」
ミユは叫び返したが、声には少し笑いが混じっていた。
X-MUは体勢を立て直す。
胸部の観測コアが赤く脈打った。
「プリティミュー」
「あなたの行動は非効率です」
「発話量過多」
「感情反応過大」
「戦闘継続能力、不安定」
「救助優先順位、揺らぎあり」
「うん」
ミユは短く答えた。
X-MUの処理が一瞬止まる。
「肯定を確認」
「だって本当だし」
ミユはハンマーを構え直した。
「私、効率悪いよ」
「うるさいし」
「怖がるし」
「すぐ文句言うし」
「たぶん、完璧なヒーローには向いてない」
X-MUの赤い光が強まる。
「ならば、役割を譲渡してください」
「それは嫌」
ミユは、まっすぐX-MUを見た。
「向いてないからって、やっちゃいけない理由にはならないでしょ」
通信の向こうで、メグが息を呑む気配がした。
アインが低く言う。
《バイト君、最終調整を入れる》
「名前で呼んだりバイト君に戻ったり忙しいな!」
《照れるな》
「照れてない!」
いつものやり取り。
いつもの軽口。
でも、その奥にある信頼が、さっきよりはっきりわかった。
アインの声が、少しだけ柔らかくなる。
《ミュー・ハンマーに、自己定義干渉の遮断波を乗せる》
「わかりやすく!」
《押しつけられた“君とはこういうものだ”を壊す》
「だいぶわかりやすい!」
《技名は、ミュー・セルフブレイク》
「自分を壊すみたいで縁起悪くない?」
《違う。押しつけられた自己定義を壊す》
「それなら採用!」
ミュー・ハンマーが光る。
今までの技のような、派手な爆発光ではなかった。
内側から温まるような光。
白とピンクが混ざり、ミユの鼓動に合わせて広がっていく。
X-MUは、それを見て初めて攻撃を急いだ。
黒いハンマーを構える。
過去怪人能力の残響が、再び周囲に展開される。
蜘蛛糸。
音波。
毒。
香気。
偽装。
蜜。
死相。
量産同期。
あらゆる過去が、最適化されて襲ってくる。
ミユは、それを正面から見た。
もう、全部覚えている。
怖かった。
嫌だった。
怒った。
泣きそうだった。
それでも、一つずつ終わらせた。
その過去を、こんなふうに並べられても。
それは、ミユを縛る鎖ではない。
「行くよ」
ハンマーを振り上げる。
「ミュー・セルフ――」
その瞬間だった。
X-MUの胸部装甲が、音もなく左右へ開いた。
そこにあったのは、赤い観測コア。
その奥に、さらに濃い赤の影が浮かんでいた。
仮面のような輪郭。
人の顔とも、機械の記号ともつかない影。
広場全体のビジョンが、一斉に暗転する。
街頭モニター。
スマホ画面。
駅ビルの広告パネル。
壊れかけた電子看板。
すべてに、同じ赤い影が映った。
首領X。
声が、空から降った。
《プリティミュー》
ミユの腕が、わずかに止まる。
《君は、我々がいなければ存在しなかった》
観測フィールドが、さらに濃くなる。
黒い空に、これまでの戦闘映像が薄く浮かび始める。
蜘蛛男と初めて対峙した夜。
蝙蝠伯爵の廃劇場。
レイディスコーピオンの毒。
サラセニアの甘い罠。
マンティスシザーの切り取られた言葉。
カメ・レオンの偽装。
ミラクルハニーの蜜。
グレイヴコンドルの墓標。
ゲッコウリーパーの月光。
リザードジェネラルの量産ライン。
復活怪人軍団の黒いステージ。
全部が、ミユを囲む。
首領Xの声は、静かだった。
《君は、怪人によって変化した》
《君は、戦いによって磨かれた》
《君は、観測によって強くなった》
プリティミューは、ハンマーを握りしめた。
反論したい。
今すぐ叩き割りたい。
でも、言葉が出ない。
違う、と言い切れない部分が、確かにある。
ミユは変わった。
戦って、変わった。
怖いものが増えた。
守りたいものも増えた。
強くなったかどうかはわからない。
でも、はじめのころ自分とは、もう同じではない。
首領Xは続けた。
《ならば問おう》
赤い影が、X-MUの胸部コアの奥で揺れる。
《君の正義は、誰のものだ》
駅前広場から、音が消えた。
避難していた市民の声も。
メグの通信も。
アインの息遣いも。
ワトソンの補助音も。
一瞬だけ、ミユは世界に一人で立っているような気がした。
X-MUが、黒いハンマーを構える。
「回答を要求」
「プリティミュー」
「あなたの正義は、誰のものですか」
ミユは、息を吸った。
ハンマーの光が、まだ消えずに手の中で震えていた。




