虚影録 34話 予算オーバー。
予算が無いわー…
可哀想だなぁ~
───bar───
そのbarには、
店主とバニーの格好の看板娘らしき人しか居らず、
お客は居なかった。
そして内装はいかにも低予算で、
看板娘?以外には予算が回っていないようだった。
店主が見た目とそぐわないイケおじボイスで話す。
店「どうした?そんな急いで…」
2階から焦った様子でどたどたと看板娘?が降りてくる。
看「ボウさん!バウムがくれた植物が急に喋りだして!」
ボ(店主)「一旦落ち着け、
バウムのくれた植物が喋る?
前ならありえただろうが今はあんな状態で喋るわけ…」
植物「伊月…達が…たすけて…くれ……た。
今…そっち……向かってる。」
ボ「なら本当か…
というか、お客人!?
最近お客が来なくてなんの準備もしてないぞ!?
おーい!ルチー!倉庫から酒とか食品持ってこーい!」
ル(看板娘?)「はーい!」
そうルチルが倉庫に行くと…
???「誰かー!ここ開けてー!」
ル「ふぇッ!?
もしかして伊月さん達ですか?」ビックリしたー
伊「もしかしてルチルかい!?
ここ狭くて息苦しいんだ…
開けてくれ…」
そう伊月に言われ、
ルチルが上の荷物を退かすと、
伊月達が出てきた。
伊「ありがとう、ルチル。」
ル「その…
まだ出迎える準備出来てないけど良いですか?」
伊「全然かまわないよ…
良いですよね黒嶺ギルド長達。」
黒「あぁ、俺は全然かまわない。」
ノ「全然大丈夫ですよ。」
ル「なら、こちらへどうぞ…」
そうルチルが先導しながら歩いて行くと…
奏架達は客席に着く。
奏『失礼になるかもだから言わないけどさ…
ここだけ棒人間の世界観なんだけど…
店主さんっぽい人は実際に棒人間だし…』
虚『…さ…流石に能力でしょ……
ここまで一面白で線を適当に描いた感じになってるのは…
だって椅子線がぐちゃぐちゃなのに座れてるし…』
ボ「いらっしゃいませ…
この度は我がヨ・サンオーbarにご来店ありがとうございます。
店内が少しおかしく感じるかもしれませんが、
ごゆっくりどうぞ。
ご注文が決まったら声をかけてください。」
伊「いつものお願いします。」
ボ「他の方はどうされますか?」
黒「俺は酔いやすいからつまみだけくれ。
このパスタを頼む。」
杉「私は…
ステーキをお願いします。」
伊「いえ、私の頼んだものを全員飲んでください。」
奏「僕未成年ですよ?」
ノ「私もお酒は飲めませんよ!?」
伊「あーっと…これはお酒じゃなく、
店主のボウ・ニンさんの能力で作られた、
言わばポーションのようなものです。
自分を強化できるので飲んでください。」
ノ「それなら…」
奏「いっか…」
ボ「どのぐらいにします?」
伊「7日分で。」
ボ「7…伊月ちゃんそんなお金ありましたっけ?…」
伊「はい…ギルド長が経費で落としてくれるので大丈夫です。」
ボ「なら…」
するとボウ・ニンはこの空間にそぐわない、
高予算な見た目のシェイカーを取り出し、
何か分からない液体を入れ、
振り始めた。
奏『あれ一種類だし、
ほかに何も入ってないけど意味あるの?…』
虚『なんか香りだとか良くなるらしいよ~
あれはワインじゃないらしいけど…』
待っていると、
ボウ・ニンの手が止まり、
カクテルのようにグラスに注ぐ。
低予算だったグラスは一瞬にして豪華に…
奏「なにあれ…マジック?」
伊「いや、あれが彼の能力さ。
説明は難しいがね。」
コトッ…
ボ「予算7日分ランクアップヴァッサー
でございます。」
そのグラスに入っている液体は、
水のように透明で、
だがなにか物凄く良い香りがする。
その水のような飲み物が伊月に配られる。
そして、次に黒嶺と座小杉が
頼んだおつまみが配られ、
奏架とノアにも配られた。
ゴクッ
と一斉に飲む。
その味は……
全員『水ッ!?』
なんと水だった。
奏『なんか香りは良いんだけど、
味が水だ…』
ノ「なんか力が湧いて…?」
ボ「それが私の能力…
あらゆるものから予算を徴収し、
その予算を液体として貯金し飲んだりかけることで、
そのものに予算を与え、指定したものを強化します。
この店内が紙に適当に描いたようになっているのはその為です。」
伊「ボウさん説明ありがとうございます。
これで一応、準備が整ったわけですが、
この強化の期間の5日程度を使って、
この国の情報を集めたうえで四天王を殴りに行きます。」
奏「魔族の人の前で言って良いんですか?…」
伊「この人、秘密に関しては話さないので大丈夫です。」
黒「ならいいんだが…
その5日間はどこで寝泊まりするんだ?
そもそも寝るのか?」
伊「ここは一応、お金を出せば泊めてくれるので、
ここを拠点として動くつもりです。」
ボ「それは良いですが、
伊月ちゃん、四天王を倒すと聞いてしまうと、
かなり高いですよ?」
黒「い…いくらだ?…」
ボ「大体1000万円程度は貰います。
値段交渉は無しです。」
黒『ギリギリ許可されてる経費の上限額以下か…
上に怒られそうだ……』
黒「あ、あぁ…それなら出せる。」
ボ「毎度あり。」
ル「ボウさん!
これで取壊しは無しですね!」
ボ「そうだなぁ~」よしよし
ボ「そうだった、
紹介が遅れましたね。
私はこの店の店主、
ボウ・ニンです。
こちらはこの店の看板娘?
娘と言っていいのか分かりませんが…
ルチルです。
いつも間違えられるのですが、男の子です。」
黒「よろしく頼む。」
奏&ノ&杉「お願いします!」
伊「よろしくお願いします。
で、ですね…
ボウさん、あなたが知っている情報を教えて頂けませんか?
1000万も払うんですから良いですよね?」
ボ「……まぁ流石に良いでしょう。
ですが色々とこの店内の状態だと、
説明がしずらいのですので明日でよろしいでしょうか?」
伊「教えて頂けるのなら……
良いですよ。」
貯金いっぱいだったらしいです。




