↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
96/276

陽織、受験勉強開始!

高3の授業は、半分以上が受験問題の対策だ。

毎日、普通の授業のほかに、放課後3時間以上の補習が行われる。

医学部も受験することを決めた陽織は、湊人と翔太、田神の3人と一緒に、フルで勉強していた。


「陽織ー、GWどうするんだー?」

「ん?予備校行くか、ママに聞かれたー。」

陽織は机の上で、半分死んでいた。

GWは湊人と医学部対策で定評の予備校に行くことになりそうだ。

何せ、2人ともつい先日までは、他の学部のことしか考えていなかった。

突然の、医学部受験に、知識が足りない。

さらに、陽織は高嶺と和嶺に、毎晩勉強を見てもらっている。

「陽織ー、管理には行くんだよね!?約束だよ!」

羽織が心配して、時々聞いてくる。


「黎人さん分が、足りない。」

陽織がポツリと言うと、湊人が大爆笑した。

「ぶわっ、ハ、あーっはははは、くるっ、くるし、や、久しぶり、笑、っ。」

「は?何?」

湊人は目に涙まで浮かべて笑ってる。

「な、何よ!」

「いや、昨日、黎兄も、同じこと、言ってた、から。くッくっくっる、し。はら、いた、い!」


「湊人は?」

「ん?」

「湊人は、千織分、足りなくならないの?」

「んー、毎朝、HRで、会ってるからじゃね?」

「そっかー。幸せ者だね。」

陽織がはあーと、ため息をついた。

「やっぱり、わたしの、体は、黎人さんが、いないと、ダメなんだ。」

陽織が言うと

「あ、それも聞いた!母上が、笑ってた!でも、お前、それ、わざとだろー。策士だよなー。」

そう言って湊人がまた笑うと

「2人とも、勉強しろよ!」

と、あの、翔太に怒られた。


飛び石入れて7日間のGW,

湊人と陽織は、駅前の予備校に通っている。

朝8時から、夜の8時。

休みはお昼休みだけだ。

おまけに、毎日予習、復習しないと、ついていけない。

毎日、湊人は黎人と悠人が、陽織は高嶺と和嶺が車で送り迎えをしている。

帰りは、わずかな移動時間でも、陽織は車の中で眠ってしまう。

「お嬢さん、お家ですよ。」

声をかけられて、陽織は目をこすりながら起き上がる。

車から降りようとした時、運転してた兄が、手を差し出した?

「え?」

陽織が顔を挙げると、兄ではなく、黎人だった。

「え?」

陽織はの目に涙が浮かぶ。

「黎人、さん?」

「はい、こんばんは!陽織、頑張ってるね。」

「黎人さん、黎人さん、黎人さん!」

陽織は泣きながら、その胸にしがみついた。

ふえっ、ウエッ、、ふえっーん。

黎人は優しく陽織の頭を撫でる。

「黎人さん、黎人さん。」

陽織は、それ以外の言葉が出てこない。

「陽織に、ご褒美に来ました。」

黎人は、そう言うと、陽織のおでこに優しくキスを落とす。

「や、やだ!やだーっ。」

「え?」

「ちゃっ、ちゃんと、ちゃんと!」

陽織はとにかく泣いて、グリグリと黎人の胸に頭を押し付けている。

   あ、陽織が甘えているポーズだ。

黎人はクスッと笑うと、涙でぐちゃぐちゃの陽織の顔を上に向けて、口付けをしてくれた。

「陽織、来週は僕の誕生日だから、お祝いしてくれる?陽織も、ちょっと、お休みしよう。陽織分が足りない!」

黎人がそう言って陽織をギュッと抱きしめた。

「だから、もうちょっと、頑張って。」


GW明け、学校では医歯薬受験模試が行われた。

他の生徒は普通の、受験生模試だ。


「どうだった?」

「んー、なんか数学が宇宙だったー!」

「やばー、絶対親に怒られるー!」

試験の後、陽織が久しぶりに早く帰れる!と、バックを背に立ち上がろうとすると、湊人がやってきた。


「陽織、今週末、誕生会だからな!忘れるなよ!」

と、わざわざ伝えに。

神代家は、黎人と悠人が5月10日で、湊人が4日のため、毎年5月の第二土日のどちらかにまとめて誕生日を祝っていた。

去年は兄2人が20歳となったため、親族が集まる一大イベントになった。

今年は、そこまで派手ではないが、湊人が誕生日に、予備校で疲労困憊だったので、今年もまとめてやるらしい。


「んー、わかった。日曜日ねー。」

「ん?たぶん土曜日の帰りに、黎兄が迎えに来るよ?」

「えーっ、わたし着替えてから、行きたーい。」

「良いじゃん、黎兄の部屋に陽織の服あんだから。それに、今回は俺も一緒に車で帰りたい。」

   あー、湊人が車がいいのかー。

知らない人が聞いたらギョッとするような、知ってる人でも、勘違いするような会話を、2人はしていた。


最近、陽織は帰りに眠くなるので、自転車禁止にされた。可能な限り、誰かが車で送迎している。


帰宅後、母に湊人からの話をすると、

「じゃあ、土曜日から美咲のところに泊まるの?」

「んー。たまには休みなさいって。」

「そうねー。ずっとその調子じゃ、疲れちゃうものね!」  

陽香は自分の娘が親友に取られたようで、ちょっと複雑な気分だ。


翌々日の土曜日、先日の模試の結果が返ってきた。

陽織は和嶺や黎人のように、全国ベスト10とは行かないまでも、結果は受験生全体数万人中の36位!明王は一応A判定だった。湊人も、顔がにやけている。覗き込むと、さらに上の24位!

「湊人、すごい!」

「陽織は?、え、頑張ったじゃん!俺たちすごくね?」

「やったー!」

と2人手を繋いで踊り出してしまった!


「あー。そこのおバカ2人!まだ、他の人は返してる途中だから、踊らないように!」

大神に怒られた。


帰り、もうスキップしそうな勢いで、2人は黎人が待つ車に飛び込んだ。

「そんなに良かったの?」

2人ともすごい笑顔なので、一発でわかる。

「うんうん、わたしも湊人も、A判定だったんだよ!」

陽織は黎人の隣り、助手席に腰掛けた。

湊人が乗り込むと、黎人は車を出す。

「俺のが、ちょっと上だけどなー!」

と、湊人も上機嫌だ。

「なあ、陽織は小論文で、医学部行く理由とかどうするんだ?まさか、黎兄と結婚するため、とかは書かないだろう?」 

陽織はギクっとする。そう、医学部の入試は、なぜか小論文がある。文を書くのは好きだが、理由が思い付かない。

陽織は、頭を抱えた。


3人は神代家に戻ると、昼食をとり、試験の結果を美咲と連夜に報告していた。さらに、美咲に指摘された陽織は、同じことを陽香にも電話した。


「学年初めは、浪人生の方が有利だから期待するな、って言われてたけど、なんか嬉しい!」

「このまま、モチベキープして、がんばろーね!」

「ん、で?陽織、志望理由考えた?」


黎人が嫌なことを思い出させる。

「もういっそ、結婚の条件です!って書いちゃえば?潔いいって、逆に好感度上がるよ!」

「好感度で、合格はもらえないよ!ほんと、どうしよー。」

陽織は悩む。その時、陽織は黎人が「ディベート」の得意な法学部だと思い出した。

「黎人さん、手伝って〜。」


そのまま、陽織と黎人は2人のために用意されている部屋に行き、小論文対策の勉強を始める。


「ん、この前陽織が、管理栄養士になりたい理由、語ってたよね?」

「ハイ!」

机に向かうと、黎人は先生モード、陽織はなぜか生徒モードになる。あの、鬼教官の再来だった。

「だったら、それを軸に変えていけば良い。過去問を見ると、ほぼ同じテーマが根幹にあるの、わかる?ほとんどが、目指す医師像や、どんな医師になりたいか、医師になって、何をしたいのか、を聞いてるよね?これは、どの大学にも見られる傾向。そして、大切なのが、医療への関心、倫理観、人間性が問われる。そこを主軸にしながら、陽織が目指す医食同源、つまり、食と医の一体から、医師が従来行っていた治療を、予防医学を目指す形に持っていく。」

陽織が目から鱗と言った顔に変わった。

「これから益々高齢社会は進む。その中でも、元気な高齢者、病気にならない高齢者は、社会全体の目標だ。じゃあ、高齢者の病気の原因は?」

「加齢と、生活習慣病?」

「うん。じゃあ、そうならないことで、医療分野はどう変わる?」

「えっと、えっと。社会的な保険医療費の削減と、医師不足の解消?」

「そうだね。医師の働き方改革にもつながれば、医療ミスも減る。」

「うん、父様、休みの日もお仕事が入る時ある。」

と、2人は延々夕方まで、話しては書いて、を繰り返した。


気づくと7時を回っていた。

「夕飯だよー。」

と言う、美咲の式の声で、2人はハッとして、ペンを置いた。


「あれ?陽織、まだ制服着てたの?」

湊人に指摘されて、夢中になって勉強してたことに気づいた。

「あ、ずりーっ!黎兄、陽織にだけ小論文対策やってたろー!!」

湊人が、黎人を指差した。

「本当だ。どうする?着替える?」

美咲に聞かれたが、陽織は首を横に振った。

「夕飯後も、もう少し頑張りたいので。」


その晩は、互いに足りない、と言いながらも勉強をしていた。10時過ぎ、湊人に乱入されるまで。

「なんで、俺には教えてくんないんだよー!」

「湊人には、前に教えたじゃないか!忘れるなよ!」

「もう、2年も前じゃん!忘れたよ!」

「なんで、一度頭に入れたこと、忘れるんだ!」


2人が言いあってる間に、陽織はお風呂に入って着替えた。










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。