陽織、プレゼント交換
午後4時を回ったころ。
『あんたたち、いつまでやってんの!』
と言う大きな声が、どこからか聞こえた。
陽織は、びっくりして起き上がる。
「え?」
とキョロキョロする。
黎人は、頭をかきながら。
「いつから見てたんだ‥。あんのー。」
と言って、2人の上に浮かんでいた紙でできた鞠を掴むと、クシャッと握り潰した。
「え?え?なに?今の。」
「ごめん。ウチの母の能力。視るチカラ?」
陽織は固まった。え?え?じゃあ、今までも見られていたの?いや、そんな、どうしよう。
「大丈夫。いつもはちゃんと気づいてたんだけど。くっそー!あの、ババア!」
黎人らしからぬ言葉使いに、陽織はびっくりする。
2人はシャワーを浴びて着替えると、本邸に向かった。
「母上!何覗き見、してたんですか!」
黎人が怒ってる。
「のぞいてないわよ!さっきから、夕飯どうする?って式飛ばしてんのに!無視してたの、あんたでしょ!」
美咲もいつもと違う。
陽織はただ驚いてビクビクしている。
「陽織ちゃんと、予約してたディナー、キャンセルしたんでしょ!だったら、ウチでクリスマスやったら、どうかな?って思っただけよ!」
「どうせ、悠人も、湊人もいないし。」
と、美咲が小声で付け足した。
その言葉に、黎人も冷静になった。
「そ、か。どうする?」
と陽織に聞いてきた。
「わ、わたしは、嬉しいです。」
と、答える。
その後、黎人と陽織は、蓮也と美咲の2人から、ケーキとご馳走をいただいた。
食事の後、
「陽織ちゃん、明日は休み?」
と、突然美咲に聞かれたので
「はい、わたしの冬季講習は年内は終わったので、明日から三が日までお休みです。」
と、答える。
「良かった!じゃあ、明日陽香とショッピング行くから、陽織ちゃんも一緒に行こう!」
え?母も?
「だったら、今夜はお泊りしていきなさい。どうせ、そこの息子は明日は仕事で居ないんだし!」
そうなの?と、陽織は黎人に聞いた。
「なんで、明日!?」
「だって、今日どうせ、また陽織ちゃんを全身コーディネートで着飾らせたかったんでしゃ!?だから、明日、わたしが代わりにやってあげるから、お金だけ、出しなさい!」
「はあー?」
あれ?黎人さんも、湊人と同じ反応だ。
やっぱり兄弟なんだ。
と思ったら、クスッと笑ってしまう。
「ちゃんと、今回は用意してあるわ!」
あ、やっぱり兄弟。
「でも、渡す前にやってたじゃない。」
黎人は黙った。
とりあえず、明日は母2人とのショッピングは決定したが、そう言うわけなので、また黎人の部屋に戻ることになった。
(あ、わたしも渡すの忘れてた。)
部屋に戻ると、仕切り直しとばかりに、黎人があらためて、陽織にプレゼントを渡す。
陽織も、自分のバッグから何かをゴソゴソと出してきた。
黎人が出したのは、小さな箱。その中ぬは陽織が以前もらった指輪と同じデザインの、のイヤリングとネックレスが入っていた。
「おそろい?」
「そう。陽織の指輪と、お揃い。」
陽織は、嬉しそうに笑う。
「う、わたしの、その、恥ずかしい。」
陽織が出したのは、手編みのマフラーだった。
カナダにいる時、毎年マギーがジェフに編んでいるのを教えてもらった。
マフラーや手袋、セーター、帽子。
「え?もしかして、これ陽織が編んだの?」
「や、やっぱり恥ずかしい!」
「陽織、コレすごく大変、だったでしょう。」
決して豪華なものとは言えない。
「や、やっぱり、違うもの、考える!」
「ダメ!これはもう僕のものだから。すごく、嬉しい!」
そう言って、部屋の中なのに、マフラーを巻く。
「や、ほんと、恥ずかしいから!」
陽織が手を伸ばしてはずそうとすると、黎人がその手を掴んで、キスをしてきた。
「ありがとう、陽織。陽織みたいにあったかい。へえー、陽織は料理だけじゃないんだ。編み物も、上手なんだ。」
黎人は、溶けそうな顔で笑った。
「本当に恥ずかしい。」
黎人はそんな陽織が可愛くて、どうしてやろうとさえ思ってしまう。
黎人は陽織が自分だけのものだ、と誰もがわかるようにしたい。湊人の件があってから、そう言う気持ちが湧き上がっていた。
指輪は、学生として普段使えない。
イヤリングやネックレスも。
それなら?




