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陽織、振られる?

11月に入り、街路樹はすっかり色を変え、秋の深まりを感じる。


最近、神嶋からの依頼がないな、と思っていたら、パートナーが断ると仕事が来ないことを知った。


  クリスマスに向けて、お仕事したかったのに。


しかし、それは陽織だけじゃなく、湊人や千織も同じだった。

どうやら、湊人が断っているらしい、と言うのを知ったのは土曜日の授業の後だった。

その分、和嶺に仕事が回っているらしく、美織は忙しくしていた。


土曜日の授業でも、湊人は調子が出ないのか、銀龍を上手くコントロールできていない。

と言うか、巫女との連携がなければ、結果使役獣を使っても、湊人が1人疲れるだけだ。


それだけじゃない。

秋から生徒会長にもなっていたので、余計に湊人の負担は大きく、周りが見ても心配になることがあった。


その日は、生徒がそれぞれ自分の使役獣や精霊を使って、小さな霊を祓うと言う実戦授業を行っていた。


美織のようにパートナーが校内にはいない巫女は、結界や治癒担当。陽織自身は攻撃できるが、白桃は攻撃タイプではないので、そちらに混ぜてもらう。


大きくない霊が溜まる、学校からバスで行ける場所にある廃墟。

本来なら、実戦を重ねる湊人たちなら、全体を払うことだって可能だ。

それだけに、先生たちも安心しきっていた。


小さな霊たちが、宏輝の九郎や翔太の式によって祓われていく。

ただその中にそれなりに、大きな霊が混じっているのは、美織も陽織も気づいていた。そして、それは明らかに銀龍クラスでないと祓うのは難しい。


以前なら湊人は迷いなく千織の手を握り、銀を出して霊に向けていた。

しかしその日、2人は並んだまま、銀を放つ。

ただ、千織の手は何度も湊人に向かって、差し出されては、引っ込むを繰り返していた。


銀龍は霊に向かうと、咆哮をあげ、いつもより荒々しい戦いをしていた。

正直、結界がなければ、一年生など守れない。


霊もそんな銀龍に負けじと逃げ回る。

30分くらいの死闘が繰り広げられただろうか、やっと霊の力がほぼゼロに近くなった時、突然霊が千織に向かった。


その瞬間!

湊人も無意識だったのだと思う。

湊人は、千織を前から抱きつくように庇い、背中に霊の攻撃をモロに受けてしまった!

「湊人くん!」

「湊人!」

主が倒れ、銀龍の姿が消える。


咄嗟に大神が動き、銀狼を召喚した。

そのまま、湊人が倒れ、先生たちはパニックになる生徒たちを落ち着かせ、救急車を呼んだ。


明王大学病院に搬送された湊人には千織が付き添った。

自分を庇って傷ついた湊人。もしかしたら、もうダメなのかもと、何度も思い、今も湊人の気持ちはわからない。

それでも今は。


千織は、湊人の巫女だ!

それは変わらない。

搬送され、背中の傷を処置されて、ベッドに眠る湊人に、千織は泣きながら口付けをした。湊人の霊力が回復するように。



大事に至らなかった湊人は、翌日退院した。

千織は一晩付き添っていたらしい。


月曜日の朝、陽織が登校すると、千織と美織が廊下にいた。挨拶をし、教室の中に入ろうとすると、ちょうど湊人が登校して来た。


みんなの顔を見て、一瞬気まずそうな顔をする。

しかし、何かを決意したのか、陽織に向かってほぼ90度に頭を下げる。そして、大きな声で言った。

「陽織、俺は陽織が好きでした。でも、今は千織が好きです。ごめんなさい!」

その声は、二年生の廊下中に響いた。

???

   なに?いまの!

   ちょっと待て!

「な!なんで、私が振られたテイになってるの?!だ、ふ、ざけんなー!」

陽織は、そのまま湊人に右ストレートを打ち込む!そして、陽織の声も、廊下中に響いた。


そして、その夜湊人は黎人にものすごく怒られたことは、言うまでもなかった。








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