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陽織、修学旅行

その夜、陽織と美織は護符を書くことになった。

でも、何を書いたらいいの?

そう聞くと、翔太が見本を見せてくれる。

「まあ、基本なんでもいいんだよ。霊力や気持ちが込められていれば。」

そう聞いて、陽織はひたすら古文で試験に出そうな言葉を書く。


陽織が''已然形""宇津保物語"など書いていると、隣で真面目に翔太の護符を真似ている美織が、何書いてるの?と、覗き込んだ。

「試験対策の気持ちを込めてるの!」

と陽織は拳を握って真面目に答える。


朝も、2人は早く起きて、おにぎりを握る。陽織が具を入れて握ったものを、美織が海苔を巻き、一個一個ラップに包む。さらに保冷バッグに陽織が大量の氷を投入した。


30個も握ると、もう足りるだろうと、2人は作業をやめた。結構疲れている。

「これで、現場で結界張れって言われたら、正直辛いかも。」

珍しく美織が愚痴をこぼした。


全員が朝食をとり終わると、彩奈がやってきた。

「今日は、マイクロバスチャーターしてきた!」

と、彩奈はなんか嬉しそう。遠足の引率か?


陽織と美織は現場に行くことを免除してもらえたので、少し休んで、2時間目から授業に出席した。


化学の授業にいくと、いつもの4人が陽織しかいないことに、Aクラスの面々が首を傾げる。


今日は、昨年と同じような、廃寺案件らしい。

この辺りは田舎なので、小さな寺がたくさんあった。しかし、若い人がどんどん街へ流出し、廃村になったところが多く、そう言った場所によくあるモノだ。


湊人と翔太がかなり強くなっているので、それなりに安定した対処ができたらしく、夕方みんな無事な姿で戻ってきた。


陽織は羽織に、美織は千織に2時間目からのノートを見せていると、男子がブーブー文句を言ってきた。


男子から見せてもらえ!


「最後ねー、護符が足りなくなったら、湊人くんおにぎりをぶつけたんだよ!」

と、千織が笑って言う。

翔太は羽織と付き合い出して、初めて2人で受けた依頼だったからか、始終嬉しそうでキモかった、と湊人たちに言われていた。


そう言えは、去年は黎人さんたちに偶然会ったんだな、と陽織は懐かしく思い出していた。

でも、あの勉強地獄だけは勘弁してほしい。


サマースクールから帰ると7月も終わり。5日後には、カナダへ出発だ。


その間、試験も終わった黎人が会いたがっていたが、陽織はちょうど女の子の日になってしまったので、会うのは嫌だと断った。

イライラしちゃうし、頭とお腹も痛いし。


カナダへ行く前日、やっと女の子の日も終わり、黎人とちょっとだけなら、と会う約束をした。


会うのは夏休み前ぶり、20日ぶりくらいだった。

会えなかった日のことを話して、黎人に甘えて、愛してもらって、夕方には家に送ってもらった。


久しぶりの勉強抜きのデートが、ちょっと嬉しかった。黎人はなかなか車から降ろしてくれなかったが、カナダから帰ってきたら、と約束して別れた。


そして翌日。空港には夏用制服のポロシャツと、スカート、ズボン姿の生徒が集まっていた。

スーツケースはすでに荷物の積み込みが終わっている。


カナダには5日間滞在する。

その間、現地の高校生に会ったり、ナイアガラの滝を見たり。

今回はバンクーバーではなく、カナダ東部のトロントやモントリオールへ行く。

その中で自由行動が1日あり、陽織は、美織たち3人に会わせたい人がいた。

モントリオールに。


飛行機が離陸し、飲み物が配られる。

陽織にとってはスケート以外の海外は初めて。

いつもとは違う、高揚感でいっぱいだった。


4人は並んで座って、おしゃべりをしたり、仮眠したり。トロントまでは12時間かかるが、着いてみるとあっという間だった。


トロントは東京に比べると涼しい!

夜は寒いくらいだ。

それにお魚が美味しかった。

人数の少ないSクラスは、男子と女子が分かれて、ほかのクラスのバスに乗る。

女子はAクラスと一緒だったが、この前のことがあったので、特に何か言われることもなかった。

夜は、美織と同じ部屋。

和嶺の色々な話を、美織が笑いながら聞いてくれた。


翌日はナイアガラ見学!

初めてモントリオールに来た時、一度だけ連れてきてもらったことがある。

圧倒的な滝の水に、息をするのも忘れたことを今でも忘れない。

初めて見たクラスメイトたちは、その時陽織が感じたことと、同じことを言っていた。


そして3日目の自由行動。

陽織は、3人をモントリオールの一般家庭に連れて行った。





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