陽織、バースデー
「きっと、黎人さんに似て、かっこよくて、イケメンで、優しくて、スポーツマンで、素敵な男の子!」
陽織は、楽しそうに話す。
そうだった。陽織は子どもが好きだった。
小さな頃、母に赤ちゃんが欲しい!
産んで欲しい!妹か弟が欲しい!
と、よくねだっていた。
ポスターやテレビや、病院で赤ちゃんを見ると、決まってうっとりしていた。
「えー?ウチの親は女の子が欲しいって言ってるよ?」
と黎人が陽織の顔を見て笑う。しかも、はちみつとメープルシロップたっぷりのパンケーキのような顔で。
「えー?そうなの?そっかー。早く見たいなー、赤ちゃん。」
と、陽織が自分のお腹を触りながら言った途端、母が目を回した。
「はっ、母上っ!」
高嶺が駆け寄る。
「お、お前たち、まさか!」
と、父が立ち上がる!
「え?陽織、もしかして?」
と和嶺が聞くと、陽織は膨れて
「えーっ?いないよー。だから早く欲しいんじゃない!赤ちゃん、可愛いよねー。」
と、陽織がうっとりした顔で言った。
周囲の誤解に気づいた黎人が
「ひ、陽織さん。赤ちゃんは、結婚してから、に、しようね。」
と優しく微笑みかけた。しかし
「えーっ?わたし、結婚式で、みんなに赤ちゃんがお腹にいます!って、言いたいのにー!この前見たアメドラの結婚式みたいが良いなー。」
と唇を尖らせた。
どうにかして欲しい、この馬鹿妹。
ここは日本だから。
と、高嶺と和嶺が思ったのは、言うまでもない。
流石に陽織の突拍子もない言葉に、黎人も顔が引き攣っている。
母は頭を抱え、神月家の男性3人は、呆然となったり、黎人を冷たい目で見たり。
なんだかんだと10時近くなり、黎人は帰って行った。
玄関まで見送った陽織の唇にキスを落として。
さあ、お風呂に入って寝よう、と思って家の中に入った陽織は、そのあと両親に捕まり、日を跨ぐまで説教をされることになった。
なんで?わたし、誕生日なのに!?




