陽織、女子会の夜
50話になりました。
絶対花嫁にならない!と言ってた陽織も、とうとう黎人に捕まってしまった後日、興味深々、女子会の続きです。
夕食の時は、周りの目もあるので、4人は学校の話をたくさんしていた。
成績のこと、委員会のこと、先生のこと。
そして10時頃、美織が家の人に自分も客間で寝る旨を伝えて、4人は和室に4枚の布団を用意してもらった。
布団は、4人の枕が真ん中になるように。
布団に潜ると、早速羽織が
「陽織、美織、結界張って!」
と言ってくる。
美織の家はすでに結界が張ってあるのに、どうして?と2人は首を傾げると
「だって、家の人にだって、話の続き、聞かれたくないじゃん!」
もう、羽織と千織は興味津々。
陽織も、自分の記憶を整理したかったので、順を追って話す。
車で日本橋の百貨店に行ったこと。
黎人の好みに、着飾らされたこと。
美味しかったクリスマスランチ。
そのあと神代家に行き両親に挨拶したこと。
「うわっ、もう結婚前提じゃん!」
「羽織、静かに!」
そのあと、黎人の家に案内されたこと。
陽織と結婚したら住む家。
「な、家まで用意してあるの⁈」
神代家は比較的裕福な十神家の中でも、ダントツのお金持ちだ。
黎人のベッドの上でしばらく話をしていたこと。
色々聞いて泣きなら黎人に抱きついたこと。
「時間。止まっちゃうんだ…。」
流石にその話を聞いた3人は衝撃を受けていた。
「じゃあ、陽織も召し上げられたら、止まっちゃうの?」
千織が震えながら聞いてきた。
「うん。たぶん。ウチの父様たちが、わたしを隠したがっていたのは、それが理由だと、思う。」
周りが、年月と共に、大人になり、歳を重ね、老いても、変わらない2人。
周りが死を迎えても、死ぬことがない。
不老不死といえば聞こえはいいが、周りとは異なる時間を生きることになる。
「陽織ちゃんは?どうするの?」
千織の質問に、陽織は苦笑いしながら答えた。
「わたしは、花嫁だから。黎人さんを1人には、しておけない。」
いつのまにか、みんなの目に涙が浮かんでいた。
仲良しになった。
親友になった。
ずっと、一緒に年月を重ねられると思った。
けれど。
「たぶん、わたし、黎人さんを受け入れたんだと、思う。そのあとのこと、あんまり覚えて、なくて。」
なんとなく、くすぐったかったり、痺れていたり、痛かったり、ぼーっとしたり、そんなことだけは、どこか記憶している気がする。
「で、そのあとシャワー浴びて、髪とかメイクとか、すごくなってたら、黎人さんのお母様が、全部綺麗に直してくれたの。」
「ちょっと待て!」
「陽織ちゃん、それって。」
「黎人さんの親は、知ってたってこと?」
「んー、ニコニコしてたから、知ってたっていうよりも、もしかしたら。そのまま、一緒に住まない?って言われたし。」
再度固まる3人。
(ウワーッ)
(もう、絶対逃がさない的な?)
遠い目になっていた。
(ネェネェ、湊人くんは大丈夫だよねー?)
(いや、神様じゃないから、大丈夫じゃない?)
(でも、神代家だよ!)
と、コソコソ三人が話す。
「で、ね。次の日に、その、電話で父様と、黎人さんのお父様が、すっごい大喧嘩していたみたい。」
それはそうだろ。
大切な一人娘が。
よそのうちのお嬢さんを。
神代家、色々鬼だわ〜。
「はあー。湊人くんの家って三兄弟で、娘いないから、きっとわからないよね。」
千織が、呟いた。
「で、陽織はどうするつもり?」
「あ、え、と一応、黎人さんとは、高校卒業したら?みたいな。」
「うん。ちゃんと法律は守るんだね。神様でも。」
「なんだかなー。一番お子様の陽織と、一番穏やかで真面目な黎人さんに、先を越されるとは。」
羽織の言葉に、3人は吹き出してしまった。
「でも、陽織ちゃんを神様にするって、すぐにできることなの?」
「ううん、何年かかかるみたい。だから。」
もう、聞いている方はため息しか出なかった。
そのあと、4人はもう遅いので、休むことにした。
美織が布団から左手を出したので、陽織は右手を出した。その手を美織がギュッと握って、
「なにがあっても、ずっと一緒だよ。」
と言ってくれた。
そのまま、2人は並んで眠る。
「良かった、湊人くんで。」
と小声で千織が言うと、羽織が横を向いて
「恐るべき神代家だね。千織だって、湊人くんが大学生になったら、わからないよ?家はないかもだけど、マンションとか。」
と、揶揄う。
「や、やめてよ、ハオちゃん!」




