陽織、ショックを受ける
学園祭後、三年生は本格的な受験モードに突入している。
附属でも医学部は学内推薦がなく、10月の一般推薦に向けて、神月家もビリビリした雰囲気があった。
高嶺の時もそうだったらしいが、その頃スケート三昧だった陽織は、全く知らなかった。
悠人の巫女を見かけたことがない、と湊人に聞いたら、彼女も高3なので、ほとんど現場には同行していないと言われた。
なるほど。
というわけで。
今回は悠人、黎人、陽織の3人が現場に赴くことになる。
このメンバーを選んだのは神嶋さんらしい。
もしかして、廃病院の時の抱腹だろうか。
流石に日焼け止めは、やり過ぎだったかも。
現場へ向かう途中、ファミレスで休憩、朝ごはん代わりの軽食をとった。
「悠人さんは、巫女の方が同行しなくても、大丈夫なんですか?」
何も考えずに陽織が尋ねると、
「高嶺さんも、普段はいないよ?」
と返された。
確かに。
陽織は、高嶺の巫女という女性に会ったことがない。
かなりの名家のお嬢様だ、というのは聞いたことがあるが。
「巫女の働きは大きくわけて3つ。
1つは現場の霊をきれいにして送ってあげること。これは、陽織さんが得意だよね。
2つ目は、終わった現場の浄化。これは美織ちゃんが得意としている。
3つ目は龍を使役している僕らへの霊力の供給。
基本、かなりの大物でなければ、途中で霊力が枯渇することはない。だから終わった後でも十分なんだ。」
悠人の説明に、陽織はフーン、とうなづいた。
「ところで、供給って何をするのですか?」
と聞き返すと、黎人がぶっと吹き出した。
悠人も気まずそうに顔を逸らす。
(え?わたしなんかまずいことを聞いた?)
湊人がいたら、きっと、そんなことも知らないのか、と馬鹿にされるに違いない。
その時、陽織の後ろで
「性的な供給が一番です。」
という声がした。
(せいてき?政敵?静的?せ。)
陽織はその言葉の意味に気づいて青くなる。
声の主は、神嶋だった。
「おはようございます。陽織さん。」
「まあ、一時的なものなら口付け程度で十分ですが、一番はやはり性交、」
言いかけた神嶋の口を黎人が思い切り殴りつけた。
(成功?いや、違うだろう。)
「いいじゃないですか。痛いです。あ、血が出ました。陽織さんだって、もう高校生ですよ。それくらい。学校でだって、最近は教えているでしょう。それに周りの方はみなさん、すでに。」
え?もしかして?陽織の頭はパンク寸前になる。
周りの方って?千織や美織も?
ウソウソウソ!
美織と和兄様に限ってそんなこと!
ないないない!
「陽織、陽織、和嶺や湊人はそんな大掛かりな仕事はまだ受けてないから、大丈夫だよ!」
大丈夫と言いながら、黎人自身何が大丈夫なのだろう、と疑問に思う。
「高嶺くんみたいな人は効率重視ですから、当然お相手の方とは。」
という神嶋の言葉に、陽織の頭はとうとうパンクして倒れた。
高嶺兄様が女性と、女性と、女性と!
「だれ、その人!」
陽織は夢の中で、高嶺が知らない女の人とイチャイチャしているのを見せられ、思わず叫んだ!
「?」
3人の視線に陽織は、一気に覚醒する。
「いえ、なんでもありません。」
3人は陽織が夢を見ている間に、今日のスケジュールを確認していた。




