↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
302/304

林田、才能を発揮!

あれから結構頑張ったけど、よく考えてみたら、子どもができるわけがない。

陽織はまだ母乳を与えている。

その間、女性ホルモンのほとんどが姫花の栄養となるのだ。仕方ない。


  まあ、楽しかったからいいけど。

と、黎人は思った。

綾人は8月いっぱいお休みなので、まだ秘書は林田が務めている。

林田は黎人の機嫌をよく見ているので、ちょっとキモい。なんで、わかるんだろ?

「なんかここのところ、毎日ご機嫌ですねー。」

と言ってくる。ウザイ!

「彩奈さんは?どう?」

と聞いたら、疑問を浮かべながらも、

「元気ですよー。ちょっとお腹出てきて笑っちゃいますけど。」

と、本当にあはは、と笑っている。

「大事にしろよー。」

と言ったら、当然!と返された。

綾人と言い、なんか大人の余裕を感じる。

「今、彩奈さん仕事してるの?」

「はい、安月給ですから、共稼ぎっすよー。」

(安月給で、悪かったな!)

と睨む。

「今は、毎日事務仕事で退屈って言ってます。マジ笑です。」

こいつ、本当に父親になるのか?と、疑問を持つ。


林田は今の所、広報室の所属で代理秘書だ。

秘書課もあるのに、なぜ?と聞かれたが、秘書課から誰か、と言った途端、女性社員が大騒ぎになった、と言うことで丁重にお断りした。

陽織との喧嘩の火種は作りたくない!

逆に、毎日陽織の話を聞かされる女性秘書だって、嫌だろう。


でも、社長秘書が他の部署の人間って、秘書課の意味があるのか?まあ、室長秘書や副社長秘書とかはいるから、いいのか。


そんなことを考えながら、林田の割とざっくりなスケジュール管理で、今は毎日仕事をしている。


8月も最終週、となれば林田の秘書業務もサマになってきた。秘書業務もあと1週間。そんなある日、とんでもない客がやってきた。

吉原一也、梓沙の従兄だ。

一也は天神の事件で黎人に協力してから、何かとそれを理由にやってきては、不本意な依頼をする。

大半は自分が持つ、動画配信放送で、やたらと黎人の特集をやったり、対談をやったり、祭り上げては視聴率を稼いでいる。

黎人が一番嫌がる依頼だ。

しかも、一也が来た日は午後から他の会社とのテレビ会議が入っている。一也はそんな都合もお構いなくやってきては、時間がない黎人に無理矢理イエスと言わせていた。

「林田、わたしはいないと言え!」

社長室の一番奥。黎人は執務室から、林田に指示をして施錠した。


「え?いないの?黎人くん。おかしいなー、さっき廊下で会った可愛い秘書の子が、社長室にいるって言ってたのに。」

林田はそんな言葉は無視を決めた。

「おそらく、間違えたのでしょう。申し訳ございませんが、本日社長は私用でお休みを取られております。」

林田は、シラを切る。

「えー、そんなー。じゃあ家にいるのかなー、行ってみようかな。俺、黎人くんの家、行ったことないんだよねー。」

「お言葉ですが、社長のご自宅にはまだ生後間もないお嬢様がいらっしゃいます。奥様も、お疲れですので、それはご容赦ください。」

林田は、丁寧に頭を下げた。

「え?生後間もないって、2人目産まれたんだー。良いなー、俺も結婚しよーかなー。」

そんな一也の言葉も全く気にせず、林田は

「そう言うことですので、今日のところは、申し訳ございませんが、お引き取り願います。」

と言って、部屋から出てもらおうとしていた。


一也はそれでも中々動かない。

その理由は、こちらが嘘をついていることを見抜いているからだ。

と言っても、林田も言い出したらからには、絶対に自分の言葉を貫きたい。


それから、30分ほど林田は無言を貫いて、一也は渋々帰って行った。

それでも警戒する彼は、一也をエレベーターまで送り、さらに玄関を出るところまで、監視カメラを確認する、と言う、中々なものだった。


一也が部屋を出て20分を過ぎた頃、やっと黎人は奥の部屋から出てきた。

林田は意外な才能を見せてくれた。これは貴重だ。

「まあ、オレ広報でいやらしいマスコミ相手の仕事、結構やらされたので。」

林田は照れながら答えた。

なるほど。


黎人はその後落ち着いて、午後の会議に臨んだ。

ケイオーの社長、宏輝の父、他にも同様に健康食品に参入した食品会社味覚城の社長、美緒の父や化粧品会社の会社の社長もいた。

来期、ケイオーは本格的に健康食品に参入する。それは、コシロのライバルとなることだ。

神城はすでに始めている。

健康食品産業は、まだまだこれからも増えていく。中には、悪質商法的なもの、粗悪な商品も多くある。

まずは粗悪な商品、法的にも認められないような原材料を利用した食品の排除。

悪質な商品は国民の健康を損なうだけでなく、業界のイメージダウンにもつながる。


「我々はライバルではありますが、敵ではありません。まずは粗悪な商品を分かった上で、販売している海外の業者と繋がる会社の排除ですね。」

黎人が低く抑えた声で話す。

「お互いそれに関しては、情報共有をしましょう。この場の会社だけでも。」

神岡宗吾が呟いた。

「どれくらいありますか?ウチが手に入れているのは、まだ3社くらいですが。」

「アシラ、ミヤタ、シャスですか?」

「その3社は有名ですからね。」

5人はうなづく。

「どうします?黎人くん。トカゲの尻尾から始めるか、それとも、大物を先に潰すか?」

6人のうち、神岡、神城の両者は黎人の力を知っている。

「イヤイヤ、ちょっと待ってください、お2人とも。それはここでは使えません。アレは、その、ひお、がその、狙われたから。」

黎人は他には聞こえないくらい小さな声で、呟いた。

「潰す?」

物騒なことを言い出した宗吾に、神城以外の3人が目を見開く。黎人は、目を逸らして咳払いをすると

「まずは合法的に、相手、いや、3社のことをしっかりと調査しましょう。その上で、違法行為が見つかれば、消費者庁にお願いすると言うことで。」

合法的、と言う黎人の言葉にも、同じ食品大手のサンリンが顔をしかめた。


逆に飲料メーカーの山船は、

「そんな甘い考えでいいのか?どうせヤツらの後ろには、違反なことも平気でやる奴らがバックにいるんだ。それも日本の集団とは限らない。」

山船は、さすが元酒造メーカーとあり、中々強気だ。

そう、日本国内ならまだしも、これが海外の組織、となったら、あまりにもやばすぎる。

いくら神代だって、危険だし、黎人だってそこまではチカラはない。

「とにかく、まずは可能なことから、一つずつ、と言うことで、今後も報告連絡を密にして行こう。」

神城の一言で、それぞれが勝手には行動しない、と言う総意を確認した。


テレビ会議後、神岡と神城は新たに連絡を入れてきたので、黎人は父に変わった。その方が面倒なことがない。とにかく、これ以上無理難題を丸投げされたくない!何でもかんでも、神様だから、って言われるのは荷が重過ぎる。

特に、宗吾は蓮也と友人だ。考え方だって、黎人よりも世代が同じならたぶん近い。


そして、黎人には山船、サンリンと共に参加していた、化学薬品メーカーのカガミ化成の加賀美慎太郎が再度、連絡を入れてきた。

加賀美は黎人と同じ、親の代から受け継いだ、まだ30歳の若手社長。黎人と同じように、一昨年親が会長になって、社長になったばかり。

結婚もして、姫花と同じ頃に生まれた子どももいる。

そう言った共通点はあるが、彼は根っからのリアリストの技術者で、そこだけは黎人と違う。


何度か若手社長対談と言った、一也の思惑で話をしたことはあるが、仕事の話を先輩を交えてしたのは、今回が初めてだ。


「すみません、わたしが不慣れなために、色々お気遣いいただき。」

加賀美敦が、丁重に話を切り出す。

「いえいえ、私たちの親世代の社長ばかりですから、気も使われたでしょう。」

黎人も穏やかに答えた.

「以前、困ったことがあれば神代さんに聞けば良い、と神幡さんに教えられたので。」

神幡?と聞いた、黎人は記憶を探る。

お茶の神幡、神代なんかよりもはるかに古い、確か12代目だかなんかの、お茶の名家。確か神幡は大神の同級生で、33か34になる。黎人よりも先輩になる。

(なんで、また僕に聞けって?なに、それ!)






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。