湊人、頑張った!
夕方、東京に帰ると、陽織は早速洗濯物を洗濯機に入れて、荷物を片付け、姫花のオムツ替えなどをして、やっと落ち着く頃、お土産をもって、家族で母屋に行った。
リビングでは、帰ってきたばかりの湊人がぐったりとソファーの上に寝転んでいる。
「湊人、邪魔!」
黎人に蹴られてソファーから落ちた。
「ひでー!俺頑張ったのにー!」
「ハイハイ。お疲れ様。よく頑張った!」
一応褒められたのかな?と言う顔をする。
「で?報告書は?」
「んー、これからー。今朝終わって今帰ってきたところー。」
と言っている。
昼間何してたんだよ!と、突っ込みたいが、そこは敢えて聞かない。
「宏輝たちも?」
「んー、たぶん。朝マクドで解散したー。そこしか店やってなかったー。」
黎人は笑っている。
向かい側のソファーに鷹人と黎人、姫花と陽織が、それぞれ座って、お土産を開いた。
「みなとー、ぼくねー、みなとに釜めし?かってきたよー。」
と鷹人がいったら、ガバッと起き上がって、食う!と言う。
それを聞いた美咲が、
「もう、夕飯なんだけど!」
と怒った。
「ヘーキヘーキ!両方食べる!」
と言って、いきなり袋から出すと、手も洗わずに食べようとするので、鷹人に怒られた。
「で?どうだった?あの2人は。」
「んー、俺は大樹連れてたけど、なんとかなんじやね?陸斗は宏輝に任せた。」
と、しばらく考えたかと思うと
「幸穂、が、ちょい、やばかった。」
幸穂と聞いて、陽織も顔を上げた。
「幸穂?」
「なんで?あいつ葉鳥と2人、うまくやってると思うけど。」
黎人も不思議そうな顔をする。
「それが、最後浄化してくれたんだけど。」
そこまで言って、陽織の顔をチラッと見る。
「陽織の真似して、使役獣使って、フロア全部を1人で浄化した。」
黎人は少し苦い顔をし、陽織も青くなる。
「で、無事、だった?」
「んー、まあなんとか。2度とやるなって、怒っちゃった。まずかったかなー。」
湊人の言葉を聞いて、黎人は少しホッとした。
「いや、湊人の判断は正しい!全く、なんで陽織の真似なんか。」
黎人はそう言って陽織の手をギュッと握った。
「ほら、今の大学生組、結構陽織に憧れてる女子多いから。円香とか楓とか柚乃羽とか。」
そう聞いて、陽織はクラっとする。
なんでー!?
そんな話をしながら、湊人はあっという間に釜飯を食べ終えた。
だいたい、陽織に憧れられる要素はない、と思う。なんで?わがままだし、泣き虫だし、ガキっぽいし、すぐぶっ倒れるし、すぐ膨れるし、嫌なこととか、嫌いなものとかあると、ギャーギャー騒ぐし、迷惑だし!
湊人はそう思うと、顔を顰めた。
「じゃあ、湊人。報告書できたら見せて。」
夕飯を食べながら、黎人が言うと
「はあ?なんで?」
と返してきた。
「いいなら、いいけど。」
やっぱり、ご飯食べてる。
「で?どうだった?軽井沢は。」
と聞かれて、鷹人はリフトに乗ったことや、山に登ったこと、滝を見たことなどを、興奮して話していた。
「あのね、ぼくまーくんたちにお土産買ったの!みぃちゃんにもあるよ!」
そう言って、もってきたリュックをガサゴソと開けている。
はい、と手渡したのは、みんなの分、とお揃いで買った木彫りの動物だった。
美咲の分も、あったらしい。
「ぼくもお揃い!」
「えー、ほんと?嬉しい!」
と、美咲が喜ぶと蓮也は憮然とした。
確かに、なぜか美咲の分だけ買った?
釜めしもない?
「あ、父上には一応別にあるから。」
そう言うと、黎人は藤上に紹介された地酒を出した。
藤上と聞いて、蓮也も懐かしそうな顔をする。
「パパねー、ぼっちやん、て呼ばれてたー。」
鷹人に言われ黎人が赤くなるのと同時に、湊人がふきだした。
「ブワッは、ぼ、ぼっちゃん、坊ちゃんって、誰だー!」
湊人はそのまま、黎人から思い切りゲンコツを食う。
湊人は家族で5日間も軽井沢にいたことを知り、ちょっと怒ってる。何度も連絡したのに!と。
でも、そのおかげで、自分でちゃんと後輩たちを引っ張って依頼を達成することができた。
自分としては、ちょっとスキルが上がった感はある。
千織にも褒められた。
カッコもつけられた。
いつも、黎人や悠人の後ろを歩いてるんじゃない!
と言う自信が少しだけついた。
土曜日、千織と宏輝、羽織が来て、報告書を仕上げた。やっぱり黎人に見てもらいたいと、見せに来た。彩奈ほどではないが、やっぱりダメ出しはあった。
でも、ほぼ合格点はもらえた。
陽織も、3人にお土産を渡した。
湊人が、俺は?と聞いてきたので、釜めし、と答えたら、えーっ?と文句を言う。
その日の午後、綾人から絵梨花が男の子を出産した連絡が入った。
良いなー男の子。
陽織はなんとなく、羨ましくなった。




