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湊人、初勝利!

湊人は高橋の部屋に霊が移動したと聞き、円香に部屋の外側から結界を貼るように伝える。

霊は特に、千智に拘ってないなら他の似たようなターゲットを道連れにするつもりだ。

そして今、現れたのは高橋由里子の部屋だ。

「そっちでゼッテー祓う!」

顔を強張らせて、湊人が千智の部屋を出ると、由里子の部屋に移動した。


ここの患者のほとんどは、睡眠障害もあるため、睡眠薬も処方されている。今、活動しているのは、宿直のナースと、湊人たちだけだ。


湊人、大樹が部屋の中に入り戸を閉める。

外から円香に結界を張ってもらった。

霊が出ることがないように。


女性の霊は、由里子にも同じことを話している。

パワハラとセクハラで心を病んでしまった由里子は、睡眠薬のおかげでぐっすり眠っている。

「一緒に、つれていって、あげるね。」

霊が言う、と

「言いたいことあるなら、起きてる時に言え!」

湊人は、霊の前に立ちはだかると、そう言い放った。

え?起きてればいいの?

大輝は唖然とする。

「あなた、も、一緒、行く?」

と霊が言った途端、湊人は銀龍を放つ。

最初から話し合いなんかするつもりはない!

慌てて大樹も、自分の使役獣赤虎を出した。

そして、一気に2体で霊に飛びかかる。

女性の霊は、苦しみもがきながらも、龍と虎を相手に戦っている。

女性の霊はすでにこの病院だけで、4人の犠牲者を出している。もし、それを取り込んでいたら、強くなることもある。

それだけに、湊人でもかなりの苦戦を強いられた。

千織は由里子に被害がいかないように、彼女のベッド周りに結界を貼った。


一時間もすると、女性の霊は小さくなり、もう少し、と言うところまで来る。

その時、部屋の外に女性とは別の違う霊気が近づいてきた。女性の霊や銀龍たちに引き寄せられた、他の霊のようだ。

「宏輝!」

湊人がインカムに向かって叫ぶが、外は大混乱になっているようだった。

たくさんの霊が、羽織と七緒を取囲み、陸斗と宏輝はそれを祓い続けるのに手一杯だった。

すでに葉鳥たちも応戦しているが、数が多すぎて、対処しきれない。

「大樹、早く片付けるぞ!」

湊人は言うと、右手を出して女性のわずかに残った霊を握りつぶす。すると、女性の霊は霧のように散っていった。

大樹はそれをみて目を丸くした。

(黎人さんと、同じだ。)


その後、2人は外に出て宏輝たちの応援に向かった。

「な、なんだこれ?」

外で結界を張っていた円香にも、外から来た幸穂にもまとわりついている。


『巫女を守るのも術者の役目』

以前、黎人に言われたことを思い出す。


朝の4時半。うっすらと空が明るくなる頃、黎人は目を覚ました。


銀龍が咆哮をあげ、残った霊を全て蹴散らした。

「だ、大丈夫か?湊人!」

「湊人くん!」

千織が迷わず、湊人に口付けをする。

なんとか倒れそうな体を、支えて、

「よっしゃー!」

と拳を突き上げた。


あとは浄化、となった時、幸穂が前に出た。

「わたしやります!まだちからあるので!」

幸穂はそう言うと、自分の手のひらに小さなハムスターのリリを召喚する。

「リリ、お願い!」

幸穂が叫ぶと、フロア全体が浄化された。

千織、羽織、宏輝の顔色が変わる。

「やったー!」

と喜んだ途端、幸穂がふらつく。

湊人が、普段は見せないような怒りに満ちた顔になった。

「幸穂、それは2度とやるな!」

見ぬ怒鳴られて、幸穂や大学生4人は呆然としてる。

葉鳥だけが、幸穂を支えるようにして、湊人の前に出た。

「湊人、僕が話すよ。」

そう言って、今度は葉鳥画幸穂にキスをした。


「幸ちゃん、キミは巫女なんだ。巫女の役割には浄化もある。でも、一番の仕事は、なに?」

幸穂は葉鳥に言われて、たじろぐ。


陸斗や大樹は意味がわからない。

「巫女の仕事は、パートナーへの霊力供給だ!自分が供給されたら意味がない!」

「で、でも陽織、先輩、は?」

はあー、と湊人と宏輝はため息を吐く。

「あのね、幸穂。陽織は花嫁なんだよ。黎人さんは神様。黎人さんは、無限の霊力を持っているに等しい。だから、陽織がどんなに無茶しようが、霊力がカラカラになろうが、全然OKなの。」

「それだって、今の陽織は毎日自分の霊力を半分削って子どもに分け与えてる。だから、前線に来られないんだ。それでも俺たちの5倍以上のチカラは持っている。それだって、立ってられない時もあるんだ。」

宏輝と湊人が代わる代わる説明すると幸穂や大学生たちが、わかった、とうなづいた。


銀龍が戻ったことに気づいて、起きようかどうしようか迷っていたら、陽織が隣で目を覚ました。

でも、まだ眠いのか、うつらうつらしている。

「まだ早いよ?」

と声をかけると

「んー。黎人さん、好き。」

と夢でも見ていたのか、いきなり言ったかと思うと、えへへと笑って、黎人に抱きついたまま、コテンと寝てしまった。

黎人は赤くなって、寝ている陽織をぎゅーっと抱きしめた。

   可愛すぎる。

でも、本当は知らない。

夢の中で、

「だねー、お肉!やっぱり湊人と兄弟だー。」

と、続いていたことを。


その後、湊人と千織が宿直の看護師に依頼終了の報告をして、これからは安心するように告げた。

やっと夜明け、始発が走り始めた。

「どうする?みんな帰る?」

と、千織が聞くと、

「腹減ったー。」

と宏輝と湊人が言い始めた。

「今やってるの、マクドキングか飲み屋くらいだよ?」

と葉鳥が言うと、

「じゃあマクドキング!」

と10人はワラワラと駅近くのお店に移動した。


早朝から、大人数.しかも湊人はバーガーだけで、5つ注文してしてる。

「あ、すみません。これ全部の、領収書ください。」

とまで言ってる。

早朝勤務のアルバイターは、急な団体客に、異様な忙しさを強いられた。





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