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陽織、翔太立ち上がる(神様の娘編)

翌日、彩奈の兄と洸太、翔太が神鬼のところに行った。大学生組は、とりあえずお休みらしい。

袈裟姿の健太が、林田から引き離す、と言うことになった。


しかし、何が中に入っているのか、本当に取り憑かれたのか?全くわかっていない。

その段階で、こんなことやっていいのか?

と、彩奈も不安になる。

「ネェ、兄さん。黎人にちゃんと確認した?大丈夫?」

彩奈は不安だらけで兄を見る。

「大丈夫だ。俺だって散々色んなところで、お祓いをやってきているんだ。」

そうは言っても、何かに取り憑かれているような感じに、彩奈は見えなかった。むしろ、そう、以前美織や陽織たち、織姫ズが銀座の地下鉄の入り口で、消えた時のような。

ここにはいるんだけど、まるで、心だけ持っていかれたような。

洸太は黎人とは幼馴染だが、色々な意味で比較されてきたので、姉が黎人の方を信用してるのは面白くはない。しかし、黎人の力は認めている。

だから、本音を言うと今回のお祓いは、早急な気がしている。


その様子を見ている神鬼は、何か言いたげだが黙っている。

(まあ、いざとなれば、わたしが結界で彼を守りましょう。)


そして10分ほどすると、健太の読経が始まる。

周囲に聞かれたら大変なので、とりあえず結界を貼ってある。

読経が始まって15分くらいたっただろうか?

急に林田の顔が怯えたように歪む。

   怯え?

   何か違う!

彩奈と俊太はそう感じた。

そして、いきなり

「ウワーッ!」

と叫ぶと同時に、気を失う。

洸太は、兄が林田の中の悪霊と戦っているのだ、とそう信じているが、翔太と彩奈には、そうは見えない。

何かが間違っている!


「待って!兄さん!俊介さんは、取り憑かれていない!持っていかれたんだ!」

翔太が叫んだ。

「なんで、お前のような若造に何がわかるんだ!」

「若造って、兄さんだって、若造じゃないか!場数からいったら、俺の方が踏んでる!」

翔太が叫ぶ!

そう、高校生になってすぐ異界に連れて行かれ、彩奈に引っ張られてGWの海、川で命を落とした人形の魂も助けた。

他にもたくさん。

湊人や、陽織、そして、羽織!


その時、彩奈のスマホが鳴った。黎人だ。

「彩奈さん?いま、陽織から電話で、鷹人が変な店の前で、林田さんを見た、って言ってるんだけど。」

変な、店?

ここに、いる?

「たぶん、鷹人の話から、推測すると、駄菓子屋さん?子どもがたくさんいて、色が綺麗なお菓子が置いてある、って。鷹人はお菓子って、陽織の手作りしか食べたことほとんどないけど、お菓子って、子どもが言ってたって。」

「で、だんだん、林田さんの姿が、幼くなってるみたい?なこと言ってる。」

駄菓子屋?

幼く。

子ども。


もしかしたら、お祖母ちゃん。

「やめて!兄さん。わたし、わかったかも知れない!お店のことも、俊介がどこにいるかも。」

でも、助け方がわからない。

たぶん兄たちでは、助けられない。

どうしたら。

「黎人、やっぱり陽織の力、借りて、良い?必ず、返す、から。」


夕方、黎人は仕事を早く切り上げて、陽織たち家族を連れてやってきた。もう、健太だけは、帰っていた。

「ごめんね、陽織。」

陽織は姫花を抱いている。

黎人が鷹人を連れていた。

「あ、このおじさん、だよ。ぼく見たの。」

「鷹人、どこで見たの?」

「うーん、えーと、朝ねー、あ、違う。えと、よーちえん行く時。」

「車の中で?」

「うん。」

車の中から、そんな風景見ることがあるだろか?

「もしかしたら、通園の時、あの店の近くを通るのかなー。」

彩奈が困惑した顔で言う。

「彩奈、こんな子どもの言うこと、当てにするな。」

洸太が苦い顔で言い放った。

それを黎人が睨みつける。


「あのね、陽織。俊介のお祖母ちゃんの家、ほら大神家からお嫁に来た人の娘。って、駄菓子屋さん、だったんだよ。もしかしたら、一昨日の夜、通った近くにあったのかなー。」

「でも、林田さんは怯えたような顔をしたんですよね?お祖母ちゃんなら、そんな怖がること。」

そう言って、陽織は黎人の顔を見た。

「お祖母さんも、少し視えたって、言ってましたよね。ところで、林田さんのお祖母さんは、なんで亡くなったんですか?老衰ですか?それとも、ご病気かなにか?」

彩奈の兄弟たちは、互いに顔を見合わせる。

黎人は、その姿にイラッとなる。


こう言った件では、一つ一つがヒントになるのに!

調べてもいなかったのか!

若手よりも、タチが悪い。

翔太は、黎人と一緒に現場に出たことがあるので、何も調べずに、いきなり祓う、なんてありえない。

そう思ってた。

陽織なんか、子どもの霊、一人一人と話していることもある。


「俊介の話だと、子どもは知らなくていい、と言われて、教えてもらわなかったそうです。」

彩奈が答えるが、それを調べるのが洸太の仕事だろう、と黎人は思う。それに気づいたのか

「すみません、黎人さん。調査不足です。」

と翔太が頭を下げた。

「翔太、今回のリーダーは?」

「え?あ、特に決めてない、かも。」

「それなら、お前が仕切れるな。」

翔太はチラッと兄を見たが、ハイとうなづいた。

「陽織が手伝うのは、そのあとですよ。彩奈さん。」

「翔太、お願いね。」

陽織の笑顔、久しぶりに見た。


そう言うと黎人は家族を連れて帰って行った。

黎人たちが帰った後、菅原兄弟3人は睨み合っていた。

「翔太、お前、弟のくせに勝手なことを!」

洸太が睨むが、翔太と彩奈は黎人のやり方の方が正しいことを知っている。

「何でもかんでも、ただ祓うだけじゃダメなんだ!そんなこと、兄さんだって、父上に教えてもらってるんじゃないの?」

翔太が言い返す。

とにかく、大学生組招集し、再度調査をする流れで指揮をすることになった。


調べ直すと、あの場には林田の祖母の店はなかった。

ただ似たような店はあったらしい。

そして、祖母は60代で原因不明の急死、と言うことで、神嶋の元に、そのファイルが残っていた。


当時、林田はまだ小学校にも上がってなく、よく祖母の店で遊んでいた。

情報が集まるに連れて、林田は子どものころ「何モノか」に目をつけられていたのではないか、と言うことを、大樹たちが調べ上げた。

それが祖母の命を奪った。

幼い林田をその「何モノか」から命を守るために、祖母は自分の命と引き換えに、林田になんらかの守りつけたのかもしれない。いまでも、守護霊として林田の後ろにいるのかもしれない・


ところが、その守りが、あの日破られて付け回していた「モノ」に、見つかった。

だから林田は怯えていた。

それでも、死してもなお、彼を守っていた祖母の守護霊があり、それを健太が祓おうとしたなら?


「何モノか?」

「すみません、黎人さん。そこまでは分かりませんでした。」

電話の向こうで翔太こ、残念そうな声がする。

「いや、かなりわかってきた。それなら陽織と彩奈さんのチカラで、助けられるかも知れない。」

「実は、鷹人が見た、という場所が日本橋に行くまでの間、神田駅より内側周辺なんだけど。それに関しては何かわかる?」

「あ、神田です。もともと、そのお祖母さんのお店があったのは、淡路町あたりです。」

「ビンゴだな。」

黎人はそういって、翔太によくやった、と褒めてくれた。

それだけでも、翔太は嬉しかった。

(これは湊人より、リーダー向きだったか。)












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