↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
279/291

陽織、子どもは可愛い(神様の娘編)

そう言えば、

と、陽織の気を紛らわそうと、陽香が話し出した。

「鷹人の七五三の用意はもうしたの?」

?

「たぶん、黎人さんがしてると思う。なんで?」

「鷹人が七五三なら、大地もよね?」

そうか、同じ歳になる。

「あのね、この前和嶺の結婚式の時思ったのだけど、高嶺と梓沙さんの結婚式、簡単に済ませてしまったじゃない?だから、七五三くらいは、ちゃんとやってあげたいって。」

なるほど、と陽織も思った。

「今週末には、姫ちゃんのお宮参りもあるし。美咲はそういうところちゃんとしてるから。」


高嶺と梓沙は、高嶺がまだ学生の時に結婚したので、披露宴をやっていない。

「天神さんも、変な人よね。一人娘なのに、いい加減っていうか。剛樹の跡取り云々はあんな派手にやったのに。」

たしかに。

陽織は蓮也の言葉を思い出す。

大事な娘というなら、高樹のように嫁にやりたくない、守りたいと思うものだと。天神には、そういう気持ちがなく、まるで娘を道具にように見ている、と。

黎人はその言葉から、梓沙の父親が、大和ではなく、違う人間なのではという考えに至ったらしい。


「ねえママ、自分の子はやっぱり可愛い?」

「当たり前じゃない!陽織が黎人さんと結婚するの、どれだけママだって、本当は早すぎる!って思ったが。できれば、大学卒業するまでは、待ってほしかったわ。それなのに、陽織ったら、もう!それじゃなくても、陽織はカナダとかドイツとか、本当に一緒にいられなかったんだもん!陽織が京都にお嫁になんか行ったら、ママついて行くわ!」

「え?それは嫌かも。」


姫花がスヤスヤと寝ると、陽織はゆりかごに横たえた。今日は、一階のリビングにずっといる。

1人なら2階の寝室で、1日過ごすつもりだった。

お昼も食べずに。

陽香は、そんな陽織のことが、わかるのかな?と、思ってしまう。

陽香と2人、お茶を入れて陽香が持ってきた、ケーキを出した。


「ピアノは姫花の部屋に置いたの?それじゃ陽織が弾けないじゃない。」

「別に、わたしはいいよ。それより、うちにあるわたしの部屋、もう、片付けていいよ。特に、あの、スケートの、衣装がある、部屋。」

「どうして?そんな寂しいこと。」

「だって、高嶺兄様の部屋、もう、あまり荷物ないんでしょ?それなら2階の三部屋、和兄様と美織ちゃんが使えば、一緒に暮らせるよ?」

陽織の言葉に陽香はあ、となる。

「あのね、美織ちゃんも赤ちゃん生まれるでしょ?陽織は、美咲お義母様がいるから、何かとお願いしてるけど、美織ちゃんは大変だと思うの。梓沙さんも大変だけど、その、やっぱり誰か頼れる人が近くにいると、安心かな、って。」

陽香はそんなこと、思いもよらなかった。

うちは狭いから一緒には暮らせない。

高嶺は、天神の土地を借りて家を建てた。

今や、その全てが梓沙と高嶺のものだ。

陽織は、結婚する前から神代の親が家を建ててくれていた。

和嶺と美織は。

神月の家は、余るほど広くない。

美織の実家も広いが、まだ弟たちがいる。

となると、いずれは神月の家を受け継ぐことがあるとしたら、和嶺たちだ。

でも、まだ一緒に住みたい、とは思わないだろう。

せめて、二世帯なら。


「ウチも、ココみたいに広かったらね。黎人さんの家だけでも、うちの倍はあるもの。」

「そうなんだー。」

陽織はよくわからないみたいに、答える。

「だいたい、陽織は黎人さんのお給料ってちゃんと把握してるの?」

?

「知らないよ?お給料なんて、教えてもらったことないもん。よく、それ言われるけど、黎人さん陽織に教えてくれないもん。そういうところは、前から。陽織は知らなくていい。陽織は心配しないでって。」

陽織はそう言って、ちょっと膨れる。

「年間で、10億くらいだよ、って言われた。税金とか色々引かれると、ろく?なな?でも、10億が大きすぎてよくわからない。」

「?10?お、く?え?ちょっと、それ。なに?高樹さんも、すごいなーって思ったけど、10倍以上じゃな、い!」

陽香が目を丸くする。

「だから、よくわかんないって言ったのに!」


「だって、前にわたしが着たドレスも、300万?くらいで、アクセサリー入れると、1000万くらいって、お義母様言ってたかな?でも、あれはあの、議員とかを脅すためだったから、いいんだって。」

「陽織、なんて贅沢。」

「別に、わたしが欲しいって言ったわけじゃないもん!結婚式の時だって、陽織あんなに何枚もドレス着たくなかったし。」

「ほんとうよ!美緒ちゃんの時に、お値段聞いて、びっくりしたもの。流石にウチでは無理って言っちゃったわよ!」

わたしが欲しいわけじゃないのに!!

と、陽織は怒ってる。


「それに、陽織はもう赤ちゃんいらないっていうのに、3階改築して子ども部屋増やすからって。やだよー。いつも苦しいのは陽織なのに!」

美織もそれなりに悪阻はあるが入院するほどじゃない。梓沙もだ。

陽織はひどい。毎回入院してなんとか持ち堪えている。出産は普通よりちょっと大変くらいなのに。


そのうち、お昼近くなって、陽香がそうめんを用意していると、姫花がぐずり出した。陽織が抱き上げて、笑いかけながらオムツをら取り替えている。

そのまま、授乳もして、また何か話している。

鷹人の時もだけど、陽織が赤ちゃんに話す言葉が陽香には、よくわからない。

一体何語なんだろう?



そうめんの用意ができると、リビングのテーブルに並べた。そうめんなら、陽織も食べやすいし、多少は食べられる。

姫花を代わりに抱いて、陽織を先に食事させた。

そうめんの上に、きゅうりや鳥のささみ、卵なども載せて、少しでも栄養をつけさせるようにした。

「あ、明日は1ヶ月検診なの。」

そう陽織が言うので、ついていく約束もした。


翌日、陽織は陽香と一緒に病院へ行った。

今回は美咲は用があるので、高樹が車で迎えに来た。

しかも、なぜか高樹がついてくる。休みを取ったらしい。

「なんで父様まで!」

午前中は姫花の検診。


姫花はあの4日間があったので、鷹人ほどは発育が良くなかった。陽織はそれが心配だった。

小児科の医師は後ろから高樹が睨むように見ているので、少々気の毒だった。

午後の陽織の検診で内診が終わると、また2人が入ってくる。

「だから、なんで父様ついてくるのよ!外でママと待っていてよ!」

東山が苦笑している。


「あの、陽織さん?わたしまだ、許可してないと思うのですが?」

何を?と、聞きかけて、あ、と思う。

  なんでわかるの!

「え、と、その。すみません。」

陽織が下を向く。

「別に、その、無理矢理、とかじゃないですよね?」

と言われて、後ろで聞かれているのが、怖い。

陽織が返事ができない。

「その、ご想像に、おまかせします。」

と、陽織は後ろをチラチラ見ながら答えると、東山も察したのか

「あの、院長先生?その、女性ではないとお話しにくいこともありますので。」

と、退室してもらった。


「あ、えと。わたし先週高熱出して4日、神鬼先生のところに入院してたんです。」

すると、すぐに東山が電子カルテの履歴を確認する。

「それで、神力がなくなっちゃったみたいで。」

そこまで話すと、なんとなく理解してくれた。

「でも、昨夜は関係ありませんよね?」

   なんでわかるの?

   怖いんだけど!

「あ、それは、その。」

陽織は返事に困る。


「その、もうすぐウチ増築するんです。」

?

「子ども部屋が3つじゃ足りないからって。」

3つもあるのに?

「その、男の子は3人以上って。」

うわっ、何その明治みたいなの!

「主人も、3人兄弟ですし。義父も、義祖父も。」

陽織が考え込む。

「その、男の子が1人で何かあったらって。跡取りがいないと、困るから。」

「だからって、その、昨夜は関係ないですよね?」


陽織は無言になる。


「あのねー、退院の時も言ったけど、ちゃんと嫌な時とか、ダメな時、とかきちんと言わないと。」

「う。」

わかってるけど‥。

でも、他の女の人となんて、嫌だ!

「わたしの都合も、ちゃんと聞いてくれますよ?でも、その、わたしより、忙しいので、その、大変だし。そういうのを、ちゃんと労うのも、大切って。」

「ご主人が?」

「あ、いえ、その義母が。」

東山はだんだん陽織が気の毒に見えてくる。


  これは一度院長先生と、相談しないと。

そう、考えた矢先

「あ、でも、父様には黙っていてください。わたしの、その、問題なの、で!」

「でも、自分では嫌だ、って言えないのでしょう?」

そういわれてしまうと、否定できない自分が情けない。

「わたし、あまり役に立っていないから。」

陽織が下を向いてしょんぼりする。


「役に、って、そんな大変な思いをして二人も子どもを産んでくれたのに、役立たずとか言われてしまうの?」

東山が急にあきれたように言う。

「あ、違います。そういうことは言われないけど、でも、そのお仕事もちゃんとできなかったし、その、子育てだって、黎人さんに手伝ってもらっているし、ちょくちょく入院しちゃうし。情けないっていうか。本当に役に立っていないんです。だから、子どもを産んで子育てをしなさい、って言われると、その反論しずらいというか。」

東山は考え込む。

「でも、また体重減っているわよ。無理しているんじゃないの?」

無理?

「あ、今はちゃんと育休もらって、休んでいますよ。昼間は姫ちゃんのお世話と、お洗濯やごはんの用意以外はほとんど休んでいるし、大学の時と違って、勉強とかもしていないし。」

お洗濯やお掃除も、自分ひとりでやっているわけではない、ちゃんと手伝ってくれる人?がいる、

と付け加える。

家政婦ではないが、家事専門の精霊がいるから。

「それならいいのだけど。でも、育休ってことは、復帰するってことでしょ?大丈夫なんですか?」

東山は不安になる。


陽織が出ていくと、東山は首をかしげる。

あまりうるさく言うと、ウザイとかしつこい、って言ったり。

お姑さんがいると、すごく礼儀正しく淑やかにふるまうし。

時々、自信がないようにふるまうこともあるし。

どれが本当の陽織なのだろう?


陽織が外に出ると、両親が姫花を抱いて待っていてくれる。

「ありがとう。」

そういって、陽織は母の腕から姫花を受け取る。

やっぱり子どもはかわいい。でも、生まれるまでの間があまりにもつらい。

それが陽織には耐えられない。またそれが繰り返されると思うと、正直恐怖になる。


「黎人さんのバカ=。」

陽織は小さな声でつぶやいた。











評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。