↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
244/276

陽織、内定が大事!(就職編)

今回ばかりは、黎人に抱き上げられても、陽織も流石に抵抗できない。迷惑をかけたし。

そのまま陽織は自分のバッグと、黎人のバッグをかかえて、お姫様抱っこのまま駐車場に連れて行かれた。


車に乗せられても、未だにぼーっとしている。


運転しながら、

「本当に寝不足?」

と聞かれて、ちょっとドキッとした。

「んー、わかんない。」

もう、面倒な時の口癖が出てしまう。

   ダメだなー。

   全然、社会人になれない!

   会社で、わかんないって答えられない!


夕飯はいつものように美咲が用意してくれた。

黎人が鷹人を迎えに行って、夕飯が済んだあと、陽織はシャワーだけて、先に休んだ。

「明日、神鬼先生のところに行った方がいいんじゃない?」

そう言われたけど、頭がぼーっとしていて、何を答えたのか、よく覚えていなかった。


翌日は、よく寝たせいかスッキリしたので、そんなこともすっかり忘れて、大学に行き、論文と国試の勉強に追われた。

陽織は昨日の会議で出されたお弁当の内容を精査しながら、成分表と睨めっこしている。

「対象は5歳くらいかなー。」

カロリーは、と、ブツブツ言いながら、昨日書いたノート、写真を見て、計算をしている。


「あれ?子ども用のお弁当?なんか結構豪華だけど、何かのお祝い用?」

日緒理が覗き込んできた。

「昨日の会議で出たの。銀座の青華堂のお弁当。やっぱり一流の料理人は違うよねー。」

陽織が答える。

「へえー、会議、ん?会議!?なんで?」

日緒理が、よくよく考えた末に、疑問を持つ。

「あー、わたしが大人用だと食べきれないと思って、会社の人が、別に頼んでくれたみたい。」

と、陽織は計算に夢中で周りの視線に気づいていない、

(会社の人に子ども用のお弁当を別に用意してもらうって、どうなんだろう。)

日緒理は、どう返して良いかわからない。が、

「まあ、それを気にせず論文に取り入れるって、陽織らしいよねー。」

同じゼミの高畑由衣が笑って見ている。


「えーっ、これ、ちょっとカロリー多いよねー。それに脂質も。やっぱり豪華にするとそうなっちゃうのかー。大人用も多いもんね。わたし、食べきれないはずだよ!」

と、陽織は納得したように顔を上げた。

その時、周りの視線と合った。

「何?」

いえいえ、と、周りも生暖かく、視線を逸らす。


「で、結局それは食べきれたの?」

と、日緒理に聞かれ、

「んー、メモしてたら、時間なくなっちゃった!」

と、昨日の昼休みのことを、あははと話した。

(子ども用の意味ないじゃん!)


昼休みに、陽織は昨日の昼、完全冷凍で持ち帰った、そのお弁当の一部をおかずに持って来ていた。

黎人は今日は出張で、お弁当がいらないと言ったので。

陽織のお弁当を覗き込み、日緒理も少し興味を持つ。

日緒理は、すでに東京都の管理栄養士の採用に受かっているので、春からどこかの学校か、給食センターに配属になる予定。

佳織は金融機関にコネで決まっている。

羽織はドラッグストアケイオーが始めるプライベートブランドの健康食品の会社に決まった。

「おー、ハオちゃんもいよいよ嫁デビューかー!」

陽織にそう言われて

「やめてー、それだけは!」

と下を向く。

散々レイリーのことを言われた仕返しだ!

「ていうか、なんか陽織、顔色悪くない?」

羽織に言われるまで、陽織は気がつかなかった。

「えー?昨日は、ちょっと貧血、っぽかったけど、今日はスッキリしてると思ってるんだけど。」

「貧血?」

羽織が陽織の目を見て、下瞼を下げる。

「んー、病院行った方がいいんじゃない?」

「やだよー!なんとか内定貰ったんだから、変に病気なんて言われたら、わたし、まじ泣く!」

その時、羽織はあれ?と、陽織が言っていた話しを思い出す。

「前、他からも内定来た!って喜んでなかった?」

「それはね。」

陽織が、蓮也の野望で全ての内定を取り消されたことを話すと、

「え?それ、ひどくない?」

「まじ泣く!」

「泣いたよ!だって、わたしの苦労を、全部流されたんだよ!いくら義理の父親だからって、昭和かよ!って感じだよ!」

「あ、そこは年号わかったんだ。」

ん?

「千織は?」

羽織が気になって聞く。

「千織ちゃんと祈梨さんは、良いんだって!わたしだけ!もう、ほんっと、無茶苦茶、怒ったもん!」

十神家を知る羽織は、苦笑するだけだが、他の2人は信じられない、と言っていた。

「本当、ここまでの間、どれだけ黎人さんと喧嘩したか‥。」

陽織がため息を吐くと、喧嘩するの?と、2人は信じられないと言う顔だった。


しかし、その翌日も陽織は少しだけ、フラフラした。

(鉄分取れば良いのかな?)

と、ほうれん草をいっぱい食べた!

   わたし、偉くない?

でも、どうしても、気になることがもう一つ合った。

合ったが、それを認めたら負けな気がして、なかなか認められない!


「なんか、陽織、おかしくない?」

と、ある晩黎人に言われて、逆に睨んでしまった。

(勉強が忙しいのかなー。のめり込むタイプだから。)

「ねえ、もしかしてなんだけど?」

と、黎人に言われると、余計にギクシャクする。

「何?なんでもないよ!元気だよ!なんの確証もないよ!」

と、目を合わせることができず答えた。


そして、会議の日から、一週間。認めたくないが、このまま放置するわけにも行かず、仕方なく大学の空き時間に、明王大学附属病院にいった。


(嫌だなー。きっと気のせい、って思いたいんだけど!まじ、気のせいを、願ってるんだけど!)


そして、決定的なことを言われた瞬間、

「あの、それってなかったことに、できませんか?わたし、今、就職の内定出て、それが、とにかく、一番大事なんですけど!」

と、力説してしまった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。