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陽織、可愛い黎人に会いたい!(子育て編)

綾人がモニターの確認が終わった。

   さっき見たことは、黎人さんが来たら話そう。

それまでは、と陽織は違うことをかんがえる。

法子が部屋に、お茶とお菓子を持ってくる。

全員がモニターを見ながら長期戦を覚悟した。

それならば。

「綾人さん、この前のお話覚えてますか?」

陽織が話しかけた。

「話し?」

「あの、黎人さんの子どもの頃のこと、教えて下さい!」

陽織がそういうと、他の4人も、身を乗り出す。

   えーっ?


「え、と?どう言ったことを?」

「なんでも、良いです!綾人さんとのなれそめ、とか。」

「馴れ初め?」

「陽織、それ変。」

大学生組に押され、綾人も流石にのけぞる。

「え、と。それはみなさんと変わりないかと。あの、お正月の。」

それを聞いて、全員があー、となる。


「そういえば、陽織さんも一度いらしたこと、ありましたよね。和嶺くんが妹が泣き出して、どうにもならないって。」

「わ、わたしのことは、どうでも良いんです!」

そう、一度だけ行った。


なぜ知ってる?

あれ?でも、黎人や悠人は知らなかった?

「あの時かー、黎兄たち、神明神社の手伝い行って、もう新年会バックれてたんだよなー。」

湊人の言葉で、納得した。


「だから、黎人さんのことです!」


「んー、わたしがまだ小学生だったから。確かお2人は幼稚園に行ってましたね。」

えーえー、何それ、可愛い!見たい!見たい!

「可愛かったですよー、双子で、二卵性でしたがよく似てて。今と、性格はあまりかわらないかなー。とにかく黎人くんは、やんちゃでしたね!」

   やんちゃな黎人さん!

「中学の時は、湊人くんと似てたかも。あ、今でも似てますよね!悠人くんより、黎人くんと湊人くんの方が、性格とか、考えることも。」

そう言われて、湊人は複雑そうな顔をする。


「悠人くんと2人でいると、なんとなく悠人くんの方が、要領いいんですよ。同じイタズラしても、怒られてるのはいつも黎人くんで。」

いつのまにか、綾人は笑顔で話していた。

まるで、自分の弟のことのように。


そのまま、法子がお昼を用意してくれて、その間もモニターの中は、特に変化は見られない。

みんな目はモニターを凝視しているのに、ポツリ、ポツリと話す綾人の話に、耳が向いている。


「でも、ほら神様っていう膨大な力と痣があったから、大人の、特に古い人は黎人くんを崇めてた、というか。本人は嫌がっていましたけど。」

   はうー!会いたかったー!

   可愛い、黎人さん!

   なんで、わたしその頃、

   日本に

   いなかったんだろー!

陽織は自分のことを完全に棚上げして、綾人の話に聞き入っている。


3時を過ぎた頃、話は高校生の黎人のところに差し掛かっていた。

「わたしは、このままでは力不足だったので、京都の大学へ進学しました。」

洛王大学、紗香と同じ大学だ。

「神月、あ、京都の。で、修行してたんです。だから、黎人くんが荒れてたの、全然気づかなくて。」

「荒れてた?」

「え?あの、黎人さんが?」

「ヤンキーだったの?」

と、みんなが盛り上がったところに、黎人が現れた。

「綾人、何話してた!?」

どうやら、廊下から聞こえたらしい。

ちょっと怖い。

「あ、黎人さん!おかえりなさーい。」

と、陽織は何気なく黎人の首に捕まって、キスをして誤魔化す。

「ただいまー、で、陽織は何を聞いてたの?」

「あのね、黎人さんのこどものころに、会いたかったなーって。」

「うん、でも陽織は力を封印してたよね。」

抱き合ってるけど、会話が怖い。


「あ、では社長、わたしはこれで。」

と、どさくさに紛れて綾人は立ち上がり、そのままフェードアウトした。

なかなか上手い!


「あのね。」

と陽織は人形から見えた、まゆ、という子の最後の話をする。

「ネグレクト。」

「やっぱり、ただの病死じゃなかったんだ。」

「でも、確証はないよ。ただ、熱があって、喉が渇いているのに、誰も助けてあげなかったみたいで。」

陽織が、人形から見えた、まゆの最後の話をした。

そこで、やっと陽織は人形をズームしているモニターに目を向ける。

それまでは怖くて見られなかった。


やっぱり何か見えるけど、それがどんなものかわからない。


「人形が夜中に動くのは、やっぱり新しく1週間前に預かったモノが原因なのかなー。でも、位置だけが変わるって、何の意味があるんだろう。」

位置、場所、場所が変わると何かあるの?


「で?みんなで何の話をしてたの?」

と、黎人が4人の方を見た。

「人形のことだけど?」

さらっと湊人が、嘘をつく。

「じゃあ、何かわかったことあった?」

「んー、ひたすら動かないなー。くらい?」

宏輝は素直だ。確かにそれしか、言いようがない。

「じゃあ、陽織以外は誰も亡くなった子どものことは、気づかなかったんだ。」


(う、陽織ちゃん、ずるい!)

(陽織、自分で話、始めたくせに!)

千織と羽織が陽織を睨んだ。


「どうする?このまま夜中まで、ただモニター見て待つ?それとも。」

黎人の意見に、湊人が反応する。

「やっぱり、一泊はなー。陽織だって鷹人二泊させるのは嫌だよなー。」

そう言われて、さっきのネグレクトを思い出してしまった。

確かに!これでは育児放棄だ!

「できれば、早く終わらせたい。」


「あの時も夜って言ってたよね。それを俺たち、無理矢理踏み込んだ。今回も、動くかなー。」

湊人が前回のことを思い出して言う。

「でも、あのときは入ったらすぐ、だったよね。何も仕掛けてないよ。それでも人形が反応して。」

湊人と陽織が思い出しながら話している。


「今回は、部屋に入ったのは全員?」

黎人が聞いてきた。

「ほとんど綾人さんと湊人くん。」

「わたしたちは、廊下から覗いただけだよね。」

「あ、でも少し入った。」

「そ、か。陽織が気分悪そうだったから、すぐに出たんだ。」

千織と羽織がかわるがわる答えた。

「前回は?」

黎人が湊人に聞く。

「ん、全員で本堂に入った。本堂だったし。」

湊人の話を聞いて、それなら全員で入ってみよう、と言うことになる。

このまま待っていても、夜になるだけだ。

そこで、6人は揃って隣の部屋に入った。

千織の手を湊人が、陽織の手を黎人が。

変わったのは、羽織の手を握るのが、翔太ではなく、宏輝になったこと。

   人形って、揃うと怖いよねー。

陽織ふそんなことを考える。


すると、朝は感じられなかった異様な気配が感じられる。







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