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陽織、対策会議その2(子育て編)

高嶺が、パーティー当日の話を始めた。

特になんのイレギュラーもない、ごく普通のパーティーだ。


主役は梓沙の子。上の子はまだ一歳半の大地。そして今回生まれたのが、まだ数週間しか経たない剛樹だ。

剛樹が問題の天神家の跡取りとなる、大和の孫、というのが天神側の思惑で、約束させられた内容。


「大和さんの説得は、梓沙さんが?」

という質問に、

「一応。」

と、高嶺が答えた。しかし蓮也は

「それは難しいだろう。」

と言う。

元々、梓沙は一人娘なのに、大和に可愛がられている、と言う様子が蓮也には見られなかった。

どちらかと言うと、自分の道具のように思っているのではないか、と。

「全く、高樹とは逆なんだよ。」

と、蓮也が言った。


「高樹は陽織さんが花嫁だと知られたら、奪われてしまうと心配して、力を封印し、15年間誰にも知らせなかった。

大和さんは、黎人の花嫁が現れない、と聞いて、高嶺くんの巫女であるにも関わらず、梓沙さんを黎人に娶らせようと、必死だった。」

初めて聞く話に、黎人はもちろん、他の四人も目を丸くする。

「神様の花嫁の方が、巫女よりも格が上。天神家は何代にもわたって、どちらも出ていない。現れないなら、自分の娘でもいいのでは?と、わたしに何度も言ってきた。

特に、お前が、変な二つ名をつけられてたから。」

?

「なんですか?それ?」

黎人には覚えがない。

「ほら、年上キラー?」

ブッと、あちらこちらで吹き出す音がする。

黎人も、顔が赤くなる。


「それなら、もしかしたらすでに生まれているのかもしれない。梓沙が本当は花嫁で、巫女というのは間違いかもしれない、ってね。梓沙さんの気持ちも考えずに。その頃から、わたしは彼が苦手だった。


だから、高樹が娘可愛さにひた隠しにしてきたのを知った時は、これが本当の親だろう、と思った。

それが証拠に、陽織さんは父親と喧嘩しても、やっぱり甘えたりするだろう?決して嫌悪することはない。でも、梓沙さんは、父親を、あまり好いてはいないだろう?」

蓮也にそう言われ、高嶺はうなづく代わりに、苦笑した。その通りだと。


「まあ、ウチの父上も大概ですが、基本陽織には甘いですよ?姫って呼ぶくらいだし。」

姫?

神代三兄弟は顔を見合わせる。

黎人は、あー、とわかった。

「あれは神鬼さんが言い出したんだよ。何せ神鬼さんの父親は、今高嶺が使役する大鬼だから。」

え?

えーっ!

はあー?

全員の声が揃う。

「そこに、高樹が、娘のわがままに手を焼いて、わがままをつけて、わがまま姫。明王大学病院じゃ、有名だな。」

ははは。と、蓮也が笑った。


「よくご存知で。」

と、高嶺が苦笑する。

和嶺も実習に行くようになり、何度か言われた。

『妹さんって、わがままなんですって?大変でしょう。』

と。

「それ、いつの話ですか。陽織はこの前、ちゃんと管理栄養士の臨地実習で、高評価されてましたよ。陽織だって、いつまでも。」

と、黎人が憮然として言ったが、途中でハタ、と止まる。

「黎人さん、無理しなくていいよ。陽織が記憶なくした時、見たでしょう?あれが陽織の地だから。」

「コホン、陽織のことはいいんです。今は、神次と天神さんのパーティーの話をしましょう。」

黎人がいきなり、仕切り出した。


「では、梓沙さんが天神氏と分断する可能性を考えて話をしましょう。」


それから5時間、5人は様々なパターンを考えて、パーティー当日の流れと、対策、神次確保、できれば岡元の失脚へのシナリオを作り上げた。


「明日、これを神嶋と高樹、神鬼さんに説明し、意見を聞く。少し変更が入るかもしれないが、それについては、黎人から聞いて欲しい。」

「え?明日も僕は出るんですか?」

黎人は驚いて尋ねる。

「当然だろう。高樹に言いつけるぞ。」

そう脅されて、翌日も対策会議に出ることになった。

「僕、休みないじゃないですか??」

「わたしも、ないが?」





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