↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
189/276

陽織、鷹人と異界へ(子育て編)

4月、陽織は大学3年生になり、今年は就活に向けて、色々と模索しようと考えている。

そう、就活だ!

これ以上、世間知らず、とか常識ない、とか天然、とか言われたくない。


ちゃんと就職して、仕事して、お給料もらって。

と、大学の学生課が出している求人情報や、夏休みにある、インターンシップの募集を見ている。


「おはよー、何みてるの?」

講義前、陽織がノートパソコンと睨めっこしていると、羽織が声をかけてきた。

「あ、ハオちゃん、おはよー。うーん、夏休みにインターンシップに行ってみたいな、って思って。」

と、陽織が答えると、羽織はびっくり顔で振り向いた。

「え、と。陽織、インターンシップって、何するのか知ってる?」

「ハオちゃん、わたしのこと、ホント、バカにしてるよね!」

と、ちょっと陽織は怒る。

(いや、ある意味おバカだし。)

「わたし、ちゃんと臨地実習できたからね!」

(確かに。)

と、羽織は苦笑する。

「で?どんなところに行く気なの?」

「んー、やっぱり病院系か、保育園とかにお弁当を提供している会社とか。あ、ここ、運転免許必要だー。ダメだー。」

「だよね。わたし夏休みは、また宏輝たちと、神代製薬でバイトして、教習所行くし。」

羽織は、計画的な夏休みについて、ドヤ顔で言ってきた。なにそれ!?


「わたしも、一緒、ダメかなー。」

と、上目遣いで言ってみるが、羽織に媚びても意味はない、当然、そんなのダメに決まってる。


そこに、日緒理たちも登校してきた。


「おはよう!羽織、ありがとう。わたしも今年、お願いします!」

と、日緒理がニコニコ笑いながら、羽織に言う。

なにをお願いしているのだろう?

「キクリ、何お願いしてるの?」

と、佳織に聞かれ、日緒理が夏休みのバイト、と返事していた。


   ちょっと待て!

   また、わたしだけ仲間はずれ!

陽織は軽く羽織を睨んだ。


わたしたちの班は、去年結菜がいなくなったが、今後増える予定はない。このまま、実験、実習は続く。

そして、今年はゼミにも入る。


一般教養が無くなった分、専門的な勉強になる。いよいよ、管理栄養士目指して、本格的なことが学べる!

陽織は、すごく楽しみだった。

だが、しかし。


夜、黎人が帰宅すると、陽織は朝のおねだりをしてみた。

「ね、わたしも、アルバイトしたいの。ね、週一で、いいから、ね、お願い!今年だけ!黎人さーん。」

と、甘えてみた。

「なに言ってんの?陽織は、レイリーの代表なんだよ?9月の中間決算に向けて、8月は半年分の帳簿を全部チェックして、働いている人の、年末までに出す源泉徴収の準備も始めないと、全部、経理に丸投げは、ダメだよ?3月は陽織が実習と入院があったから、僕がやったけど、本来なら、全部、陽織の仕事だからね!だいたい、3月に一度、確定申告のとき説明したの、忘れたの?インターンシップなんて、行ってる暇ないから!ちゃんと9月にグループの会計報告の会議、出てもらうよ!」

と、返された。

え?え?えーっ?

と、陽織は青くなる。

忘れてました、とは、言えない。

(でも、確定申告、難しすぎて、言われる通りに、ただパソコンに入力してました。)


「すみま、せん。」

と、とりあえず謝る。

でも、無理!

帳簿ってなに?

会計報告って、会計士さんがやるんじゃないの?

税金だって、よくわからないのに!

だいたい、お給料のことだって、よくわからなくて、言われるままに、入力してるだけなのに!


顔を青くして頭を抱える陽織を見て、黎人は全く、と、呆れていた。


その週の土曜日、陽織はとりあえず勉強しよう、と鷹人を連れて、近くの書店に行く。

書店の人に聞いて、入門書からと数冊購入してカードを出す。デビットカードというらしい。

お財布に現金は基本入ってない。

特に、今日は外にお買い物、と言ったら、なぜかこれしか待たせてもらえなかった。


(これで、帳簿なんて無理!)

鷹人が欲しい絵本も買った。

そして帰り道、陽織はお守りを忘れたことに気づいた。

時は、遅かった。

(と、とにかく早く、帰ろう!)

と、鷹人を抱き上げて、走ろうとするが、背中のリュックと鷹人の両方を抱えて走れない。

(やばい、やばい、やばい!)

と、目をつぶった瞬間、暗転した。

「もう!また?」

とにかく、鷹人は抱き上げた。

手を繋ぐくらいでは、不安だ。


前回は亡くなったお母さんと赤ちゃん。

今回は?と思うと、見たこともないお寺の門がある。

   ここは、近寄っちゃダメなところだ!

わかってるけど、それ以外に道がない。

あとは全て長い塀で囲まれている。

いつのまにか後ろにも。

   いやいやいや、これ、退路断たれた!

   ってやつでしよ。

まさに、今の陽織の気分だ。

(なんで、こういう時に限って、黎人さん仕事に行っちゃうかなー。しかも、わたしカード一枚しか持ってない。)

と、考えながら、塀が壊せないか、とりあえず氷をぶつけてみた。氷か砕けた。

「ママ、バギーン?」

「んー、だめだねー。」

次に炎を出してみた。

と、逆に返ってきて焦った。

「オット。」

なぜか鷹人は笑う。

「たっくん、強いねー。平気?」

と聞くと、

「つおーい!」

と、手を挙げてる。

(まだ2歳にならないのに、本当に大物だなー。)

「じゃあ、たっくん、ママと怪獣さん、やっつけよう!」

と、陽織も開き直った。

ただ相手が怪獣なら良い。

人間、特に子どもだとタチが悪い。

そう、考えながら、お寺の門をくぐる。












評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。