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陽織、肋骨折れた?(子育て編)

3階は小児科病棟。

陽織は子どもたちの霊を見つけては、一つ一つ話をする。いつも、よく陽織がやっている方法。

しかし、これは時間がかかる。


黎人は陽織と別れ、2階に急ぐと、そちらで浄霊を始めた。


その時、救急車の音が近づく。


陽織は黎人を探して、救急車が入るER専用口に急ぐ。

「なに?陽織。」

「子どもと、赤ちゃん!」

?

陽織がERに急ぐと、3人の子どもと妊婦が搬入されてきた。

近くの公園に、高齢者ドライバーが突っ込んだ。

そこで遊んでいた三人の子供のうち、一人は搬送中に亡くなった。


二人の子供は一人が重傷だが、一人は軽傷。


高樹は、一時中断し、重傷の子どもの処置にあたっている。

「父様!その子を、助けて!」

陽織が叫ぶ!

高樹は大きくうなづき、処置室に入って行く。


そして、もう一人。

東山が妊婦とその胎児を診ている。

陽織は妊婦を見て呆然としてる。

「陽織?」


「赤ちゃん、生きて、る。」

「え?」

「東山先生、赤ちゃんは生きてます!」

陽織の声に、東山は緊急帝王切開の準備を指示する。


妊婦の女性は、すでに呼吸が止まりかけて、い、る。


おかあさ、んは、お母さん、ママ。ママ!

陽織の目に鷹人が浮かぶ。

「だめ。赤ちゃん置いて、逝っちゃ、だめ。だめ、ダメーッ!」

陽織は叫ぶと同時に、ハクを出した。

「ハクーッ!!!!!」

陽織の絶叫が、フロアにこだました!

「ダメだ!陽織!」

黎人が、陽織のそばに駆け寄る!


妊婦は、徐々に心拍数が安定し、帝王切開に耐えられる状態までになった。東山は、妊婦を手術室へ運ぶ。


その間、黎人は陽織の頬を何度も叩く。

「陽織、目を覚ませ!陽織!」


騒ぎを聞きつけて、和嶺と美織がかけてきた。

「黎人さん?陽織は?」


「また、息を、してない!心臓‥。」

「また?って。」



和嶺は急いで、病院の壁にかけてあるAEDを取り外し、中を出した。

事故の搬入に気を取られていた職員が、初めて陽織たちの様子に気づく。

AEDを立ち上げ、和嶺が陽織の心臓にセットする。


「他人を助けて、自分が犠牲になったら、意味がないだろー!」

黎人がなん度も心臓マッサージと、口に息を吹き込む。

「下がって!」

和嶺が叫ぶ。


美織は神鬼に連絡をしていた。


神鬼が駆けつけ、処置が終わった高樹も、駆けつける。

「何があったんだ!?」

心臓マッサージをしながら、

「ハクを、召喚して、死にそうな、女性を助け、ました!」

神鬼と高樹は驚く。

「いくら白兎様でも!」

「今日、2回めの、召喚、です!

「2回!」

「だから、白兎様は切り札だと!」



「陽織、陽織、陽織ッ!戻れーっ!」

黎人が思い切り心臓を叩くと、微弱ながら、心音が聞こえ始めた。

息も吹き返したが、目覚めない。


「和嶺、心肺停止はどれくらいだ?」

「1、2分です。」

高樹が難しい顔をする。

後遺症が残らない、ギリギリの時間。


「誰か、ストレッチャー!」

高樹が叫び、職員が慌ててストレッチャーを持ってきた。陽織の心音はまだ弱い。


陽織に酸素マスクが取り付けられ、神鬼の診察室に運ばれる。

そして、5時間。


その間、綾人と高樹、黎人のチカラで病院の新しく強い結界は完了した。

和嶺と美織は、陽織を見ている。

黎人は綾人と2人、そばで報告書を作成していた。


もうすぐ午後3時だ。

陽織の目が、うっすらと開いた。

「陽織ちゃん!」

美織の声に、陽織が目覚めた。

「美織、ちゃん?」


陽織は、目を覚ましたが、熱が高くなっていた。

そして

「あつ、い。痛い。なんか、肋骨、痛い。」

と、シクシク泣き出した。黎人や綾人、神鬼も気づき、陽織のそばに寄る。

「んー、39度。熱、高いですね。」


「胸の、下の方、痛い。」

陽織が掠れた、声で言う。

神鬼が服を捲り上げると

「あー、最後のですね。肋骨、折れてはないようですが、たぶん、ヒビ、入ってます。」

陽織の左胸の下が

赤く腫れていた。

神鬼は、よくあるんですよー。心臓マッサージで肋骨オッチャうって、と苦笑いしてる。

そして、みんなで黎人を見た。

「黎人、さん?」

黎人は、 

「ごめん、なさい。」

と謝るが、それが陽織を助けたのだから、功労者のはず。

「ばか、ちから。」

と陽織はいうと、また、スーッと眠ってしまった。


「どうしましょう?家に戻りますか?ちょっと動かすのは危ないですが。」

と神鬼が聞く。

「熱、高いしねー。肋骨いっちやってるから。肋骨って、固定できないんだっけ?」

和嶺が、悩んでいる黎人に話す。


そのうち、高樹が当直の看護師を連れてやってきた。

「え?肋骨、ヒビ入ってるの?」

「どうします?一応、サラシで固定しますか?」

「点滴、入れときます?熱高いし、たぶん、かなり痛いでしょうし。」

高樹と神鬼と看護師の会話を、医学生の和嶺は黙って聞いている。


「今日は、それで様子見かな?いつもの部屋、空いてる?」

高樹が看護師に聞く。

いつも陽織が入院するのは、7階の特別室。中でも、一番いい部屋だ。

そうでないと、高樹が美咲に怒られる。

「いつもって、ホテルじゃあるまいし。」

和嶺が、苦笑いした。

「申し訳ありません。西棟なら空いてるんですが。」

つまり一般病棟はなくて、産科小児科病棟なら、ある、と言うことか。


「どうする?」

と高樹が黎人に聞くと、黎人は、ではそちらで、と答えていた。

「まあ、熱が落ち着いて肋骨固定できれば、明日には戻れるから。」

と、本人が眠ってる間に、色々と決められていた。


「院長、陽織さん去年も心臓止まりかけましたよね。前にも溺れて危なかったことがあります。一度、循環器内科、ちゃんと見てもらった方が、いいですよ。」

神鬼が高樹に相談をしていた。
















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