↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
185/276

陽織、病院の除霊(子育て編)

大学2年生の冬、年明けの後期試験が終わったあと、陽織のところに神嶋から、電話が入った。


黎人は電話に出てはダメ、と言われているが、今回は3回も入ってる。流石に、陽織も無視できず、4回目で、電話に出る。


「良かった。やっと出ていただけましたか。」

心底安心したような神嶋の声に、陽織は罪悪感を感じた。本当に大変なことだったのかもしれない。


「実は、彩奈さんがいま受けてもらうことが難しくなりまして。え、と、千織さんと羽織さんは、いまちょっと遠出をお願いしたものですから。」

?

陽織は意味がわからない。

「美織ちゃんは?」

「もちろん、美織さんもいます。今回はご指名制なので。」

?ご指名?なに?その怪しげな、夜のお店みたいな表現は。


「あ、黎人さんも参加されます。今夜あたりお話しあるかと。」

陽織は驚いた。黎人が、参加なんて、何年振りだろう。


「実は、明王大学附属病院の結界のはりなおしです。リーダーは大将、高樹さんです。」

と、聞いた途端、陽織は

「お断りします。」

と、返事してしまった。

「いやいや、一番は陽織さんですから。」

なぜだ!なぜ父が!?

「で、明後日の日曜日の早朝になりますので、よろしくお願いします。」

・・・・・

陽織は無言で電話を切った。

受けたくない。父と一緒なんて最悪だ。


病院だから日曜の早朝はうなづける。

日曜日というのはおそらく一般の外来患者が来ないということ。

早朝ということは、見舞客も来ないということだろう。

でも、なぜ父と一緒に依頼を受けなければならない!

黎人よりも、そちらが嫌だった。


その夜。黎人から数年前に近所の病院の結界を張り直したこと、医歯薬キャンパスはその前に最大結界を張り直したことなどを鑑みて、病院のほうもほころびが出ないうちに、となった経緯を説明してもらう。さらに、二月から陽織と羽織が隣地実習に入る前に、という配慮もあったらしい。


まあ、そこまで聞くと、陽織もやぶさかではないと、渋々ながら了承することになった。

神嶋はさすがで、すでに鷹人の世話を美咲にも依頼しているという、徹底ぶりだった。


日曜日の午前七時半、決行30分前に、和嶺と美織、黎人と陽織、そして高樹と綾人が病院玄関に集合する。陽織は黎人からお守りを外されたが、黎人に手をつながれているおかげで、ここまで無事に到着している。


明王大学附属病院は三翼の建物で構成されている。

中央が外来と地下に放射線関係と手術室、一階は総合受付、霊安室、救急救護室。四階がレストランとカフェ、院長室。五階が手術室と会議室。東側は7階建てで一般と高齢者病棟。西側が同じく7階建てで、小児科、産婦人科、院内学級、キッズルームがある。


中央棟の6階7階は東棟、西棟を繋ぐ通路になり、その上に屋上がある。


集合場所には、高樹と和嶺、美織の他に綾人がいた。

どうやら、黎人と一緒に呼び出されたらしい。

「和嶺、まずどうする?」

高樹に聞かれ、和嶺は、まず全体に結界を張ると答えた。そして、その瞬間、陽織に足を踏まれた。

「いてっ!」

「馬鹿兄様!」

兄妹の様子を見た高樹は呆れて

「確かに、セオリー通りならそうだが、明王はすでに結界がある程度張られている。」

そう言われて、和嶺は陽織の言葉の意味に気づく。

「足、踏むことないだろ!」


「三手に分かれます。黎人さんと陽織が西棟、父上と綾人さんが中央、東は美織と僕が行きます。」

「屋上は、陽織と僕で一気にやって、そこから降ります。」

黎人が和嶺に加えて答えた。

黎人と陽織が東棟のエレベーターに向かい、ドアを開くと、中で、和嶺と美織が、キスをしていた。

あっと、と、陽織は一瞬引いた。

が、それに気づいた、和嶺が気まずそうに、美織と目を逸らした。


そのまま上に向かう。

エレベーターの天井に何かいる!

途端、黎人が陽織の唇をふさぎ、上に手を向けて、握りつぶすように、天井裏のものを祓った。

その後も、黎人は屋上まで、陽織を抱くと、何度も陽織に唇を落とす。

いつのまにか、和嶺たちは、違う意味で気まずくなった、

2人は7階で降りて、陽織たちは屋上へ行った。


病院の屋上には、小さな祠が二つある。一つは東棟、もう一つは西棟。

まず2人は東棟の祠の前で拝礼し、柏手を打つ。

すると、東棟に居たモノが一掃した。

同じように西棟も行う。


そのまま、手を繋いで階段を7階に降りる。

「陽織、怖くない?」

「うん。黎人さんがいるし、それに、廃病院より、全然怖くない。」

そんな陽織が可愛くて、黎人は思わずキスをしてしまう。


7階に降りると、陽織は手を離し階段の左右を見た。

右手ニ体、左手はなし。

7階は以前陽織が入院した特別室がある。

黎人はさっさ二体を祓った。陽織は先に、階段を降りようとして、嫌な感じがした。


陽織は急いで、踊り場を中継点に6階まで飛び降りた。

6階の階段下には東山と高田が!

やばい!陽織は身体を捻り、東山の後ろに着地すると、ちょうど高田が、東山の背を押して、階段から突き落とそうとしてたところだった。


「危ない!」

陽織が東山を庇い、そこに黎人が駆け降りてきて、高田の首の後ろに手刀を当てた。

すると、高田の身体から小さな霊が三体出てくる。


「東山先生、最近中絶手術や流産の処置をしませんでしたか?」

陽織が東山に聞く。

「え?ええ。中絶を3件。」

「はあー、やっぱり。」

陽織がため息をつく。

「看護師さんは取り憑かれて、さらに東山先生が命を狙われる。」

か。黎人が呟く。

「にしても、この階、ウジャウジャいません?」

陽織は、顔を顰めた。

「いいものも、悪いものも混ざって、わかんない!」


黎人は高田を廊下のベンチに横たえ、東山先生を支えて立たせた。

東山は、ただ呆然としている。

「いちいちより分ていたらきりがないなー。

黎人が悩んだ顔をしたので、陽織は白桃を呼び出した。


「ハクなら、いいものは払わないです。」

「そうだけど。」

黎人はいい顔をしない。

「時間の余裕はないかと。」

陽織はそう言うと、ハクを両手で掲げる。

「ハク、お願い!」

陽織の言葉と共に、キラキラと光が溢れ、6階にいた霊の大半が除霊されていく。


陽織はちょっとふらついたものの、黎人が満タンにしてくれていたので、ちゃんと持ち堪えた。


次は5階。新生児室に両親学級の部屋、キッズルーム、院内学級がある。4階は小児科ICUと西側病棟の院内食用の調理室がある。

陽織は2月から、ここで臨地実習をすることになっている。


その時、東山の院内ピッチが鳴った。

「救急搬送、臨月の妊婦。」

東山は、すぐに下へかけ降りる。


5階はほとんどの霊はいなかった。

4階も、5階とほぼ同じ。もしかしたら、ほとんどの霊は6階に引かれていたのかもしれない。






















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。