陽織、内緒話(子育て編)
それは、陽織が岡元のパーティーで彩菜に狙われた、翌月曜日のこと。
黎人は湊人にお願いして、香織、羽織、千織、幸穂、颯斗、葉鳥、宏輝に会社に来てもらった。
陽織に秘密裏にと言うのが、黎人らしい。
「突然、忙しいところを申し訳ない。」
そう言って話し出す。
「実は先日、国会議員の岡元氏のパーティーで、陽織が結菜さんに襲われた。」
「え?」
「結菜!」
佳織と羽織は顔を見合わせる。
「今はとりあえず、神嶋さんのところで、結菜さんを保護している。」
黎人は、パーティーの様子を事細かに、全員に語った。
「そこで、みんなにお願いがあります。どうか、陽織には絶対に知られないように、これからの依頼を受けて欲しい。」
依頼、と言う言葉にみんなうなづくが、佳織だけは初めてのことに戸惑っている。
「あの、どうして陽織には秘密なんですか?」
佳織は戸惑いながら、質問した。
それに対して、黎人は
「まず、狙いがおそらく、陽織であること。そして、もう一つは。」
そう言ってしばらく黙ってしまう。
「あー、あいつ自分が狙われてるって知ったら、予想外のこと、やりそうだしなー。」
湊人が黎人に変わって話す。
そう、陽織は予想外のことをやる。
周りの計画や迷惑を考えないことも、平気でやることがある。
決して間違ってはいないが、それが周囲の負担を増やすこともある。
佳織1人が、よくわかってないので
「ほら、高二の時、陽織が千織の代わりにターゲットになって、湊人ファンのAクラスの女子から。」
そこまで言うと、佳織がサッと青ざめた。
「あ、あれは、その、ごめんなさい。」
「イヤイヤ、あれは佳織も知らなかったんでしょ?」
「で、その後、階段から突き落とされた、よね?」
そのことを知らないひとは、ここにはいない。
「おれさー、あれ、たぶんなんだけど、陽織わかっててやった感あるんだよね。今だから、言えるけど。」
は?
と佳織は、顔を上げた。
「だって、あいつ平気で階段の上からなら、飛び降りることだって、できるんだ。避けようと思えばできたはず。」
あー、と、みんなうなづく。
「でも、避けたら、たぶん押したやつのほうが、落ちてたよね。」
「だから、わざと自分が、落ちた?」
幸穂は、納得したように続けた。
「あ、今だから、だよ?それに、おそらく、だから。」
黎人はあははと苦笑している。
「陽織は、自分でできる、と思うと、こちらが予想してないことを平気でしでかすんだ。」
黎人が頭を抱える。
「だから、しばらくは話せない。きちんと情報が揃って、ある程度わかるまでは、このメンバーで調べて欲しいことがある。」
そう言って、ここに揃ったメンバーに、黎人は依頼内容を説明した。




