陽織、仲直り?(子育て編)
温かい。
気持ちいい。
‥おも、い!重い!苦しい!潰れる!
陽織が目を覚ますと、身体の上に黎人が完全にうつ伏せでのしかかって寝ていた。
あ、圧迫死するー!
陽織は、バタバタと手足を動かして、なんとかどかそうとするが、動かない。
それはそうだ。
陽織と黎人では、身長が30センチも違う。
体重も30キロ近く違う!
「れ、黎人さ、ん!お、起きて!わたし、死ぬ、まじで、圧迫死、する!」
すると、目をこすりながら黎人がむくっと起きたかと思うと、
「陽織ー、目、さめ、た。よか、った。」
と、また上から抱きしめ始めた。
「く、苦しい、で、す!」
「あ、ごめん。」
冷静になると、陽織は服を着てない!
黎人も。
え?なんで?覚えてないよ!
「その、陽織が危なかったから。ごめんね、了承なしで。嫌、だよね。」
陽織は目の奥を揺らす。
「わたしは‥。嫌、じゃない、です。黎人さん、だから。」
黎人は、破顔すると、そのまま陽織に口付けた。
そのあと、前の晩の喧嘩のことを、色々話した。
浮気なんてしてないこと。
暴力団の、落雷は、やはり黎人の仕業だったこと。
警察が待ち構えていたのも、あらかじめ情報を流していたこと。
さすがだ!
麻薬取引、人身売買、外国人の不法入国など、さまざまな犯罪に関わっている組織だったこと。
そして、そこに依頼したのが、4年前、陽織にしつこく付き纏っていた新聞記者だった。
「今までは、静電気くらいで、牽制してたけど、これからはお守り強化するから。」
「強化?」
「うん。スタンガン並みに。」
え?ちょっと待って、それ、嫌なんだけど。
「わたしも、ピリってしてたのに。」
と、陽織が言うと、知らなかったらしく
「え?それはまずいな。ちょっと調整しなおそう。で、スタンガンか。」
と、呟いていた。
なんか、物騒な!
「わたし、スタンガン女とか呼ばれたらイヤです!」
ボディガードが付いただけでも、目立ってるのに!
「スタンガン女、あ、いいかも!絶対変な男、近寄って来ないよ!」
でも、奈緒のことは、本当であること。
「それじゃ、その、大阪、わたしの髪、の時は。」
陽織は、ちょっとモヤっとする。
「あ、あの時は、本当、ただ飲んでた、だけだから!ちよっとは、その、迫られたけど、ちゃんと抵抗したし!断った!それに、結局、奈緒さんの彼氏の愚痴聞いてた、だけだよ。。笑えた。」
「本当に?」
「本当、本当!」
黎人が焦ってる。陽織はクスッと笑って
「わかりました。信じ、ます。」
と言う。半信半疑で。
落ち着いて話しをして、そして少しだけ、2人で楽しんで。久しぶりに、互いの温もりを感じた。
お昼前。
2人は手を繋いで、鷹人を迎えに行った。
「あら、パパとママが仲良くお迎えに、来てくれたわよー。」
美咲がからかい半分で、2人を迎えた。
「お昼の用意は大変だから、こっちで食べていきなさい。それに、黎人は午後から仕事でしょ?」
「え?」
黎人が目を向く。
「当たり前じゃない!お父さんが、そう言ってたわよ?午後出社したら、来るように、って。」
「無理です!一昨日の晩の疲れも残ってるのに!」
「あら、アレは、憂さ晴らし、でしょ?」
‥‥…。
「お父さんが、あ、黎人が八つ当たりを、全部ぶつけてる、って。憂さ晴らし、できたかな?って。」
黎人は言い返せなかった。
憂さ晴らしで、雷10ヶ所以上落とすなんて。
怖っ!
陽織は青くなった。
「雨まで降らせて、もう、急に降らせたら、迷惑だからやめなさい、って前、言ったのに!」
前科あったのか。
夜、黎人が遅くなると言うので、鷹人のお風呂を入れて、授乳していると、帰ってきた。
「あ、お帰り、なさい。」
座ったまま陽織が声をかけると、陽織と、鷹人のおでこに、チュッとする。
ついでに、鷹人が飲んでない、もう一つの胸の先にも。
!!
すると、鷹人が黎人の顔をペシペシしていた。
自分のだ、と主張するように。
「鷹人、言っておくけど、これはパパのものだからね!今は、貸してあげてるだけだよ!あとで、キッチリ利子をつけて返すように!」
と子どもに威嚇している。
な!貸すって?利子って何?
着替えると、陽織と鷹人の様子を見ながら、夕飯を食べる。そのあと、お風呂をすませると、鷹人に絵本を読んでいる、陽織のそばにやってきた。
「たっくん、今日はお昼寝いっぱいしちやったから、眠くないのかなー。もう三冊目だよー。」
陽織は、本を読む体勢がちょっと辛い。
「じゃあ、交代。」
そう言って、黎人が読み始めると、いつのまにか、鷹人はスヤスヤ眠り出した。
陽織がホッとすると、黎人に抱き上げられた。
「じやあ、これからは、2人の時間だね。」
とニコニコされて。




