陽織、勉強再開!(子育て編)
10月半ば、鷹人が寝ている間、陽織はパソコンを前に勉強をしていた。
黎人と羽織が、通信でも単位が取得できることを知り、後期の申請をしてくれていた。
実技や実験は無理だが、ネットを使った講義を見てレポートを送る、一月の試験を受ける、それだけで本来取る単位の半分は取ることができた。
前期は4月に休んだこともあり、レポート系の授業はペナルティで、かろうじてAまたはB。試験で判断されるものは全てS Aをもらえて、ホッとした。
そして今は、とにかく単位を一つでも取っておきたい。
鷹人が起きたので、オムツを変えて、母乳をあげて、抱いたままパソコンに向かっていたら、美咲が入って来た。
「ちょっと!何やってるの、鷹人の鼻が潰れちゃってる!息できなくなるでしょ!」
と怒られた。
どうせオッパイ飲んでるだけだから、と陽織は慣れた手つきで、パソコンに文字を打ち込んでいた。
「あ、ごめんなさい、ごめんなさい!」
鼻を圧迫していたことに気づき、慌てて抑える。
お昼を一緒に食べながら、勉強と授乳を一緒にやるのはやめなさい、と叱られた。
「ながら作業で、子育てするのはダメよ!いつもならちゃんと話しかけながらあげてるのに!」
「すみません。できるだけ、今日中に提出したいレポートがあって。」
陽織はしゅんとする。
「お昼食べたら、少し見ててあげるから、あと、夕飯くらいならこちらで用意してあげるから、できないことは、ちゃんと相談しなさい!」
陽織は俯く。
「それに、ただ事務的に子育てするようになったら、育児放棄と変わらなくなるわよ!あなただって、ネグレクトは嫌でしょ!」
厳しく言われて、陽織は青くなった。
「はい。」
夜黎人が帰って来ると、陽織は美咲に怒られたことを話す。
「今日のレポートは送信できたの?」
黎人に聞かれて、ハイと答える。
「あとは、どれくらい?」
「えと、来週の月曜日までに三科目送ろうと。」
というと、
「じゃあ、土日に一緒にやろう。」
とニッコリと、言われた。
あ、鬼教官。
陽織ふ遠い目をする。
黎人が夕飯をとっている間に、陽織は黎人と鷹人のお風呂の用意をする。最近、ベビーバスを卒業して、鷹人はパパとお風呂に入るようになった。
夕飯、お風呂、そして夜最後の母乳を飲むと、鷹人は最近よく寝る。夜中に起きるのは、一回くらいだ。
それだけに、陽織は勉強できると、油断していたのかもしれない。
「ながら作業はダメ、か。」
と陽織が呟いた。
陽織がお風呂からでると、鷹人は、黎人に抱っこされて、もうぐっすり眠っていた。
「ありがとう、黎人さん。」
陽織がそう声をかけると、黎人が微妙な顔をする。
?
「陽織もさ、そろそろその呼び方、止めようか?」
「え?」
「なんか、他人行儀。僕のことは、さん付けなのに、湊人は呼び捨て。」
そんな、いまさら!
「??黎人、さま?」
と陽織が言うと、
「いやいやいや、それもっと変!」
と笑われた。
笑いながら、黎人は鷹人をベビーベットに寝かせた。
「えと、えと、えと。」
ママはなんで呼んでたっけ?
ん?
陽織はしばらく、悩む。
「え?そんな悩むこと?」
美咲お母様は?
うちの主人はねー、ってよく言ってるけど。
「ご主人様?」
「それは、なんのプレイ?」
「旦那様。」
「ちょい、違う!」
「じやあ、なんて呼んで欲しいの?」
と聞くと、黎人は黙ってしまった。
「あなた?」
と、母が父を呼ぶのを真似したら、黎人が真っ赤になった。
あ、コレ正解?
なんか、陽織はたのしくなって、わざと黎人に
「あなたー、あなたー。あなた!」
と連発すると、やっぱりいつもので良いと言われた。




