陽織、赤ちゃんがいます!(新婚編)
いよいよ、陽織の18歳の誕生日。黎人との結婚式!
神様の花嫁になりたくない!と言っていたのに、今では本当にラブラブカップル!
そんな陽織と黎人の前に
新たな問題?
3月1日、高校の卒業式。陽織や美織、湊人たちは高校を卒業した。
3月2日の朝、陽織は朝5時に起きると実家にあるキッチンで、初めて朝食を作った。
以前、母が食べたいたと言った、陽織の手料理。
白いご飯に豆腐とネギの味噌汁、魚の照り焼き、青菜の胡麻和え、そして根菜のサラダを添えた。
陽香は起きるとすでに陽織が朝食の用意をしていたことに驚いた。
「ママがわたしの手料理食べたい、って言ってたから。」
陽織は目を逸らし、おはようも言わずにそう言った。
陽香は嬉しそうに陽織を抱きしめる。
「え?ママ、なに?恥ずかしいよ!」
そのうち、父や兄も起きてきて、父は驚き、高嶺と和嶺は苦笑する。
久しぶりで、もしかしたら最後かもしれない、家族揃っての食事。
「今日、お昼過ぎに神代の家に戻ればいいのよね?」
母が確認してきた。
「今日はわたしも行く。」
父が言った時、陽織はえ?と眉を顰めてしまった。
「今日、黎人さんは大学だから、いないって言っていたよ。」
と陽織は答えたが、2人は特に気にしていない。きっと美咲がいれば良いのだろ。
明日の衣装はすでにホテルに届けてある。
返礼品もすでに届いているはずだ。
白無垢だけは神社の衣装部に美咲が届けている。
「3回。」
陽織は、いまだに明日のことを考えると、喜び以上に憂鬱さが増す。3回の披露宴。ありえない!黎人にも、危うく怒られそうになった。が、やりたくない。
そんな時、何故か、妙な不安が頭をよぎった。
え?うそ、でも?
午前中、陽織は明日必要なものを買い忘れたかも、と言って1人で近くのドラッグストアに買い物に来た。
ペットボトルの水。
手軽にエネルギーチャージできるゼリー飲料。
明日の忙しさを考えたら、必需品だ!
そして、ドキドキしながら、ある商品を手にした。
家に戻り、確認する。
えーっ!?
どうしよう、と、泣きたくなった。
明日3月3日は陽織、18歳の誕生日で黎人との結婚式。式はもちろん神明神社、その後都内のホテルで3回の披露宴が行われる。
1回目は十神家の、2回目は友人たちとの、そして3回目は黎人の会社関係。
それを知った一年前、陽織は友人以外の披露宴は嫌だと泣いた。
でも、それも明日。
すでに年明けから、本格的に神代家に住む陽織。
黎人が大学から帰宅すると、何やら真剣な顔で母と話をしている。そういえば、さっきまで、陽織の両親も来ていたらしい。
黎人は式を目前に迎えながら、大学の卒論準備で昼間留守にしていた。
「ただいま。」
と声をかけ、陽織にキスをする。
「何があったの?」
何やら、陽織の顔色が悪い。
「あ、あの、ね、黎人、さん。」
うん?
「あの、わたし、その、ご、ごめんなさい。」
?なんだろう?
母は、早く言いなさい、と苦笑いをしている。
でも陽織は震えている。
黎人が抱きしめると、陽織が泣き出した。
「どうしよう。」
え?本当に何かあったの?
「わ、わたしね、その。あ、あ。」
と言ってその先が言えないて、また泣く。
「何か嫌なことがあった?」
と聞くと、首を横に振る。
「あの、赤ちゃん、赤ちゃんが、いる、みたい、なの。」
一瞬、何を言われているのかわからなかった。
明日は結婚式。
うん、僕らは2年前から、そう言う関係。
いつできてもおかしくなかった。
でも、なぜ、今?
「え?え、と、それ、僕の、子、だよ、ね?」
と聞いたら、わーっ、と陽織が泣き出した!
「なんてこと言うの!あなたは!」
と、母が怒鳴った。
だって、今まで本当にできなかった。
赤ちゃん、早く欲しいね。
陽織が言ってたけど。
なぜ、明日を前に!
「ごめん、ごめん陽織。でも、体調は大丈夫なの?明日、披露宴、3回もあるのに。」
どうやら、陽織の両親も、母も、それを心配して、真剣な話しをしていたらしい。
「う、ん。なんか、ちょっと変、かな?って。でも、無理すると、危ないよ。って。お母様が。」
そうだろ!ただでさえ陽織は、いつも無理しては倒れている。
「陽織と、子どものことは僕が守るよ。それはずっと言ってるじゃない。心配しないで。体調悪い時はすぐ言うんだよ。もう、自分だけじゃないんだから!」
黎人は踊り出しそうな気持ちを抑えて、陽織に告げる。
「えー。なんて呼ばせよう?パパかなー、お父様もいいなー。」
と、再び陽織を抱きしめる。黎人は顔がニヤける。
「ちょっと、その前に明日のこと、きちんと考えなさい!」
と母に怒られた。しかし、そんな言葉も気にならない。
黎人は陽織を抱き上げると、そのまま自分たちの家まで連れていった。
「今の、黎人だよな?もう、明日の練習?」
悠人がすれ違い様にみた、双子の兄の姿に呆れる。
「違うのよ。陽織ちゃん、赤ちゃんができたの!」
結婚前夜。
「なんで、さっき謝ったの?」
と、黎人が陽織をベッドの中で抱いて聞く。
「だ、だって、その、新婚さんなのに、わたし、何もしてあげられないから。」
うん。確かに子どものことを知った今、
陽織を本気で抱けない!
新婚初日。
一日中、陽織を抱く計画だった!
それは確かに、夢だった。
「でも、陽織の夢が叶ったじゃない。結婚式で、赤ちゃんがいますって言うの。」
黎人が言うと、陽織はやっと顔をあげ、ちょっと嬉しそうにはにかむ。
やっぱり可愛すぎる!
僕のお嫁さん!




