↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
125/284

陽織、卒業式

3月1日。

陽織は今までの人生で初めて、卒業式に出る。

小学校の時は、カナダにいた。

中学校の時は、学校に行きたくなく、スケートを取り上げられて、霊力を戻されて、訳が分からず家に閉じこもっていた。


そして、今日。

陽織は、最後の制服を着て胸に花を挿して、卒業生の列に並ぶ。

卒業式が行われる、学校のホールの入り口に、たくさんの後輩や保護者がいた。


陽織の両親も、湊人の両親も。


 

そして、卒業式が終わると、たくさんの後輩から、陽織は花束を受け取った。

「陽織先輩、ご卒業おめでとうございます!」

「陽織先輩、わたしも来年農学部行きます!」

「陽織先輩!階段からの宙返り、かっこよかったです!」

「陽織様!黎人様と、幸せになって下さい!」

口々に祝いの言葉を言われ、陽織は面食らってしまった。


それは湊人も同じだった。


生徒会長で医学部進学。自分が過去憧れていた和嶺のように、今は湊人が後輩たちの憧れになっていた。


列に並ぶ陽織は、思わず湊人と笑ってしまった。

あの日、勉強会のメンバーで泣いたから、今日は楽しく卒業しよう、そう2人で決めていた。


本当は、今日黎人も来たがっていた。しかし、父が湊人の卒業式に出るため、新しく社長に就任した会社での仕事を抜けるわけにはいかなかった。


卒業生入場の声とともに、3年Sクラス20名が誰一人かけることなく入場する。


全員が揃うと席につき、校歌が流れ、卒業証書の授与、来賓の挨拶。

「卒業生代表、神代湊人。」

と呼ばれると、湊人は緊張しながら壇上に上がる。


「お前みたいな能無し。」

最初に会った時、湊人が陽織に言い放った。

でも、白兎様の意味を湊人だけが知っていた。

湊人はあの時、陽織が兄の花嫁だと知った。


初めて黎人に出会った日。

湊人たちと異界に連れ込まれた。

初めての、本当に怖い経験だった。


陽織が赤点を取った時、 

和嶺に頼まれて成績の改善隊を作ってくれた。

勉強会のリーダーだった。


黎人が高嶺の不況を買った時、

一番心配したのは湊人だった。

大好きな兄が、大好きな先輩たちとの間が

拗れるのが嫌だったのだろう。


初めての依頼は廃病院だった。

湊人たちと一緒に、コテージに泊まった。

陽織の料理の旨さだけでなく、

霊力の高さに驚いてくれた。


クリスマス、陽織は初めて黎人の親に紹介された。

まだ本人だって了解してないのに、話が進んでいた。

その頃から、陽織が神代家に出入りすることが

多くなっていた。


2年生になり、海の依頼を受けた頃には

陽織は黎人との距離がなくなっていた。

陽織が溺れた時、黎人と兄の和嶺が

助けに飛び込んだ。

湊人は、自分の巫女の千織との

距離を縮めようと何故か焦った。


夏休みの軽井沢行き。

湊人は兄たちに陽織への気持ちを知られてしまった。

陽織は兄、黎人の花嫁。

黎人は湊人に、初めて本気で怒った。


「陽織が好きだった。」

湊人に言われた時は、本当に驚いた。

驚きすぎたことと、その後の展開で

訳がわからないまま、泣いて黎人に電話した。


高校3年になって、医学部を受験することになった。

それぞれの事情があったが、2人で頑張った。

たぶん3年間で一番近くにいた。


陽織が神様になった。

そのときも、湊人は目の前で陽織の姿を見ていた。

黎人に迫られて、嬉しそうな陽織。

諦めたつもりでも、正直複雑だった。


予備校に通った。

毎日励まし合った。

そして2人で、合格を勝ち取った。

嬉しくて嬉しくて、

湊人は思わず陽織を抱き上げた。



湊人が真っ直ぐに前を向いて、答辞を読む。

いつのまにか千織が泣いていた。

つられて、美織の泣く声も聞こえる。

いつも一番に泣く陽織は、泣いていなかった。


   うん!楽しかったよ、湊人!


一番近くで3年間過ごした人は、もうすぐ家族の1人になる。


   明後日からは姉弟だね!


卒業式が終わり、今日くらいは、と陽織は実家に帰ることにした。

今まで、両親に言えなかった話しをしたい。

逃げてばかりいた自分に、きちんと向き合って卒業しないと、きっと後悔するから。

感謝を伝えたい。

たくさん、謝りたい。

そしてきちんと、旅立ちたかった。


正門の前で、4人並んで写真を撮った。

そのあと、男子も入れて9人で写真を撮った。

ふざけて、笑って、怒って、泣いた。

楽しくて、楽しくて、ずっと続けばいい時間と

お別れしなくちゃいけない。


「陽織ちゃん、また明後日ね!」

学校の正門で美織たちが手を振った。

明後日、陽織の結婚式に呼ばれている友人たち。


またね!

と言って、みんなで別れた。






陽織、卒業でこちらのお話は

一度終わりにします。

ありがとうございました。

すでに、新婚編が書いてあるので、

続けて、新婚イチャイチャ編を投稿します。

よろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。