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陽織、調査開始

夕飯の後、人魚と釣り船事故について、ネットの隅から隅まで情報を集めることにした。

地元の商店街で聞いた話。


女子4人は、ホテルの中居さんたちが夕飯の片付けを始めた時、さりげなく話しかけて、情報収集をする。

邪魔にならないように、テーブルの上を片付けやすいように、お皿を重ねたり、お盆の近くに持って行ったり。

気の利く女子高生、と言う風に動きながら、世間話の一つとして話を聞いた。


とにかく、この時期客が少ないところに、12人でしかも3泊、ホテル側としても大歓迎の客だけに、それは親切な対応をしてくれる。


お土産売り場の人も、おすすめのお土産を説明しながら、楽しく話に乗ってくれた。もちろん、お土産も購入して。ただし、神嶋への領主書に付けておこう。と、思ったのは陽織だけではなかった。


さすが、おしゃべりが好きな女子ならではの、情報収集方法と、悠人は思わず感心していた。


お風呂に入っている時、温泉だけを入りにきたおしゃべり好きのおじいさんが、男子に色々聞かせてくれた。観光と釣りが主な、田舎町ならでは。初めての経験に、湊人たちはちょっと戸惑いながらも、しっかり情報は収集した。


夜10時。全員で悠人の部屋に集合し、話し合いを始めた。ホテルといっても、温泉旅館なので、広い畳敷きの上に、適当に座る。


中居が敷いた布団が隅に追いやられ、翔太と宏樹が遊んで怒られていた。


「まず、初めの事故が起きたのは9月。この時は大型台風が来てたので、原因はどちらも考慮しよう。2回目が10月19日。」

と、時系列を並べて、小さなホワイトボードに書いていく。

「さらに、釣り船が転覆する時、人影が見えた、と言う噂がついたのが、やはりこの10月の2回目からで、そのあとは、赤丸をつけた事故は全て、そう言った噂がついていた。」

悠人がまず説明をした。


「大型台風の時は、亡くなった人とか出たんですか?」

颯斗が質問をした。真面目だ!宏輝たちはまだ布団で遊んでいるのに!

「うん、乗っていた人が2人亡くなったそうだ。」

「その人たちのご遺体とかは?」

美織が質問をする。


このような形が2時間ほど続き、12時を回らないうちに、と解散した。すでに陽織は、うつらうつらしていたので、3人が後ろから押して部屋に戻った。



翌朝、メンバーは数人ずつグループに分かれ、事故があった海の沖、浜辺、釣船店、釣具店などに行く。

海の沖は、もちろん船を借りて釣り客に扮する。


悠人と宏樹、颯斗がここに加わった。

土系を得意とする颯斗は、いざとなったら近くの岩場から橋を伸ばすよう指示された。


溺れた経験のある陽織は、羽織、翔太と3人、商店街を抜け、漁師たちが集まる、漁協に行く。


美織は和嶺と浜辺で待機。

千織と湊人も、反対側の浜辺にいる。


葉鳥と克哉が、ダイビングスーツ、ボンベなど一式を車から下ろし、海に潜った。海、と聞いた時に、ダイビング経験のある2人は、あらかじめ用意していた。


元々、ダイビングが好きだったようだ。

だったら、あの時も来てくれていれば、と美織達は思った。


およその位置に着いた時、悠人が白龍を放った。


今回、まず疑ったのは人魚ではなく、何らかの霊が、釣り船に近づき引き摺ったのではないか、ということ。

ただ、霊であれば、わざわざ人魚と置き変える理由がわからない。


もし、人魚に見間違うようなモノが、釣り船の転覆に関わっているなら、それを突き止める必要がある。

だから、実際に釣り船を出し、ダイビングで海中も調べる。


「2回目、10月に転覆した船の位置は、ちょうどあそこにある岩場から左に数メートルの場所だ。」

和嶺が沖の方を指差す。もうすぐ、悠人たちの釣船が到着する。


二艘目の船は、葉鳥たちがダイビングをする拠点としている。そちらは岩場よりも右に5メートル離れたところに停泊していた。

そこは、3回目に船が転覆し、人魚の姿が見えた場所でもある。


葉鳥と克哉は、海中に何度も入っては、海上に上がりを繰り返していた。しかし、そのうち、2人は海底に沈む、遺骨を見つけた。


2人はすぐに、船に戻ると式神を飛ばし和嶺に伝えた。和嶺はすぐに警察に知らせるが、地元では話が通せないので、神嶋に知らせる。

そして、和嶺はダイビングする2人に、一度上がるように伝えた。


漁協に行っ陽織と羽織、翔太の3人は、台風の時の様子を聞いていた。

「台風の時はいつも大変だけど、今回の台風は過去最強とニュースでも言われてたなー。」

「本当に、平田さんのじいさんだけでなく、町さんの家の船も、沖に流されたよなー。」

漁協の人は、仕事をしながら色々話をするのが好きらしい。

「そういえば、9月の台風ん時は大変だったよなー。源さんのところの、サナちゃんが亡くなって。」

「サナちゃん?」

「あー、髪が長くて、器量良しの大学生だった。東京の大学のボーイフレンドとその友だちと3人、沖に出ていた時、津波が出てねー。」

「台風の時でしたよね。亡くなったの、2人って聞いたんですが。」

羽織がさりげなく、話す。

「ああ、サナちゃんは、その、まだ見つかってないんだ。だから、源さんは生きてる!って。」

なるほどと、3人は納得し、漁師に礼を言って、その場を離れた。






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