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陽織、追試になる

2人は学校への道を駆け出した。

すれ違う同級生や先輩が変な目で見ている。

「忘れ物でもしたのか?」

呑気に笑う人もいた。

しかし、2人にそんな言葉を聞く余裕はなかった。

どこまでも赤黒い景色が続く。

コゲ臭いにおい。

モヤの中を漂う息苦しさ。

修学旅行で行った、広島の記念館で見た写真を思い出す。

以前、兄たちに連れられて祓いに行った火災現場にも似ている。


湊人と宏輝、翔太は気を失った陽織と美織を安全そうな場所に置いて、周囲を探ることにした。

「湊人、コレ。」

宏輝が足元に広がる骨に気付く。

どれも黒ずみ、中には肉片のようなモノがついたのもあった。

「火災現場、だよな。」

翔太たちも気づいた。


その時、煤けた木の上から、赤黒く爛れた腕が伸びてきた!うおっ。と、3人は咄嗟に避ける。

「コレって祓えば良いのかな?」

翔太が咄嗟に形代を出して祓う。しかし、腕は次々に生えてきて、3人を襲った。

「逃げろ!」


3人は走りながら、置いてきてしまった女子2人のことを心配する。美織は巫女だから、浄化の力はあるけれど、コレだけ瘴気の濃い場所で使ったら、力が尽きてしまうだろう。陽織は相当な力があると思うが、こちらは未知数。しかも経験がないだろう。さらに気を失っている。


そう思って、最初にいたところの大きな木の根元に2人を置いてきた。一応結界も張ったつもりだけど。

しかしこのままでは状況は悪化するかもしれない。


放課後、と言っても今日はまだ1時過ぎだ。

職員室ではみんな中間試験の採点をしている。

大神も今日一年生が受けた古文の採点をしていた。

「なんだこりゃ?」

大神は、何度も解答用紙を見直す。

間違いなく自分のクラス、Sクラスだ。

(あー、神月かー。苦手とは聞いていたが、ここまでとは!)

前の楠木は86点だった。その前は92点。

Sクラスで80点以下のテスト点は、滅多に出ない、と今までの経験からも、先輩からも言われていた。しかも国語だ。数学や英語、物理ならわかる。

しかし目の前で付けた点は46点。

他のクラスでも50点以下はいなかった。

46、46と大神が呟いていると、日本史の三神がやってきた。


「すみません、先生のクラスの神月なんですが。」

おかしい、おかしい!昨日までは数学と英語はリスニングとリーディング、文法の両方で満点だと、先生たちが褒めていた。生物も化学も確か90点を超えていたと思う。公共だって96点、現代文も98点で、さすが神月和嶺の妹、と他の先生が褒めまくっていた。

なのに、なぜ?

Sクラスが最も得意とする古文。そして日本史。

「実は48点なので、追試になります。」

そう、この学校は50点以下は追試だ。

古文と日本史、2教科で追試だ!

Sクラスで前代未聞だ。

しかも、自分の古文が一番悪い。追試、追試。

とりあえず、本人と親を呼び出して。

過去、Sクラスの担任をして追試という経験のない大神の頭の中はパニックになった。


大神がショックを受けていると

「先生っ!」

と大声で中に入る教え子がいる。

「こらー、試験採点中も入室禁止だぞー。」

と返すが、様子がおかしい。

「せっ、先生!湊人たちが消えちゃった!」

「橋の上で、みんないなくなった?」

2人の言葉に大神と、その場にいた三神の顔色が変わった。








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