陽織、お姉様と出会う
1月三連休の初日。神柴綾人と神杉絵梨花の結婚式が行われた。
陽織は黎人と2人、会社の上司夫妻?と言う立場で招待を受けていた。
今日の陽織は、初めて黎人からもらった指輪とネックレス、イヤリングのセットに合うよう、水色レースのワンピースにした。
そして、アクアマリンの指輪と重ねるように、去年誕生日にもらった婚約指輪をする。
アクアマリンが小さいので、派手になり過ぎずちょっとホッとした。
はじめは、指輪2個はちよっとどこかの有閑マダムや成金みたいかな、と悩んだ。でも、さすが黎人の見立てとあって、むしろしっくりくるようなデザインになっていた。
挙式はもちろん神明神社。2人とも十神家の者なので、当然神前になる。
内輪の挙式に呼ばれても良いのか?と思ったが、当日の様子を見ておくのも良いから。と神柴がぜひと言ってくれた。
黒紋付の綾人と白無垢姿の絵梨花。陽織は初めて見る神前結婚の様子に、目が釘付けになっていた。
黎人は、招待してくれた綾人に、正直感謝した。
披露宴は近くのホテルで、ここも2人が当日利用するところだ。もちろん、神柴たちは一回だが、使う部屋も同じ。
内輪といっても、マックス100人は入るらしい。
タキシードの綾人は、白いドレス姿の絵梨花をエスコートしている。
2人は十神家と言っても、上位の家ではないので、披露宴は親族や、2人の友人知人がほとんどだった。
もちろん、陽織の知り合いはいない。黎人は会社関係の知り合いと、挨拶をしていた。
披露宴の最中、黎人から陽織は初めて絵梨花を紹介された。すっごく綺麗な人だ!綺麗で、大人で、優しそうで、陽織はわけのわからないテンションが上がった。
思わず
「あ、あの、お姉様、とお呼びして良いですか!?」
と聞いて、笑われてしまった。
それに対して、絵梨花は
「光栄です。」
と、答えてくれた。
元々神柴の家は神代に支えていたらしく、綾人の父は現時点でも蓮也の部下だ。さらにその前は、神代家の執事をやっていた頃も、あったらしい。
絵梨花に光栄と言われて、嬉しくて嬉しくて、ニマニマしていたら、黎人が何故か引いていた。
「綺麗、優しい、素敵、美人!」
と陽織が興奮していると、
「僕は可愛い方が、好みかな?」
と陽織を抱き寄せた。
披露宴が終わり、会場を出る時、絵梨花が陽織のそばに寄って来て、そっと秘密を打ち明けてくれた。
それを聞いた途端、さらに陽織は大興奮して、黎人が手を握っていなかったら踊り出していたかもしれない。
帰りの車でも、帰宅後も、夕飯の時も、陽織はずっと絵梨花の話をし続けていた。
絵梨花みたいな女性は、会社にたくさんいるのか、とか、大人になったら、あんな綺麗な人になれたのかな、とか。
黎人が抱きしめていても止まらない。
ちょっと、いや、かなりやきもちを焼いた黎人が、ベッドの中で、黙らせるまで。
「陽織、こっち、見て!」
「ん?」
「あ、そうだ、あのね、黎人さん。まだ、ほかの人に言っちゃダメだよ!まだ、神柴さんも、知らないから。絶対、絵梨花さんが言うまで!」
ベッドの中で、陽織を抱いていたら、また絵梨花の話になる。黎人はつい仏頂面になってしまう。
コラコラ、と叱りたかったが。
「あのね、絵梨花さん、お腹に赤ちゃん、いるみたいなんだって!良いなー!」
え??神柴、やるなー!
それを聞いた黎人が、何を思ったか、は言うまでもなかった。
「陽織も、赤ちゃん、欲しいんだよね?」




