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陽織、久々のお仕事2

久々のいつもの明るめなホラー回です。


本堂の人形は、ほとんどが日本人形だった。

中にはぬいぐるみや、子どもが遊ぶ着せ替え人形もある。


5人は本堂に入った途端、ものすごく嫌な空気にさらされ、息苦しくなる。事故や事件に巻き込まれた人形。捨てられた人形。亡くなった女の子が大切にしていた人形。突然、違うおもちゃを手にして、飽きられてしまった人形。

様々な思念が伝わってくる。


「ナナちゃんと、全然違う。」

陽織が呟くと、湊人が

「ナナちゃん?」

と、聞き返してきた。

「ほら、前にわたしたちが田神くんを巻き込んで、大神先生に怒られた。」

「あー、って言うか、俺その場にいなかったのに、めちゃくちゃ怒られたヤツじゃねーか。」

と湊人も思い出した。

そして、陽織は湊人に睨まれた。


朝帰り、どころか昼帰りになった黎人は、色々猛省中だ。新幹線に乗ると、まずは湊人に電話を入れるが出ない。次に悠人。そして和嶺。誰も出ない。

それなら、と思い切り陽織の番号をタップする。

しかし、陽織も出なかった。


昼間だし、それぞれ忙しいのだろうと思い、とりあえず神嶋に終了報告の電話を入れた。すると、今電話を入れた4人は、住職が亡くなった寺の人形供養に行っている、と言う。


それは、本来黎人の時間ができたら、受けても良い、と言っていた案件だった。人形の数が多すぎて、さらに一体一体が複雑だから、時間をかけて準備をしたい、と言っていたはずなのに!


黎人は飛行機ではなく、新幹線にしたことを悔いる。さらに、自分が昼近くまで寝ていたことも!

東京まで2時間。確か寺はその手前だったはず。

しかし乗ってしまった新幹線は、新横浜まで止まらないのぞみだ!


席に戻り、スマホのアプリを開くと、寺の位置情報を確認する。新横浜で降りた方が早い!


昼間、霊障はなかったはずなのに、5人が足を進めると、急にびりっと目の前に結界のようなモノを感じる。

「あの、昼間は何もありませんでしたか?」

悠人が修行僧の1人孟念に尋ねる。孟念は、首を振るが、今現れた霊障には気づいた。

(流石に、これくらいはわからないと。)


先ほどまで、ごく普通の寺の本堂が、急に空気を変えて背景も変える。孟念は初めてのことなのか、ひっと小さな声を上げた。

普段なら黎人が陽織を後ろ手にするが、今は和嶺が妹を守る。


「どうしますか?」

和嶺が悠人に尋ねると、悠人はすでに護符を握っていた。

「簡単に祓えるかどうかわからないけど。」

「亡くなった住職は、毎年どれくらいお焚き上げを?」

と悠人が孟念に聞くと、

「500体くらい。」

と言う返事があった。

と言うことは、この本堂にある全部を一年で浄霊していたことか。すごい僧侶だったのだな。

と、みんな感心した。


「持ってる護符くらいでは、全部の浄霊は不可能だね。」

彩奈も手にしている。

「襲ってきた時の対処くらいか。」


湊人はお焚き上げと聞き、炎を出そうとしていたが、寺を火事にする気か、と止められた。

「あの、わたしが本堂の奥全体に結果を張ります。」

陽織が言う。

「それなら火事にはならないかと。」


陽織は、まず人形たちが張ったのだろう、結界のようなモノをやぶる作業から始めた。これがなかなか手強い。一体、一体がまるで自分から電線のような糸を出して絡めあっている。

その糸を一本一本解くように、解除していった。

それが500体の人形分かと思うと、流石に辛い。

神格を得た今の陽織だからこそ、踏ん張れるのかもしれない。


それでも、陽織は額にたくさんの汗を浮かべている。

それを見た湊人は、自分が何もできないことが不甲斐なかった。

「陽織、少しくらい雑にやっても良い。こちらでもカバーする。」

和嶺が、陽織の様子を見て声を上げた。


その瞬間、陽織が解除した隙間を縫って、一体の人形が、青暗い炎を纏い陽織を目掛けて突進してきた。

湊人がそれに氷を放ち、握り潰す。

(氷は、苦手なんだよなー。)


さらに、解除された結界から、次々人形がまるでミサイルのように、飛んでくる。

悠人と彩奈が護符を放ち、湊人と和嶺が様々な術を駆使して対抗していた。

しかし、人形の数はまだ半数以上残っている。

「これじゃ消耗戦だ。」







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