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陽織、合格発表!

101話です!

陽織たちの受験生生活も終わりを迎えます!

今日の午後、医学部、歯学部、薬学部、看護学部の内部一般入試の合格発表がある。


医学部の合格者は3名。内部といっても、陽織たちが通う本校の他に、姉妹校と呼ばれる高校が全国に4校ある。


今回医学部は、Sクラスの湊人、陽織、翔太の他に3名の計6名と、他の学校で、合わせて34名受験した。

3枠の合格に、34名と言うことで、競争率は11倍。


陽織は確かに、他の受験生より志望動機は不純だ。それでも陽織にだって意地はある。この半年以上、本当に必死で勉強してきた。

もしかしたら、スケートの時よりも必死だったかもしれない。


合格者の番号が掲示されると、陽織と湊人は同時に掲示板を見た。

3名。17、18、27。

17、18!

2人は何度も見返す。

あった。2人揃って。

番号がある。番号があった!あった!

「湊人!」

「陽織!」

「やった!」

「やったよー!」

ウワーッ!と2人はハイタッチすると、そのまま湊人が陽織を抱き上げた!そして

「やったー!結婚だーっ!」

と、湊人が叫ぶ!

   ん?わたしが結婚するのは、黎人さんだよ!

「ちょっと、湊人!誤解される!」

陽織は湊人の腕をパシパシ叩いた。

「あ、ごめん!」


「とりあえず、連絡、連絡!」

2人はそれぞれ、千織と黎人にメッセージを使って伝えた。その後、陽織は父に電話をする。


父、高樹はすぐに電話に出た。

「あ、父様!」

「合格、したか?」

「はい!合格しました。わたし、約束守ったよ!父様も、約束守ってね!」

陽織と高樹の会話は、院長室で会議をしていた、他の部長クラスの医師にも聞こえていた。


翔太は残念ながら、不合格。しかし3人は、補欠合格の番号が19であることに気付いてなかった。


父との電話を切るとすぐ、黎人からの電話が入った。

「陽織、今どこ?」

「ぇ、と。今医学部棟の南玄関前。」

「じゃ、そのままちょっと待って!」

え?陽織は振り返る。

すると、黎人がこちらに走ってくる。

「陽織、陽織、陽織!」

「黎人さん!」

今度こそ本当に、黎人が陽織を抱き上げる。


「陽織、これから学校だよね。」

「うん。大神先生に報告しなくちゃ。」

2人は高校がある駅向こうの校舎に向かって歩き出した。文系キャンパスもそちらの方向なので、一緒だ。

医学部棟を出て、附属病院の玄関前。


「黎人さんも、まだ講義?」

「うん。だから週末にまた会おうね。」

手を繋いで話す。

「週末、かあー。」

陽織が少し暗い顔をした。

「あ、あのね、黎人さん。」


院長室では会議が終わりを迎えようとしていた。

「では、西病棟の工事については、設備部に一貫すると言うことで、よろしいですね。」

進行をしていた総務部長の言葉を最後にしようとした時、また緊急外線が入った。


「なんだ。」

『すみません、黎人です!』

?

高樹は他の人に、手で解散するように合図するが、なぜかみんなこちらを伺っている。

電話の向こうでは、陽織の泣き声が聞こえていた。

   なんだ?

『あの、陽織が今日から僕と一緒に住みたいって、その、ちょっと、陽織、ここ、恥ずかしいから!』

どうも、黎人が珍しく焦っていた。

高樹は大きなため息をつく。


「陽織と代わって、」

と言っても、そう言う状況ではないらしい。

一体あの2人は何をやっているのだ?

「今どこにいるんだ?」

『その、医学部棟を出て、病院の玄関を出たところ、タクシープール、だから、陽織、話できない!』

「とりあえず、今すぐ行く!」

高樹は電話を切って立ち上がった。

「院長、先生?」

他の医師が心配そうに声をかけてきた。

「あのー、わがまま姫がーっ、!」


高樹が病院の廊下を鬼の形相でずんずん歩く。

他の医師や看護師が驚いて振り返る。


正面玄関を出ると、黎人に縋ってワンワン泣いている陽織の姿が見えた。

   もう、できれば他人のフリをしたい。


病院は色々な人の生死の別れの場所。泣いている人がいても、みんな気の毒に、と思うくらいだ。

しかし!


高樹は陽織の襟首を掴むと、黎人から引き剥がす。

そして、陽織を横脇に抱えると、そのまま2人を院長室へ連行した。

「あ、あれが噂の。」

「院長先生がいつもこぼしてる。」

「わがまま姫。」

すれ違う医師や看護師たちが、ヒソヒソと話す。


こんなことをしている場合じゃない、緊急の患者だっているのに!


「だって、父様約束したじゃない!」

「わたしが許可したのは、結婚だ!同棲して良いなんて言ってない!」

「だって、黎人、さん、まだ忙しくて、会えないって言うんだもん!」

「そう言うところを反対されてるんだ!」

黎人はキョトンとした。

「黎人くんのことを反対してるんじゃない!お前が、わがままで子どもだからだ!そんなんで嫁にやれるか!恥ずかしい!」


そのまま、黎人は大学へ戻るように言われてしまった。高樹はそのまま、陽織の担任の大神に電話する。

そして、大神から、なぜか湊人に陽織を迎えに行くよう、連絡が入った。


「失礼しまーす。」

15分ほどすると、院長室に湊人と翔太、そしてなぜか田神颯斗も来た。颯斗は薬学部の合格を見たところ捕まったらしい。

どうも、正門で大神の電話を受けていた時に、通りかかったらしい。巻き込まれ体質なのか?


「あ、湊人くんがきてくれたのか。」

「お久しぶりです。」

「と、そちらは?」

「同じクラスの菅原と、田神です。」

湊人が紹介した。

2人はペコリと頭を下げた。


「じゃあ、陽織を学校へ連れて帰りまーす!」

湊人はそういうと、陽織の腕を掴んで、グングン引っ張る。

「なんで合格した陽織が泣いてるんだよー!落ちた俺がなんか報われないじゃん!」

翔太は後ろから陽織を押している。


陽織はただグズグス泣いてる。

「うえっ、れ、黎人さん、に、捨てられ、たー。」

    なわけ、あるか!

と、湊人は自分が恥ずかしくて泣きたくなった。



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