↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
LEGEND MONSTERS(レジェンド・モンスターズ)-The Extra-  作者: プリンアラモード
分霊の書
142/149

④『破壊の星』―――スカーレル

全8話に及ぶ「分霊の書」シリーズの第4弾。書は『破壊の星』、著はスカーレル。

太古の巨石落下を基にした、「破壊の星」が地球に未曾有の大災害をもたらしていくという物語。その中で極限状態におけるける人間の自己中心性や善悪の持論など哲学的な面も描いており、現在ではバッファル諸島の他、アストラル諸島の人々にも親しまれている。

今回はその中から序章の部分を抜粋。ここでもスカーレルは「破壊の星」がもたらした災いの描写とともに、状況把握の重要性を語っている。

 バッファル島は結界に守られ、未だ絶滅種を出さぬ奇跡の島である。島民は陸海空下に住まう蜥蜴(せきえき)を恐れ、また他の特異種とは共生を図っていた。そして聖戦後以来、島には長らく太平が続いていた。

 しかし、ある日の正午の頃。東方の灯台に訪れていた長老ゼールは天空から漆黒の巨石が落ちてくるのを視認した。先日、水賢者アーディスの占術に依拠する予言を知ったが、これはまさにその通りの事象である。

 「これは大変なことだ...。とうとう民に知らせねば。」

長老は塔の螺旋を下りながら急いで言う。ここを出ると、彼は南天から降る射光の下、草地を駆けてまずは第一に近郊の区を目指した。草影から現れた小龍には火焔を浴びせ、空から下りる黒鳥には水砲を食らわした。彼は四肢から汗を流し、息も切らして疾走し、わずか十分足らずで目的の区に届いた。

 「この島に巨石が落ちんとしたり。されど、その先は分からぬ。早々と島外へ逃げたまえ。」

しかし、尚も彼は疾走を止めず、ただ叫びを繰り返した。住まう者らはこれを聞いて、中から現れ、空を見る。言うに及ばず、そこには巨石が見えて人々も狼狽して町を去らんとする。水賢者他、六つの賢者は聞いて加わる。

 よりて、島の区村は八の強者に回られることとなって、一夜の内にこの知らせは島全てに渡る。島全てが迫る巨石を視認し、また隣島四つに流れていった。やがて、島を回った八人も水賢者の転移を行じて、四島の内の東方の一つへと消えた。しかし、この時西方の山奥に置かれた秘境の山里には知らせが渡らず、木々に隠されたために巨石を視認することもままならなかった。


 さて、いよいよ巨石はその先をとある一点に決し、ただただ自然に、ただただ当然に地上へ迫るのみである。響く轟音もさらに大きく化し、その熱炎は辺りに火を灯した。この火はやがて炎に育ち、たちまち全てに広がった。草地は炎に染まり、森林は炎が包み、未聞の大火を島にもたらした。この大火はあまたの生類から住む場を奪い、蜥蜴も特異種も外へと追いやった。

 また、その強大なる邪気は天海にも害を及ぼす。天を舞う鳥や他の有翼の種は地に落ちて瞑れ、海は高山のごとく巨大な海嘯を現し、波紋のごとく四島をもさらっていく。民も栖もこの海嘯に流され、多くは絶えて遠方の巨島にまで流れる。しかし、この巨島も既に海嘯に呑まれて落ち、屍も多く転がっていた。この惨事は天上の神々を驚かし、ある人に神託を渡さんとした。だが、才ある者は大方、海嘯を前に消えていて長く時を要した。

 その間に巨石は山の木々を凪ぎ、何とあの秘境の山里へと落ちていた。住まう人々は黒の屍となり、栖とともに燃え尽きた。次いで山も押し退けられて雲にも届く土煙を上げ、高空の強風に掛けられ星を包んだ。島では山が消えたことにて海よりも深い窪みが生まれて、ここに水が流れて入り江となった。巨石はそこに留まると島のごとくなり、いずれ草木も茂った。

 そして、雛が殻を破るがごとく中より怪鳥は放たれる。その怪鳥にも二種があり、一つは青く裸で、一つは黒く鎧を被り、ただし額の宝石は同じくあった。この怪鳥は早々、島の生類を食い荒らし、覇者として空を交うまでとなった。これと同じ時、生まれた入り江には夜半に霊どもの集まる地とも成り果てた。

 知らせは届かず、目にも映らず、かの山里の者は全て巨石にて滅せられた。されど、他の者は四島へと渡り、後の海嘯にて多くが滅せられた。いずれも滅せられるに変わらぬが、やはり知ることも見ることもいかに価値あるべきことであろうか。こらは霊となった彼らに習うべき理(ことわり)である。


 あの巨石の落ちるのみでこの惨事。バッファル、その他四島に人は合わせるとも百も至らず、残された者は数多の破壊を極めたその巨石を「破壊の星」と名付けることとなる。

 ところで、これら破壊の災いはこれにて収まったことであろうか。答えは否。これらは大きなる災いの兆しに過ぎず、続く災いでこの星の生類は絶えることの一途を辿ることとなる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。