#33 宝石使いの牢破り(後編)
「固有魔法・コンバート!」
マーリンが唱えるとその体は緑のエネルギー球となってサミュエルに突っ込む。そこで、サミュエルは脇の死体を持ち上げて縦にし、
「デッドゴルゴン!」
と石にする。
バギィィィッッッ!
と石が砕けるとともにエネルギーは裂けて、彼の後ろで収束する。
「ジュエリーエフェクト。ランス。リフレクト。」
サミュエルが言うと破片は宝石となり、宝石は筋となり、曲がってマーリンを狙う。彼は
「コンバート!」
と唱えて受け流し、エネルギー光線発射。
ギュゥゥゥッッッン!
と迫りくるレーザーに対し、サミュエルは「ストラクチャー」で壁を何枚も重ねて全て消す。
からの、たくさん石を投げ飛ばして
「ダイナマイト!」
ドドドドドガァァァッッッ!
と爆裂を連ねる。
「コンバート!」
刹那、両手首だけエネルギーに変換して手を飛ばす。
「ランス!ランス!ランス!」
光の筋は進むが、実体を捉えずそのまま首を絞められる。
「そう...か...。体をエネルギーに変換する...。これが最強の魔法使いの固有魔法...か...。」
サミュエルは苦しみつつ言う。だが、口だけは笑んでいた。その手には複数の宝石。
「コンバート!」
とエネルギー変換で手に体を繋いで収束。
その瞬間、サミュエルは指を器用に使って宝石1つを手前へ、宝石複数を奥へ。
「ストラクチャー。スプラッシュ。」
そう言ってまずは自身を覆い、宝石から光の球をばらまく。
ギュギュギュギュギュ...!
と球は地面に激突して破片が宙へ飛ばし、檻を貫く。マーリンは
「コンバート!」
とエネルギーに変えるが、圧倒的物量を前にあちらこちらへ分散する。彼は首から手を離して一旦下がるしかないのである。
そして、再び前へ。サミュエルは地面に転がる破片を見て、
「ジュエリーエフェクト。」
と宝石化。その石を使って今度は
「エッジ。」
と手を上に払って地面から針を突き出させた。しかし、マーリンは右に左にかわしてサミュエルの目の前へ。
「フラッシュ!」
「くっ...。」
マーリンが唱えると辺りは強い光に包まれる。
「俺が『コンバート』しか使わぬと思ったか!?シャイニングインパクト!」
さらに、マーリンは光の爆発。サミュエルは爆風に合わせて後ろ飛びしたために衝撃は柔いだ。
やがて、目が戻ってくると今度はエネルギーの剣が彼を狙う。すぐさま、
「ブレード。」
と言って刃で防ぎ、「スーサイド」を発動するべく石を投げる。だが、膨大なエネルギーに包まれ蒸発した。しかも、刃が吹き飛ばされる。サミュエルは一旦後ろへ下がることにした。
「コンバート!」
ビュビュビュビュビュ...!
指先からレーザーの連射。サミュエルは宝石を投げて
「シールド。」
で全て防ぎきり、今度は
「ランス。」
光の筋が放たれるも、「コンバート」により実体を捕らえず。
その後もサミュエルは爆破を起こし、光を飛ばし、自身を守り、マーリンは光線を放ち、魔法を撃ち、剣を振り回す。戦いは壮絶を極め、監獄のあちらこちらが崩れ、檻が壊れ、また囚人が逃げていた。
そんな戦いがしばらく続き互いの攻撃手段、あるいは魔力が尽き始めたころ。
「光の雨を食らえ...!キャノン!」
サミュエルが言うと真上へばらまいた残り数十の宝石へ魔力が収束し、一斉放射。全てマーリンを狙っていた。彼は
「コンバート!」
と唱えて手をエネルギーの盾とし全て防ぐ。その内、宝石への魔力再収束が始まった。そこでマーリンは手を光線に変えてサミュエルに放つ。
「ストラクチャー。」
と壁に阻まれるも、光線を放ったままで上にあげ残りの宝石を全て粉砕、しかも後ろの壁もぶち破った。
ドガラララララ...
瞬間、巨大な瓦礫がサミュエル降り注ぎ、土煙をあげる。
「近くに死体はなく、宝石もなし。終わったな。」
その様子を見てマーリンは去っていく。
だが、瓦礫の下のサミュエルはまだピンピンとしていた。地に背をつけ、指を瓦礫に当てている。そこには「ストラクチャー」で確保された狭い空間があって、
「今のは危なかった...。宝石化が少し遅れていれば...。」
とため息1つ。それから起き上がって再びマーリンの前へ姿を表した。
「ランス。」
サミュエルが言うと、巨大な光の筋がマーリンを狙う。
「何っ...!?」
と気付いたころにはもう遅い。直撃は免れるが衝撃波が彼の体をかなり吹っ飛ばした。同時にサミュエルは手を挙げて瓦礫を浮かす...いや、瓦礫というよりそれは巨大な宝石であった。
「まさか...あんな巨大なのを宝石にできるってのか...。」
全身アザだらけのマーリンは大いに驚く。それにも構わずサミュエルは
「キャノン。」
と告げた。大量の魔力が石へ集まり、内側か構成顔負けの高エネルギーが発せられる。
「マズい!コ、コンバート!」
それを見、固唾を飲み、すぐさまエネルギーとなって逃げようとする。だが、それは無意味なことであった。
「逃げても無駄だ、看守長!貴様は中々手強かった。精々、楽に逝け!」
サミュエルが言った瞬間、魔力の収束は終わる。次の
「はぁっ!」
という声とともに、
ギュィィィィィッッッ!
極太の光線が放たれ床を貫き地面を抉り、またマーリン製のエネルギーも内包して軌道は真上に逸れて空気に溶けていく。
下には闇、上には光。天井から落ちた瓦礫などは闇に吸い込まれるか、穴のヘリに落ちて土煙がたつかする。サミュエルは背を向け、宝石を収集消費しつつ正面玄関から堂々と監獄を出た。
その後、彼は生死を問わず懸賞金・金貨500王貨をかけられ、国外逃亡を防がれするするも5年も生き残る。
彼を再び捕まえたのはリドナーの曾祖父であるガレス。彼はかつて大賢者と呼ばれた男。
「クラッシュ。」
ガレスはサミュエルが横切ったその瞬間、彼の宝石を全て破壊。
「っ...!?」
サミュエルは振り向き、下に落ちた石ころに「ジュエリーエフェクト」をかけようとする。だが、ガレスはそれを許さなかった。まずは
「バインダー!」
と口を高速して何も言えなくするとする。
続いて、殴りかかってきたのでかわして地面に押し倒し、再び
「バインダー!」
と唱えて、手足を紐で縛る。
彼は動けなくなったサミュエルを連れて、帝国へ渡すと彼は危険排除のために即刻死刑となった。また、その時ボロボロになったインフィニートの再建も始まり、セキュリティも強化された。
以降、この監獄は真に難攻不落と化し、脱獄者も一切排出しやくなった。
その一方、懸賞金を受け取ったガレスは後にリドナーたちも住むこととなるバッファル島南西・キドゥーニの館を王貨100枚で購入。




