音、裏取引、恐怖の中学校
カツン、カツンと音がした。やっぱり、こんなところに来るんじゃなった。そんな後悔をしてももう遅い。
深夜二時の中学校。学校の怪談なんかを信じてここに来ようと言った馬鹿はどこのどいつだろう。
ひとりでに鳴る音楽室のピアノ。勝手に動く人体模型。異界に繋がると噂の階段の鏡。
七不思議に数えられるそれらをチェックして、早く帰ろう、なんて皆と話していた時だった。
「あれ、一人足りなくね?」
主催者がそう言った。
怪談の定番は「一人多くね?」だから、単純に誰か一人、迷子になっているのだろう。
二、三人に分かれて手分けして探すことにして、私たちのグループは校舎の裏側に回った。
それが大きな間違いだった。
まさか、中学校の校舎の裏で、何かしらの取引が行われているなんて。
パッと彼らを懐中電灯で照らしてしまったのが運の尽き。隠れようとしていた彼らのアタッシュケースから零れ落ちた札束と何か白い粉。
なんで中学校の裏でそんなことしてんだ、と思ったが、そんなこと言い返せるわけもなく、私たちは電気を消して慌てて三人それぞれに分かれてその場から逃げ出した。
結論、追いつかれたのは私だった。今もカツン、カツンと足音が聞こえる。
とにかく図書室まで逃げ切ればなんとかなるだろう。
カギは道中で手に入れたから、あとは相手を振り切ってそこまで行けるかどうか。
私は手元にある懐中電灯をちらりと見た。相手の隙を伺い、その背後に向かって懐中電灯を投げた。
ガチャンと窓ガラスが割れた音がする。相手がそちらに気を取られた瞬間、私はダッと飛び出した。
ダダダダ、と私の足音に勘づいて、ヤツが追ってくる。だが。何とか間に合いそうだ。
図書室のカギを開け、私は中に入る。そして、その部屋にある一冊の本を開いた。
現実改変の本。真夜中にだけ開くことができると噂の本。
そこに私はヤツが消え、全てが元に戻るようにと書き込んだ。
これできっと元通りになる。私が体を奪った女の子も、肝試しに来た子たちも無事に家に帰れる。
それじゃあ私も、階段の鏡を使って家に帰ろっと。




