第19話 白金貨と金貨の山
ということでやってきた王立魔法研究所。
「バカでかいですね」
「金さえもらえればなんでもええがな」
俺はそういうと門番に羊皮紙を振って見せた。門番は羊皮紙についた蝋の印を見るなり姿勢を正して、
「どうぞお入りください」そう言って俺たちを通した。
というか、あのババアの店で売れないならどうして直接こちらを紹介してくれなかったんだダイアナ。
「きっと、ダイアナ様は、自分が生きていることがこの研究所にばれるのを防ぎたかったんですよ」シャノンの言葉に俺は納得した。
建物に入って案内された場所はいかにも応接室といったところ。絨毯は足音を完全に殺し、椅子は革張りでやわらかい。俺たちが座って待っていると、白髪頭の男が、俺が案内係に渡した羊皮紙を広げながらやってきた。
「これはよくお越しいただきましたルベル様。貴重な魔法鉱石をお売りいただけるとのことでしたが」
「ああ」そういって俺はテーブルの上にインゴットを置いた。
「これはこれは……素晴らしい」
男はインゴットに鼻がつくのではないかというほど顔を近づけた。
「本当にこんな貴重なものをお売りいただいていいのですか」
「ああ。かまわない」
男は部屋を出ると二人の女を連れてきた。一人の女が尋ねる。
「触れても構いませんか?」
俺は頷く。女は鑑定スキルを持っているのだろう。インゴットを手に取るとじっと眺め、男に頷く。
「本物で間違いありません。純度も高く素晴らしい個体です。これほどのインゴットを見たことがありません」
男はうなった。
「出土元は聞きませんが、どうやって原石から加工を?」
「ドワーフが知り合いにいてね」
男と鑑定した女は納得したようにうなずいた。
「では金額を提示させていただきます。白金貨10枚、金貨50枚でいかがでしょうか」
ババアが言っていた値段よりだいぶ色がついてるな。
「ああ、かまわない」
俺が言うと鑑定士ではない女が金貨をテーブルに置いた。
「ご確認を」国王から魔王討伐の報奨金としてもらった白金貨と同じものらしい。
「確かに」俺はそういって硬貨を袋に入れた。
「どうも、これからも頼むよ」そういって俺とシャノンが立ち上がると、男が呼び止めた。
「ああ、申し訳ありませんが、これ以上魔法鉱石を買うことはできません」
「というと?」
「このインゴットを持っているだけで、危険すぎるので。もし他国にばれでもしたら最悪の場合戦争になります。そのぐらい、貴重であり、また能力の高い鉱石だということをお忘れなく。オリハルコンの杖を大量に持った魔法軍など熟練の正規軍でも太刀打ちできませんから。王や国にはこの取引は黙っておきます。あくまで研究の一環としてこのインゴットを使用させていただきます。ですから、ルベル様も内密に」
男は人差し指を唇に当てた。
「そうか、わかった」
「同様の理由で街の市場に売るのはおやめになったほうがいいですよ」
俺は頷いた。
「インゴットを大量に作れば超絶金持ちになれると思ったがそううまくはいかないみたいだな」
家に戻った俺はテーブルに白金貨と金貨の山を作ると言った。
「これだけでも大金持ちだとは思いますよ」シャノンは白金貨を指でつついて言った。
怖いのか。動かねぇぞ。
「怖いですよ。これだけのお金を持ってると知られたら、それこそ殺されかねませんもん」
「言っとくが、シャノンの持ってるミスリルの剣だって結構な価値あるからな」
「うっ」シャノンは腰にぶら下げた剣を見つめた。
「まあなんにせよ、これで、ギルドが作れる。ギルドの建物も建てられそうだし、人も雇える」
俺はにやりと笑った。




