第16話 オリハルコンとミスリル
「ダイアナ久しぶりだな!」
ザックが飛び上がって、俺の盾にぶつかった。例によってザックのダンジョンである。俺はザックに周囲の魔物を排除するように言ったはずだが、どうも彼はダイアナのことが気になるようで俺たちの近くにいる。
「ほらね、うざいでしょ。……ぎゃあああああ!」
ダイアナが俺の腕を抱いたまま耳元で叫ぶ。わさわさやってきたデカい蜘蛛にビビったようだ。
「ザック、お願いだからそこら辺の魔物倒してくれ。俺の耳がなくなる前に」
「わかったわかった」
ザックは頭を掻くと、蜘蛛に剣を入れた。蜘蛛は叫び声をあげて、緑色の液体を傷口から噴出しながら消えていく。
やはり見事なもので、ザックは次々に魔物を排除していく。彼に恐れをなしたのか、魔物たちは暗闇の中に逃げて行った。あの、黒衣のドラゴンをのぞいて。
黒衣のドラゴンは相変わらず眠っていた。
「ほら、ダイアナ、いつまでも俺につかまってないで採取してくれ」
ダイアナは魔物が逃げていくのをみて、安堵のため息を吐くと頷いた。
俺は俺たちの周りに張ったダンジョンの盾を地面の部分だけ外し、青い鉱石が取り出せるようにする。
ダイアナは棒きれのような杖を取り出すと、ぶつぶつと呪文を唱えて、先端を地面に向ける。杖の先から白い光線が発射され、オリハルコンが切断されていく。
四角く一周切断すると、今度は伸び縮みする紐のような輪を取り出して、四角い溝に埋め込み、鉱石を囲む。埋め込むときに杖でやってたけど、そういう使い方していいのだろうか。
完全に紐が見えなくなると、ダイアナは杖を向けて呪文を唱える。四角い溝が光る。四角い光の輪が消える。どうやら輪が収縮して、鉱石の奥のほうを切断したらしい。ぼこっと音がして、オリハルコンの塊がずれる。
「取り出して」
ダイアナが杖をしまいながら言う。俺は溝に指を入れて、青い鉱石を取り外そうとする。
重い。そりゃそうだ。金属の塊みたいなものだ。傾きはするが出てこない。
「シャノン手伝ってくれ」シャノンが加勢して、ようやくオリハルコンの採取に成功した。
「きれいに切断できるもんだな」
「私だからできるのよ。ほかの魔術師じゃこうはいかないわ」
得意げに言って、ダイアナは穴の中に残っていた伸縮性の紐を取り出す。
「つぎはミスリルね」
ミスリルも同じように採取する。オリハルコンより軽いが、金属は金属だ。二つ同時に運ぶのは無理だな。
「ザック! ザーーーーック!」あいつどこ行きやがった。叫び声が聞こえたのか、暗闇の奥のほうからひょこひょこ現れた。
「なんだ」
「これ運んでくれ」
ザックは片手に剣を持ったまま、オリハルコンのブロックをもう片方の手で持ち上げた。ミスリルは俺とシャノンが二人掛かりで持っている。この筋肉バカめ。




