凄い人?
お久しぶりです。
眞壁先輩が出ます。
「そういえば、会長の代って会長しかいないですよね。他にいないんですか?」
「確かに。先輩が多かったとか?」
関野と篠山は、生徒会室で会長の眞壁に疑問をぶつけていた。
眞壁は三年で、関野たちは二年だ。そして、眞壁の他に三年はいない。
「……知りたいか?」
と眞壁は読んでいた猫のマンガ短編集『ニャンニャンパラダイス』略してニャンパラを閉じて、二人を見た。
「「知りたいです」」
と二人に言われ、眞壁はふっと笑ってから言う。
「じゃあ、聞かせてやろう。俺が一年の時の生徒会を──」
眞壁はそう言って、思い出すように話し出した。
*
眞壁が一年の頃。生徒会は三年二人、二年二人の計五人だった。しかも全員男子で、三年会長の眼鏡男子と副会長の真面目くんが生徒会を取り締まっていた。
仕事もその二人が的確に分けて、二年と眞壁に任せていた──。
「おい一年、ちょっとこれも頼むわ」
「あ、こっちもよろしく〜」
三年がいない時、二年の二人が眞壁に仕事を頼んだ。頼んだと言っても、ただ単に押し付けているに過ぎないのだが。
「俺らこれからちょっと用事あるからさ」
「んじゃ、よろしくな──」
眞壁の返事を聞くこともなく、二年の二人は生徒会室を出て行った。
眞壁は目の前に置かれたプリント類を見て、溜め息を吐く。
「はぁ……。二年の先輩クソだな」
*
「会長、今クソって言いました?」
「え? あぁ、うん。だって自分の仕事しないで女子たちと遊びに行くって、信じらんないだろ? だから、俺は偉大なる三年の眼鏡会長と真面目副会長のようになろうと思ったわけだよ」
と篠山に話の腰を折られ、眞壁は端的にまとめる。
「それで、二年が三年になって、俺も二年になるわけだけど、そんな三年に任せられる訳でもなく、俺がほぼ一人で切り盛りしてた感じ。俺と同じ学年の奴は、生徒会の先輩がクソだって気づいてたから、入りたがらなかったよね。まあ二人が入ってくれたから、先輩二人の使えねえこととか色々、今までのこと全部チクったら先輩二人ともクビにしてもらえたし」
だから二人があの使えない先輩二人を知らないのは仕方ないんだけどね、と最後にそういうこと、と眞壁は笑った。
「篠山と関野。お前らはちゃんと仕事してくれるから、俺は嬉しいよ」
そう言った眞壁を見て、篠山と関野は顔を見合わせた。
「実は先輩、凄かったりします?」
と若干引きながら、関野が訊く。
「一人で切り盛りとか……」
行事とかヤバくないか……?と篠山。
「あー、どうだろうな。まあすごいんじゃね?」
と適当に答えてから、眞壁はニャンパラを読み始める。
「……ただの猫大好き人間じゃなかったんだ」
「そう、みたいね……」
と篠山と関野はひそひそと話し合うのだった……。
*
生徒会の仕事が終わり、眞壁は鍵を職員室に返しにきていた。
「失礼しまーす。生徒会室の鍵を返しに来ました」
壁際の様々な鍵が掛かっている所に生徒会室の鍵を掛け、失礼しました、と職員室を出る。
今日はもうやり残したことはないので、下駄箱に向かって歩き出す。
「あー、猫に埋もれてー」
そんなことを呟いても本当になるわけでもないので、眞壁の猫に対する欲求が余計に増していく。
「モフモフしてえ、撫でてえ、抱きしめてえ……」
悶々と考えている間に、下駄箱に着いた。
すると、下駄箱の前に居た黒に白い玉模様の猫がニャーと鳴いた。
「え、白玉じゃね? どうしたんだよー、こんなとこまで来て〜」
と眞壁は靴に履き替えてから、白玉を抱き上げる。
白玉は眞壁の近所の公園にいる野良猫だ。よく餌をくれる眞壁を好んでいるような、嫌っているような……、だが眞壁は気にしない。白玉が好きだから。
「一緒に帰るかー、白玉〜」
頭を撫でながら、眞壁は締まりのない顔をして下駄箱を去るのだった──
眞壁「久しぶりだったな」




