修学旅行 2
覗きは、もう少し先で……←おい。
那覇空港に着いたら、今度はバスに乗って移動。
出発前、窓際の席で本を読もうとしていた関野は、視線を感じて隣のバスを見た。
隣のバスを見ると、篠山がパッと笑顔になって手を振ってきた。
「篠山くんって、もしかして関野さんの彼氏?」
「へっ?!」
ふいにクラスの女子が話しかけてきて、関野は慌てて否定する。
「違う違う。生徒会で関わりのある友だちだよ。仲良くしてもらってるんだ──」
クラスの一人は、ふーん。そうなんだ。と篠山と関野を交互に見やって、他の人の所に行ってしまった。
関野は、まだ笑顔で手を振っている篠山に向かって、小さく手を振り返すのだった。
隣のバスの篠山は、手を振ってもらえてご機嫌になっていた。
「関野さんと同じクラスだったら……お菓子交換したり話したり出来たのになぁ──」
「なに? あの読書してる女子に片想いか?」
とニヤニヤしながら、クラスの男子が訊いてくる。
篠山は苦笑いして答える。
「まぁ……」
静かに読書をする関野を見る。
本に集中しているので、関野がこちらを向く気配はない。
「お前なら口説けんじゃないの?」
「ん〜……いや、難しいんだよね。それが──」
篠山は小さく溜め息を吐いて、男子に言うのだった。
*
バスは走り、見学場所に着いた。
それぞれバスを降りて、各クラスごとに行動を始める。
「やっぱ沖縄暑いな!」
と香月が手で顔を扇ぐ。
それを見た章も、タオルで軽く顔を扇ぎつつ言う。
「温度がちがうからな……」
「おれ、バスで待機でいいんだけど……」
すでにバテ気味の秋乃が、暑い〜もう旅館行こうよ〜。とグダる。
「ちゃんと見学したら、旅館だ。だからちゃんと見ておけよ」
と担任の山井がやってきて、ほら行くぞ──と秋乃たちの背中を押した。
*
「疲れたぁぁぁぁ──」
見学やら全て終えて旅館に着き、秋乃は部屋に倒れ込んだ。
「おい、荷物は下ろしてから倒れろよ」
と章が荷物を端に集めながら言う。
犀と朔も章の近くに荷物をまとめて、うーん……と伸びていた。
「章、頼んだ……」
秋乃は背負っていたリュックを章に預けて、動かなくなる。
「あ、寝るなよ? すぐ入浴だからな──」
章は預かったリュックを端に置いて言った。
それを聞いて黙っていないのが、もちろん香月だ。
「じゃあ今入浴してんのって……」
「女子だな──」
と犀が目をマッサージしながら言う。
「露天風呂もあったね、確か──」
と朔が言い足す。
「おい……これはもう行くしか」
香月がぐっと手を握って、決意する。
「修学旅行で露天風呂って……これはもう覗けって言ってるようなもんじゃん!」
言ってねえよ、という章の言葉をスルーして、香月は続ける。
「ここで行かなきゃ、男が廃るってもんだろ! オレは行くぞ?! お前等がたとえ止めたと」
「行ってくればいいんじゃないか?」
と犀。
「うん、俺たちは知らないよ」
と朔。
「先生に捕まるのがオチだろ」
と章。
「……スー……スー……」
と寝息をたてる秋乃。
香月は止められると思っていたので、調子が狂う。
「……え? ほんとに? 行っていいの……?」
三人は香月に向かって頷いてみせる。
「……なんだよぉ、そんなんじゃ行けるわけないだろ〜っ──」
畳にがくんと崩れ落ち、香月は一人呻く……。
女子たちの裸は護られた──
次回、「修学旅行 3」
投稿は今月の最終日か、来月になります。




