修学旅行 1
遅くなりました、
修学旅行編、始まります。
修学旅行の朝、それぞれ眠い目を擦りながら、飛行機に乗り込んだ。
大きな荷物は先に沖縄に送ったので、皆リュックや肩掛けカバンを持参している──
「ふぁ〜……」
と窓際の席になった犀が、口を手で隠しながら欠伸をする。
「マジで眠いんだけど……」
と犀の隣の香月もつられて欠伸をする。
「…………」
その隣には、何でコイツの隣なんだ、と思いながら目を閉じて、眠る姿勢に入っている章がいる。
「……ふぁ〜」
もう一度欠伸をして、犀は寝る体制に入った。
「……スー……スー……」
と、章はもう寝息を立て始めている。
香月は両脇を見て、一人唸る。
「……これは、オレも寝た方がいいのか? それとも、普段の恨み妬みを無いけどここで晴らすべきか? ……いや、ここはあえて周りに合わせて寝た方が得策か……うむ。迷うな──」
「田端、静かにしろ。僕は寝るんだ。それ以上話したら、一発食らわせるからな」
「朝からもうそのテンション?! ごめん。おやすみ──」
犀に注意された香月は、大人しく寝ることにした。
少し離れた所では、秋乃と朔、篠山が並んで座っていた。
クラスは関係ないので、混ざっている。
「ん〜……魔王を倒すのは、この……」
窓際の席の秋乃は、すっかり夢の世界で魔王を倒しに行くようだ。
その隣に篠山、朔という順番で座っている。
「朝早いと、眠いよな」
「そうだな」
と朔と篠山は話す。
「……篠山はさ、関野の隣が良かったんじゃないの?」
「そりゃ! もちろん。もし眠くなって肩にもたれかかってきたら、肩を貸して、それで起きた時に、頬を赤らめて謝ってくるのを想像したら、もう可愛いに決まってる──!」
と篠山は力説する。すると、コテンと右肩に重力がかかったのを感じた。
「魔王めっ……おれが──スー……」
秋乃がもたれかかってきたのだった。
「……うっ、これが関野さんだったら……」
「はは、まだ帰りの飛行機があるよ」
と朔は苦笑いしながら慰めた。
また違う席では、柚子とヒナミ、関野が並んで座っていた。
「早いね、もう修学旅行で沖縄に向かってるなんて」
と窓際のヒナミが二人に言う。
「そうね」
と隣の柚子。
「そうだね」
とその隣の関野も頷く。
「……あ、そういえばまだ予定決めてなかったね。冬休みは行けなかったから、修学旅行から戻ったら行こうよ。関野さんが案内してくれる、おいしいケーキ屋さん!」
「そうね──関野さんよろしくね」
二人に笑顔を向けられて、関野は赤くなりながらも笑って頷く。
「もちろん//! ケーキの詰め合わせセットもあるから、喜んでくれるといいな……//」
「ホントっ?! すごい楽しみ!」
「ね! ケーキ何にしようか考えとかないと──」
とヒナミと柚子は目を輝かせる。
「まだ、修学旅行始まったばっかで、早いんじゃない……?」
と関野がおずおずとツッコむと、二人は、それもそうだ。と笑った。
修学旅行より、ケーキに心を奪われそうな三人だった──。
飛行機は順調に沖縄に向かっていた。
山井と保梨、もちろん忍者も乗っている。
山井は、秋乃のクラスの担任。保梨は、保健の先生として。忍者は、生徒の安全を守る役として来ている。
「忍者さんは、いつもと変わらないんですね……」
と保梨が窓際に座る忍者を見て言う。
忍者は、いつも通り忍者の格好をしていた。
「うむ。これが私服でござるからな」
と隣に座る保梨に答える。
「なるほど──」
「お土産、何にしよう」
ふいに、山井が呟いた。
「シーサーの置物はどうでござろう。沖縄に行ったのがわかるでござるよ」
「それか紅芋タルトとか、ちんすこうとか、泡盛もいいんじゃないですかね」
と、忍者と保梨が提案する。
山井は頷くと、
「じゃあ、シーサーの置物買います。タルトも──あ。修学旅行が無事終わったら、泡盛で飲むのはどうですか?」
「いいですね!」
「いいでござるな!」
「じゃあ、泡盛買いますね。じゃあ、無事に修学旅行が終わるように、頑張りますか」
と山井が保梨と忍者を交互に見やって言う。
「はい! 頑張りましょう!」
「もちろんでござるよ──」
と二人も山井を見て言った。
そして飛行機は、沖縄に着陸した──
次回、「修学旅行 2」




